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#03 『お金を捉え直す』

6/10(木) Thinking Design Lab(TDL)の第3回の定例会を開催しました。

TDLの定例会とは?
①事前にテーマや問い(※「思考」に関わることや「思考」を通じて見える化できること)を設定する
②「思考設計」(Thinking Design)のポイントである『対話』(Dialogue)と 『整理』(Organize)をしながらその場で『言語化』(Output)する
③その時間で言語化したアウトプットをnoteで発信・共有する
→この3つのプロセスは、「見えないものを見えるようにする」というLabのコンセプトに基づいた「思考実験」をする場であり、発信・共有することを通じて、ニーズやリアクションがあるものはプロジェクト化やプログラム化する。


今回のテーマは、「お金の活用術」についてです。先週は「時間の活用」について考えていたのですが、時間の活用を整理する過程で、時間はお金の要素や考え方と似てることに気づきました。その気づきをより深める目的もあり、今回は「お金」をテーマに設定しました。


時間の活用との共通点として、「投資」「浪費」「消費」の3つのキーワードがあり、まずはそれぞれについて対話をしながら定義しました。

投資:自己成長につながる、及び、何かしらのリターンがあるもの ※意識的/戦略的な行動である
浪費:自己成長やリターンが特にないもの(無駄使い) ※意識的な/戦略的な行動ではない
消費:衣食住など生活をする上で必要なもの ※意識的/戦略的であるかどうかは関係がない

お金はこの3つにもう一つの「概念」(後ほど説明)があるのですが、基本的にはこの3つは時間とお金の活用において、共通する概念であると定義しました。ちなみ時間の活用は、

①ファクト(事実)の洗い出し=現状
②目指すゴール(目標)の設定=理想
③現状と理想の間のギャップの可視化=課題


の3点から整理するワークをしましたが、今回のお金は別のアプローチで考えていくことにしました。


「そもそもお金ってなんだろう?」

この問いを設定して対話を深めていきました。背景として、(私たちの思い込みかもしれないですが、)お金の話をするのってなんとなく下品である、卑しい、怪しいといった、表にあまり出さない方が良いのでは・・という雰囲気があると感じています。特にお金を「増やす」となると、よりその傾向が強いと感じました。

知人や家族といった親しい関係性であっても、お金の話、例えば収入や支出がどのくらいなのか、何にどのくらい投資しているかといった話はそこまでしないのではないかと思います。どこか話題にしづらいと感じる、「お金ってそもそもなんだろう?」と、お金の活用を考える前にお金についてもう少し深堀ってみようとなりました。


士農工商という考え方

江戸時代の基本的身分のあり方を表す「士農工商」。官吏・農民・工人・商人の4つの身分階級のことです。(現代においては、それぞれの身分は存在しますが、階級的な身分の考え方はないと思います。)


ここでのポイントは、(当時の)士農工商の「立場の順序」と「お金を生み出す人」は誰かということです。順序は士→農→工→商である一方、お金を生み出す大半は商(人)であります。この仕組みによって出来上がった制度の一つとして、現代でいう徴収(国が商人からお金を取り立てること)があります。

その上で、現代の貨幣経済や資本主義経済において、お金が強い力・権力を持つことはなんとなく理解できるかと思います。お金は上記の通り、現代においても商人が商業活動を通じて生み出します。ということは、立場が上である国は見方を変えると、力のあるお金を持つ商人を恐れるのではないか。だから徴収という仕組みが成り立つのではないか。

国は商人から集めた(ギブしてもらった)お金を何に使っているかというと、インフラ(生活基盤)の整備に使います。道路や交通、教育、医療、福祉など、人間が生きる上で必要なものを整えて、安心安全な暮らしを提供(テイク)しているわけです。ここから読み取れることは、「権力と立場」のバランス関係ではないかと思います。

一方、先ほどお金の話はなんとなく表に出さない方がいいのではと述べましたが、この理由は上記の「権力と立場」だけでは読み取れないと感じました。この雰囲気とは「教育とメディア」による影響、より刺激的な言い方でいうと「洗脳とイメージ」なのではないかと思いました。

ただし、士農工商という階級があったことは歴史的な「事実」(Fact)ですが、教育やメディアは教える人や報じる人の「解釈」(Opinion)であることを前提として押さえておく必要があります。


①権力と立場のバランス関係 ②教育やメディアによる解釈

お金について考える際に、この2つのテーマを捉えると良いのでは?という結論が出ました。その上で、ただ考えるだけでは、対象が大きすぎて個人単位に落ちない、自身はどのようなアクションを起こすかまで至らないため、今日からできる行動を考えました。それが以下の2つです。


ギブアンドギブ

権力と立場の有無に囚われずに、いま自分たちがアクションできることを考えると、一つ目は「ギブアンドギブ」という考え方です。「ギブアンドテイクで」はなく、「ギブアンドギブ」。見返りを求めずに、常に主体性や自発性を持って、自ら能動的になることが必要であります。

★国の視点(商からお金を徴収している立場)であれば、集めたお金をどのように活用し、商に対してどのようなメリットを提供できるかを発信すること
★商の視点(国にお金を納める立場)であれば、どのような暮らしや生き方をしたいのか、何に困っているのか、それを実現・解決するために必要なものは何かを発信すること

ギブアンドギブなので、誰かに頼ることや誰かがやってくれるという期待(テイクしてもらうこと)を捨てて、一人ひとりがリーダーシップを持って、お互いのwin-winを考えることが大切なのではないかと思います。


ファクトフルネス

教育やメディアが教えることや伝えることに囚われずに、いま自分たちがアクションできることの二つ目は「ファクトフルネス」という考え方です。ここ数年でベストセラーにもなり、言葉自体が流行となった「ファクトフルネス」。お金を考える際であれば、「ビジネスモデル」=企業が成り立つ仕組みを知ることが必要になります。

例えば、メディアが成り立つ仕組みは何なのか?
広告(スポンサー)収入→スポンサーが広告を出すために必要なことは?→「量」(露出)が必要→露出を増やすために、メディアがとる行動は?→露出(視聴率・PVなど)を重視した報道→その時に起こり得ることは?→「事実」だけでなく「解釈」・・。

物事が成り立つ(企業が成り立つ)には、良くも悪くも必ず理由・要因があるということを知る必要があるわけです。その時に、ビジネスモデルの理解は大きな一歩なのだと思いました。

①その要因からお金が生まれる仕組みは何なのか
②お金が生まれる仕組みが、価値のあるもの(信用・顧客満足など)なのか、価値のないもの(詐欺・顧客不満足など)なのか
という事実を捉える力が大切なのではないかと思います。

なぜTVやYouTubeは無料で見れるか?一方で、NETFLIXやAmazonPrimeはなぜ有料なのか?その上で、無料と有料の違いは何か?ビジネスモデルからお金の流れを捉えると物事の本質が見えてくるのではないかというのが今回の結論です。


お金とどのように向き合うか?

それらを理解して整理した上で、お金とどのように向き合うか。そのアプローチの一つとして、前半に出てきた、「投資」「浪費」「消費」+α からお金の活用を考えてみるがあります。

(再掲)
投資:自己成長につながる、及び、何かしらのリターンがあるもの ※意識的/戦略的な行動である
浪費:自己成長やリターンが特にないもの(無駄使い) ※意識的な/戦略的な行動ではない
消費:衣食住など生活をする上で必要なもの ※意識的/戦略的であるかどうかは関係がない
(+αの概念)
労働:時間もしくは能力と引き換えにお金を得ること
経営:ヒトモノカネ情報といった資源を使ってお金を生み出すこと

時間は1日24時間であり、すべての人に平等に存在するものであるため、時間の絶対数を増やすことはできません。一方、お金は平等ではないため、絶対数を増やすことも減らすことも可能です。この違いを理解できると、お金は増やすと減らすの2つのアプローチを考えることができます。

そして、増やす・減らすアプローチを考える際に、自然と時間もセットで考えることになります。どのくらいの時間を、投資・浪費・消費・経営・労働に使うのか。どこに時間を使うことが自身の生き方や暮らしをよりよくするのか。

お金と時間の活用を考えることは、「物事の本質を理解すること」と「自身の人生を設計すること」の2つのアクションにつながる発見ができた第3回の定例会でした。

以上、Thinking Design Labの第3回の定例会レポートでした。
次回のテーマは「MVV」(Mission/Vision/Value)です。お楽しみに。


■プロジェクトメンバー募集中

「見えないものを見えるようにする」というコンセプトをもとに活動する私たちのLabは、「対話」(Dialogue)を通じて、言語化や構造化して「整理」(Organize)をし、その体験や思考プロセスを体系化したプログラムを「設計」(Design)していく活動をしています。
 
プログラムは、新たな価値(=思考と行動の両方がアップデートされる仕組み)を提供することができる人の発明を目的に、ビジネス(事業)をつくるというよりは、「ジョブ」(課題解決/機会)をつくる方向を考えています。

思考実験する場をもっと多くの人と共有・共創していきたいと思っています。ぜひ興味関心のある方は、一緒に何か取り組みをしたり、イベントやプロジェクトを企画したりしたいので、お気軽にお声かけください。


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現在、40の仮テーマのブレスト、3つの思考実験、1つのプログラムづくりに着手し始めています。100のプロジェクトテーマはメンバーを増やしていきながら、ブラッシュアップしていきながら、少しでも多くの実験と実践をしていきます。


サムネイル写真:Image by Nattanan Kanchanaprat from Pixabay