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#364 『枯野をかけめぐる夢』

本日は、東洋思想家の境野勝悟さんの「枯野をかけめぐる夢」についてのお話です。境野さんは早稲田大学教育学部を卒業後、私立栄光学園で18年間教鞭を執りました。参禅や茶道を専修しながら、イギリス、フランス、ドイツなどヨーロッパの教育事情を視察して、 日本の教育との比較研究を重ねてきました。その後、こころの塾「道塾」開設し、各地で講演活動などを行ってきました。

"芭蕉は41歳で「野ざらし紀行」の旅に出立し、51歳の時に旅先の大坂で没しました。亡くなる前、「あなたの辞世の句は何ですか」と聞かれた芭蕉が「昨日の発句は今日の辞世、今日の発句は明日の辞世」と答えたのは有名な逸話です。芭蕉が作句にどれだけ深い思いを込めてきたかがよく分かりますが、それでもどうしてもと弟子たちに懇願されて詠んだ辞世の一句があります。

旅に病で夢は枯野をかけ廻る

枯れ野には、句の題材になるような花は咲いていません。しかし、夢さえあれば枯れ野を自由に駆け巡ることができると芭蕉は言うのです。芭蕉の生き方は、その夢の景色を命ある限り追い求めるものでした。"
"芭蕉も、旅に終始した生涯を送った。なぜそんな純粋な旅の人生がまっとうできたのでしょう?夢!夢があったからなのです。抑え難い夢に促されるようにして江戸・深川を出立した芭蕉は、栃木を経て「白河の関」を夢に、「松島」に憧れて、歩を進めたのです。
"芭蕉の哲学「造化に帰れ」・・。本当の意味で大自然と一つに結ばれていなければ、人間は本物ではありませんから、私も命ある限り、さらに大自然と語り合いながら、芭蕉のように大自然と一体となる心境で生きられたらいいなと思っています。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/12/30 『枯野をかけめぐる夢』
境野勝悟 東洋思想家
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※Photo by Benjamin Davies on Unsplash