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#332 『長生きも芸のうち』

本日は、画家の平山郁夫さんの「長生きも芸のうち」についてのお話です。

"どこまで行けるか。もう、これだけはやりたいというシナリオがあるわけですよ。...長生きしないとつかめませんね。それは人間として成熟してくるんですからね、当然、同じ絵を描いたって違ってくるんです。90になったら1日30分しか描けないかもしれませんが、その30分が貴重なんです。"
"欲も得もなくなるでしょう。その30分のために1日じっとして、いまだという時に、わっとこう描くわけですよ。そしたら、30分で90の人生のすべてを一作で語ろうとするわけです。一作の中に全人生があるわけです。"
"これは時間がなかったという言い訳はできないわけですよ。5分間しか時間がありませんよといったら、5分間の仕事があるわけですよ。また、1年の仕事もある。文学でも原稿用紙何千枚の小説もあれば、俳句のように17文字もある。どっちが偉いか、たくさんのほうが偉いかということになると、芭蕉みたいに一句でも素晴らしい世界を描けますしね。また、一句だからすぐできるかといったら、これまた、うんと考えるわけですね。"
"それと同じで、そこで与えられた時間を生かすということです。千年そびえ立っている杉の木もあれば、もう半月しかもたない野の草もある。よく、崖っぷちなんかで根っこで半分はみだして、もうちょっと土が落ちると一緒に落ちてしまうというような状態でも、やっぱりこう美しさを出そうとして咲いていますからね。"
"もうこれだけの時間がなきゃ、できませんなんていうのは、死ぬまで待ってもできないですよ。本当に長生きも芸のうちですね。長く生きていくってことはね、やっぱり、大変なことですね。嫌になったり、もうこれでいいと思ったり、いろんなことを超えていくわけですからね。そうやって生き、何かを残していくということは、一生という限られた中で何十万キロも飛んでいくのと同じです。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/11/28 『長生きも芸のうち』
平山郁夫 画家
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※Photo by Photoholgic on Unsplash