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#206 『創業時を支えた二つの言葉』

本日は、ドトールコーヒーの創業者で名誉会長の鳥羽博道さんの「創業時を支えた二つの言葉」についてのお話です。鳥羽さんは、高校を中退して東京で喫茶業に入ります。

その後、1958年にブラジルへ渡航し、帰国後の1962年にドトールコーヒーを設立します。今回はその創業時のお話が語られています。

私が起業したのは、社長になりたいからでも、金儲けがしたいからでもない。ただ理想の会社をつくりたい。その一念だけだった。

"ある時、得意先を競合他社に取られた社員を往復ビンタで殴る社長の姿を見た瞬間に、辞表を提出した。大変恩義はあるけれども、こういう状況のもとに会社は発展しない。厳しい中にも和気藹々とした理想の会社をつくろう。"
"ゆえに私が起業したのは、社長になりたいからでも、金儲けがしたいからでもない。ただ理想の会社をつくりたい。その一念だけだった。資本金の30万円も人から借金をして、八畳一間の場所で二人の仲間と共にコーヒー豆の輸入・卸の会社を立ち上げた。「ドトール」という社名は、ブラジル時代に住んでいた地名から取った。お金も後ろ盾もない。コーヒーの品質も高くない。あるのは夢と情熱だけ。"
"ある時、ハッと気がついたことがある。潰れる、潰れると思うから心が萎縮し、思い切った仕事ができない。明日潰れてもいいじゃないか。きょう一日、朝から晩まで体の続く限り働く。明日のことは考えない。きょう一日に集中しよう。毎日毎日こういう心構えで仕事を続けていると、私の真剣な姿を見て、「あぁこいつ大変だな。何とかしてやろう」と手を差し伸べてくれる人が現れるようになった。"
"二つの言葉との出逢いもまた、私に大きな影響を与えてくれた。創業当初、自分は死に物狂いで働いているのに、社員に必死さが感じられない。そのことで腹を立って仕方がなかった。ちょうどその時、ある人から「長の一念」「因果倶時」という言葉を教わった。"
"日頃社員に不満を募らせていたけれども、その原因は社員にあるのではなく、すべては長である自分自身にある。自分自身が変わらない限り社員は変わらない。また、よかれあしかれ、過去の因の積み重ねが今日の結果をつくっている。未来をよくしようと思えば、1分1秒も疎かには過ごせない。そう気づいてからは、社員への不満や批判は一切消え、より一層仕事に全精力を傾注するようになった。紹介が紹介を呼び、創業から2年ほどで事業を軌道に乗せることができた。"


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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/07/25『創業時を支えた二つの言葉』
鳥羽博道 ドトールコーヒー名誉会長
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※Photo by Jan Kahánek on Unsplash