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大きな病院での歯科の役割とは?②〜股関節の手術前に歯科を受診する理由〜

こんにちは。
ナムプラー夫婦のメーです。
前回の続きで病院での歯科の役割についてお話していきます。


股関節の手術をするのになぜ歯科を受診するのか?

大きく分けて2つの理由があります。

▼まず1つ目は
全身麻酔での手術は人工呼吸器のチューブをお口の中から挿入します。
その際、動揺(グラグラ)している歯取れそうな被せ物等があった場合、
その歯にチューブがぶつかり、抜けたり取れてしまう可能性があります。
最悪の場合、その取れた歯が肺や気管に落ちてしまったら、
術後に肺炎気管支炎の発症リスクに繋がります。

麻酔から醒めたら歯が無くなっていた、
なんて考えるとゾッとしませんか…?

そのような歯がないかどうか精査し、
万が一あった場合は早急に治療を行います。
しかし、歯科治療の中には時間がかかる治療も多いので
手術までの期間が短い場合は、応急処置で対応します。

▼2つ目は
1gの歯垢中には、「1億」という非常に多くの細菌がある
と言われています。
全身麻酔のチューブを挿入する際に、
その多くの細菌を肺に押し込めてしまうことで
こちらも術後に肺炎気管支炎の発症といったリスクが生じます。

そのため、全ての患者さんに対して
術前に歯科衛生士が、口腔内の状況に合わせ、
専門的な機械を用いて、徹底的に歯垢や歯石を除去します。
合わせて、
歯磨きの方法補助的清掃用具(フロス、歯間ブラシ、タフトブラシ等)の
使用方法の指導も行います。


大きく分けて以上のような理由があるのです。
術前に歯科を受診する事で、
肺炎などの術後合併症の予防、それに伴い入院日数の短縮
などの効果が期待されます。

実際、
お口の中の状態が悪く、応急処置では対応しきれなくて
手術を延期せざるを得ない、なんて事もありました。


ここまで読んでみて、結構驚かれた方も多いのではないでしょうか?
意外と歯科って重要なんだ、と思って頂けましたか?


ここでは股関節の手術を例にお話しましたが、
全身麻酔で行われる手術のほとんどが対象になります。
正式には、次に掲げるような手術において実施する、となっています。

イ  頭頸部領域、呼吸器領域、消化器領域等の悪性腫瘍の手術
ロ  心臓血管外科手術
ハ  人工股関節置換術等の整形外科手術
ニ  臓器移植手術
ホ  造血幹細胞移植
ヘ  脳卒中に対する手術
                      ※歯科診療報酬点数表 より

なんとこんなにも多いのです!

対象患者さん全てを歯科で診察したい(というかするべき)なのですが、
歯科スタッフの人手不足や、他科との連携がうまく整っていないこと
が原因で全てに歯科が介入できていないことが現状だったりします。

私のいた病院でも、年間約5000件の手術件数に対して
歯科医師2名、歯科衛生士2名のスタッフしかいないのが現状でした。

当然、掲げられている手術全てには対応しきれないし、
それに加えて、外来患者さんの抜歯や治療、
入院患者さんの診療、口腔ケアもやらなきゃいけない…
もうオーバーワークでした。
(切実に歯科スタッフの数増やして欲しかった…)


つい愚痴になってしまいましたが、、
とにかく、歯科の役割はとても大きくて重要なのです!!


長くなってしまいましたので今回はここまでにしますね。
★次回は、
放射線治療、抗がん剤治療などを実施するがん患者さんへの
歯科の役割についてお話したいと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
それではまた^^

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