Roland V-8HDを、ATEM Mini Extremeと比較しながら試してみたレビュー
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Roland V-8HDを、ATEM Mini Extremeと比較しながら試してみたレビュー

先日、人気のHDMI8入力スイッチャー「Roland V-8HD」を試す機会がありました。3日間の短い期間ではありましたが、触ってみた感想をまとめたいと思います。

やはり比較してしまうのはATEM Mini Extremeですね。普段からExtremeを使っていることもあり、ずっと使ってみた買った機材でした。

今回は実際にYouTube Liveも配信でき、視聴者の皆さんからも色々なコメントをいただくことができました。今回はその内容も含めながら、気になったポイントを紹介したいと思います!

基本スペックの比較

まずは基本的なスペックの比較です。HDMI8入力こそ同じですが、基本スペックからも大きな違いが見られます。単純に比較してしまうと、ATEM Mini Extremeのコスパが異常ですね😅

ただ、実際の運用面を考えるとV-8HDの良さも見えてきます。プロユースを想定した筐体設計や操作性などが光りますね。一見では分かりづらい入力映像の色対応などもポイントです。

Roland V-8HD
発売日:2020年 1月31日
映像入力:HDMI×8(内スケーラー内蔵×2)
映像出力:HDMI×3
音声入力:RCA ピン
音声出力:RCA ピン、ヘッドフォン端子(ステレオミニ)×1
USK:2系統
DSK:1系統
配信機能:無し
価格:約240,000円(2021/8/11時点)
ATEM Mini Extreme
発売日:2021年 2月19日
映像入力:HDMI×8(全入力スケーラー内蔵)
映像出力:HDMI×2、USB-C-×2
音声入力:ステレオミニ ×2、ヘッドフォン端子(ステレオミニ)×1
音声出力:Phone
USK:4系統
DSK:2系統
配信機能:有り
価格:約110,000円

本体について

寸法はATEM Mini Extremeが370×136.6×39.6mm、V-8HDが317×193×70mmです。重量はExtremeが1.235kg、V-8HDが2kgとなっています。

スペック上はATEM Mini Extremeの方が総じてコンパクト?なはずですが、触った印象としてはV-8HDの方がシュッとした印象を持ちます。机の上に置いた時に横長の方が邪魔になりやすいからでしょうか。

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また、ハードウェアとしてはV-8HDの方が完成度は高いと感じます。ATEM Mini Extremeは見ての通りボタンだらけで、個人的には誤操作が怖い端末です。一方のV-8HDはかなり余裕を持った、また操作しやすい配置がされています。

また、V-8HDの筐体は金属製、ATEM Mini Extremeはプラスチック製です。他にも実際に触ってみると、一つ一つのパーツや動きなどもより洗練された印象を受けます。これは推測ですが、一つ一つのパーツ耐久度も高く、より壊れにくい設計なのではと思います。

やはりよりプロユースが意識されている分、V-8HDの方がハードウェアとしての信頼性が高い印象を受けます。また聞きですが、ATEM Mini Extremeは熱で落ちた報告も聞いたことがあり、検証はできていませんがそういった所の違いもあるのかもしれないなと思いました。

入力映像について

HDMI8端子こそ同じですが、ATEM Mini Extremeは全端子スケーラー内蔵なのが強みです。入力する映像を自動的に整えてくれるので、PC・スマホ・タブレットなどの解像度が異なる映像も簡単に入力することができます。一方のV-8HDは2端子のみ内蔵なので、少し運用を考えなければいけないこともあります。

一方、ATEM MiniシリーズはMacのHDMI出力と相性が悪い問題があります。具体的には↓の画像のように、白や黒に近い色が潰れてしまうはずです。これは8つあるHDMI端子のどれでも同じ状況です。

これは、Macが出力する映像の色情報に、ATEM Miniが対応していないことが原因です。Macは「リミテッドレンジ」で映像を出力しており、おそらくATEM Miniはフルレンジに対応しているのだと思われます。

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これはMac側にも問題があります。例えばディスプレイメーカーのEIZO社は、FAQで「厳密な色表示」ができないことを説明しています(参考)。とは言え、V-8HDはリミテッドレンジにも対応していると思われ、問題なくMacの映像も表示することができました。ATEM Miniも対応してくれるといいのですが。。

設定をみると、V-8HDは出力映像でフルレンジ・リミテッドレンジを含めた複数の色設定の切替ができます。入力映像には設定がありませんが、おそらく自動変換しているのではないかと思います。この辺りは見えづらい所ですが、大きな機能差であり私がATEM Miniに全振りできない理由でもあります。

映像合成について

個人的には最も大きな差を感じるのは映像合成です。ここについてはATEM Mini Extremeが非常に優秀と言わざるを得ない状況です。

映像合成をする時の機能に「USK(アップストリームキー)」と「DSK(ダウンストリームキー)」があります。言葉の意味は調べていただくとして、ここではUSKは「PinP(ピクチャインピクチャ)」の機能、 DSKは「クロマキー合成」の機能とお考えください。※超シンプルにしています

V-8HDは元々の映像に、PinPを2つ、クロマキー合成を1つ追加することができます。一方のATEM Mini Extremeは、PiniPを4つ、クロマキー合成を2つ追加することができます。数が2倍...これは非常に大きな違いです!

具体的な例として、実際に配信した時の画面をご紹介します。V-8HDは「私の映像+もう1映像」が限界ですが、ATEM Mini Extremeは更にゲストの映像も追加できました。なんなら、更にもう1人のゲスト映像を追加することもできます。

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※メインの映像は背景、クロマキー合成は左上のテロップに使っています

更に、ATEM Miniシリーズは「透過png」が使えるのも強みです。つまり、わざわざクロマキーで合成しなくても、透明な領域のあるテロップ画像を作っておけば、非常に綺麗に合成ができてしまいます。

クロマキー合成する場合も、ATEMスイッチャーと比較するとRolandスイッチャーは抜けが悪い印象です。こういった状況もあり、映像合成の機能についてはATEM Mini Extremeの方が、頭どころか体一つ飛び抜けている印象です。

ちなみに、Roland社が最近発売したスイッチャー「V-160HD」では、ようやく透過pngが対応したようです。また合成できず数もATEM Mini Extremeと同等になっており、かなり強化された印象です。ただ、価格が770,000円...ちょっと比較できる対象では無いですね。。

本体の操作性

機能では押され気味なV-8HDですが、本体の操作性に着目すると随所に光るものがあります。

まず、V-8HDは本体だけでも各種設定が完結できるのが大きな特徴です。本体に画面モニターを搭載しており、HDMI OUT3と同じ映像が表示される仕様のようです。この画面でメニュー操作ができるので、外部モニターを繋げずとも設定ができます。

ATEM Mini Extremeは、基本的にPCの管理ソフトとの併用が前提になっています。本体だけではできないことも多く、設定を変更することもできません。これは状況次第ではありますが、何かあった時に本体完結できるV-8HDには安心感を覚えます。

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また、本体完結性をより高めているのがRoland製品の"ツマミ"です。この1メモリずつぐりぐりと操作できるUIは、思っている以上に確実性が高くて安心感があります。押し込みながら回すことで機能が変わる端子もあり、本体だけでできる設定範囲を押し広げてくれています。

最近はタッチ操作の端末も多いですが、アナログ端子の操作体験の高さは健在だなと思わされるツマミです。この端子があるからこそ、V-8HDは本体だけで完結することができ、またハードウェアとしての完成度を感じさせる大きなポイントです。

他にも、V-8HDは本体のボタンこそATEM Mini Extremeより少ないのですが、うまく工夫しながら本体でできることを増やしています。ボタンの役割を切り替えるボタンがあったり、ユーザーが任意に機能を割り当てられるボタンもあります。

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管理ソフト・アプリ

先にも書いた通り、ATEM Mini Extremeは管理ソフト「ATEM Software Control」を使うことで、様々な設定を行うことができます。映像・音声・画像素材の設定から、対応機種ならカメラのコントロールまで可能です。

特に自動化機能の「マクロ」は非常に強力な機能です。これは一つ一つの操作を記憶させて、自動実行する機能です。この機能のおかげで、複雑な演出もパターン化ができ、本番でも安心して実行することが可能です。

また、このソフトはネットワーク経由で複数人が同時操作することも可能です。つまり、映像・音声・画像の様に役割分担で操作ができ、かつローカルネットワークに繋がる環境なら離れた場所でもOKです。これは非常に強力な機能ですね。

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一方のV-8HDはiPadの管理アプリが用意されています。本体とiPadをUSBケーブルで繋ぐことで、専用アプリから操作することができる形です。そのため、ATEM Miniのように複数人で操作したり、離れた所からネットワーク経由で操作することはできません。

ただ、V-8HDはこのアプリの使い勝手がとても良いです。特に設定パターンを記憶する「プリセットメモリー」が、その画面レイアウトを視覚的に表現してくれます。もちろんボタンのラベル名の変更もできるので、事前に配信に必要なパターンを登録しておき、簡単に切り替えることが可能です。

配信では、このアプリがあるおかげで「他の人に任せやすい」という利用者の声がありました。確かにこのボタンも大きく分かりやすいので、慣れていない人にもお願いしやすそうですよね。ATEM Miniのソフトの方がボタンは多くて複雑なので、V-8HDの方がアプリもシンプルで分かりやすいとは言えます。

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個人的には、ネットワーク経由で複数人操作できるATEMに惹かれつつ、省スペースの観点ではiPadにも魅力を感じています。他もそうですが一長一短があり、中々こっちの方が絶対良いとは言いづらい状況です。

ただ、ATEM Mini Extremeの大きな魅力として連携ソフトの存在があります。ATEMシリーズは開発者キットが公開されており、外部の開発者が独自の連携ソフトを開発することができます。

例えば、iOSアプリ「MixEffect」を使えばATEM Mini ExtremeもiPadから操作することができます。また、「Companion」を使えば、拡張コントローラー「Elgato Stream Deck」で操作することもできます。

こういった拡張性はATEM Miniシリーズの大きな魅力で、今後も便利なソフトウェアが増えていく可能性もあります。個人的にはとても今の時代に合っている戦略で、ぜひRolandさんにもオープンな方向に進んで欲しいです。

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コスパのATEM、安心のRoland

色々書いて来ましたが、正直なところATEM Mini Extremeの方が総合的な使い勝手は良い印象です。安かろう悪かろうではなく、これでもかと機能が詰まってV-8HDの半額以下なのは驚くしかありません。

特にATEM Mini Extremeは配信エンコーダーの機能があります。V-8HDの場合は別途配信する機材が必要です。この差は大きいですよね。これから配信を始める人に勧めるのなら、やはりATEM Mini Extremeと言わざるを得ません。

一方で、V-8HDには機能差では語れない安心感があります。ハードウェアの信頼性、間違いにくい操作感、本体のみで完結できる仕様...etc。ATEM Mini Extremeがダメという意味ではなく、Rolandが安定性・信頼性に力を入れているのだと思います。

なので、毎日ライブ配信する様なハードな環境や、絶対に失敗できない様な環境ではV-8HDの方が確実だなと感じています。やはりここに関しては業務用を想定しているからこそですね。これはV-8HDだけでなく、これまでに他のRolandスイッチャーを使っても感じたことでした。

とはいえ、映像合成の機能などは力不足を感じざるを得ません。その点では新商品の「Roland V-160HD」は"ガチATEM Mini Extreme"という印象で、まさに欲しかった機能が詰まっています。とは言え流石にお高いので、SDI無しバージョンがもう少しお安く出てくれないでしょうか...^^;


ということで、まだまだ比較のポイントはありますが、既に長くなっているので今回はここで終わりたいと思います。ライブ配信では他にも細かく紹介しており、また視聴者さんからも色々な声が寄せられました。

ぜひV-8HDをご検討中の方はこちらもご覧いただければと思います^^


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