あのひとのここが好き。そして困ったことにもう一人ーー秋の月、風の夜(6)
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人をモノのように扱うご先祖さまや「奥の人」のようすが、四郎の中でわきあがってきてしまうとき、奈々瀬に気取(けど)られないようにしてくれる。
……シャットアウトしようとしてくれる、そういう四郎の気もちが、奈々瀬は、好きだ。
話の通じないぐちゃぐちゃなご先祖さまたちと、大喧嘩になってもいいから、四郎に触れたい。
「奥の人」がどうしてあんなに悪魔っぽくなってしまったのか、「奥の人」じしんに問うてみたい。
人間を何だと思っているのか。どうして四郎を苦しめるのか。そのどこかお