時給の壁を越えていくような話

【編集部からのお知らせ】本記事は2019年に書かれたものです。
それ以前から業界内では自虐的ニュアンスで「監査のバイト」なる表現はそれなりによく見聞きするものでした。監査という意義のある仕事、世間的に見た場合の高単価というポジティブな面と、日雇の不安定な身分というネガティブな部分との対比から醸される情緒を揶揄的に「バイト」と表現し、その滑稽さがウケて、業界内のアンダーグラウンドを中心によく用いられるようになったものと理解しています。
しかし、2023年にダイヤモンドオンラインが『「アルバイト監査」に勤しむ四大出身会計士、最新日給相場と知られざる“うまみ”』なるややネガティブに受け取れるタイトルの記事(中身は確認しておりません)を出したことも手伝い、滑稽表現というもともとの位置づけから、多様な働き方に対するリスペクトを欠いた不適当な表現である、というように社会的な受容のされ方が変わってきたことが観測されています。
本来、メジャーな場に出すべきではないワルイ言葉が表舞台に出てしまった結果、当然に批判の対象となったということですね。
本件について、闘魂先生と協議したところ、「もっともだね、そんなの全然直すよ?」とおっしゃられましたが、闘魂先生は、「ネットの片隅のあまり読まれない記事についてはネットカルチャーに親しんだスラングがFitするとしても、一定程度のPVが見込まれる場合には、社会の動きに合わせて表現のトーンを穏当に調整すべきである」などということを理解する程度には大人ですが、「どうせ直すんなら、不適当表現をskipしたうえでさらに楽しく読めるように全面改訂をする。当時の勢いも死ぬだろうしな。ついでに、直したいところも全部直したいなあ、サムネもないしさ!インボイスとかも変わったし」と急にこだわりだす程度には子どもであるため、編集部としては、お知らせを掲載することでいったん直しは不要である、と申し渡しております。
なお、監査の非常勤についての見解を問うたところ、「雇用形態や職位に関わらず、いい加減な仕事をするやつはいるし、真のPROもいる。言うまでもないことだ。ただ、監査責任者や常勤スタッフと同等の責任を負っているかというと、そうではないと思うよ。だから役所のスタンスは基本的にネガティブだし、その方向性が示されたときにBIG監査法人では、非常勤契約を一斉に整理したりしたよね。そういや、あん時は、真剣にやってた非常勤の人たちが怒っちゃって『残念です』みたいなメールとか来てたなあ…」とのことであったため、「気楽な仕事」的な表現についてはそれを踏まえてもう少し充実した記述とするよう指示を致しました。(先生は「くどくなって勢いが落ちるぞ?全体的に書き直していいか?」と若干抵抗しましたが「うるせえ、おまえしかわからんこだわりは気にすんな」と一喝しました)
以上、ご理解のほどをよろしくお願い致します。

闘魂編集部 2023/10/30

夏は逃亡者が増える季節だ

業界人であれば、よくわかるだろうが、夏は監査法人から逃亡するのに最適な季節だ。監査人の異動・・・昇格・・・部門移動・・・担当替え・・・監査法人のストーブリーグは真夏(より少し前)であり、毎年このような時期には数々のドラマが生まれる。

おれはもう監査法人を脱走して10年近くになる身なので、独立志向のやつからこの時期にコメントを求められることもある。基本的には、すでに辞表を叩きつけたやつにしか商売の話をしないというマイルールがあるので、あんまりそういう話はしないことにしているのだが、幸いここはあまり人に知られていないので、おれの中の定番の話をまとめておくことにしようと思う。

監査のバイトはほぼ見た目どおり楽でわりと儲かる

2019年現在、監査のバイトの相場は、概ね5万/日だ。もちろん首都圏とか地方とかで変わってくるので何とも言えないが、一番よく聞くレートは5万だ。おれは、監査対応で知り合った会計士とかにも、概ね100%の確率で日当を聞いているので、わりと確かだと思う。

ただ昨今では、5万出しても人が来ない、といったケースもあるので、チョイ高めの6万とか、仕事はすごいクソだが7万もらってるからやむを得ないとかそういう話もたまに聞くようになってきた。

全然人採れないんすよねーとか言ってる零細事務所のオーナーによくよく話を聞くと、大体は単価が安い。そういうことだ。時給計算すると5千円ぐらいになってるともうヤバい。ずいぶん贅沢な話だとおれも思うが、何しろ人がいないんだからしょうがない。

監査のバイトをくさして言うつもりでもないが、やはりハンコも押さなければ、マネージャーでもインチャージでもなく、最低限客を怒らせるわけにはいかないが、別に報酬を吊り上げてこいとかも言われないし、取り敢えず現場に行って頼まれた調書を作ってればいいというのは、おれが思うに、責任の面では軽い仕事と言って差し支えないだろう。

もちろん、雇用形態や職位に関わらず、いい加減な仕事をするやつはいるし、真のPROもいる。報酬に見合ったPROクオリティの仕事をする矜持を持ち合わせたバイトももちろんいる。なんなら、バイトであることに誇りを持っている奴もいるかもしれない。そこは言うまでもないことだ。

だいたい法人も大手と違って、現場はさほど病んでないし、なんかひと昔前の楽しかったころの監査とかしてる感じだし、それで実際結構カネになる。事務勤とか無駄なことしなくていいし、現場を終わってからほかのジョッブの調書を書きに事務所に帰るとかもしなくていい。あと、今日やることが無いとかで悩む必要もない。

要するにこの仕事がつらいタイプのやつは、何をやらせてもつらいと感じる心底堕落したタイプか、異常に責任感が強いタイプか、マイ単価があまりにも高すぎるタイプか、大体そんなとこだ。そういうやつらは、悪いことは言わないから大手で頑張ったほうがいい。たぶん、世の中のためにもなる。

ひと月には概ね稼働できる日が個人差はあるが20日ぐらいある。とはいっても、20日全部埋まることはなかなかないので、頑張って15日ぐらい、多少は自由時間が欲しいと考えるものなので10日前後というケースが多いように思う。

そうすると、月にMAXで75万、平均すると50万程度が、監査のバイトをやっているだけで手堅く入ってくる。年収ベースで、900万から600万の間といったところだ。近頃は、シニアでだいたい残業とかもいれると800万ぐらいもらえるらしいので、仕事が比較的気楽になって金もそんなに減らないと考えると、なかなかいい仕事である。

従って、おれは独立したいという人間には、まずこの話をする。ここから言えることは、今の市場環境だとシニアは大体のケースで辞め得となり、マネージャーでもシニマネとかになってくると、差し当たり何年かは年収ダウンを覚悟しろ、という話になる。

単価が7万とかになるともう相当儲かる。しかも、おまえは最初は消費税をまるパクリしていいので、実際は1割ぐらい増しでカネが入ってくる仕組みだ。税金を考えると明らかに言いすぎだが、おれは税務に詳しくないので勘弁してほしい。

しかし、おまえは働ける日数についてよく考えてみる必要がある

独立したいやつで、一生監査を続けていきたいという人はかなり珍しく、大体は嫁さんの目が怖いとか、そもそも貯金がないとかそういう事情で、監査のバイトをすることになる。

ただ、監査のバイトには一つ弱点があって、なんか月単位で適当にシフトを組んでくれるような優しい事務所は、完全な個人的なつながりみたいなところ以外はあんまりなくて、年間何日働くかもともと決まっていたり、相当先までシフトが組まれていたりするケースがあり、うっかり120日とか契約してしまうと、実際身動きが取れない。

さっき言ったように、もともと月に30日、毎日20時間働くつもりの変態とかは別として、月には20日ぐらいしか仕事をできる日がない。おまえが20代とかなら、10日も自由時間があるサイコーとなるかもしれないが、人間は2019年現在、確実に歳をとっていきライフイベントは突然発生するので、だいたいすぐにそういうことは言ってられなくなる。おまえがナポレオンとかじゃない限り必ずそうなる。

また、おまえは経営者であり、自分の経営をしないといけない。加えて、おまえは事務員であり、おまえの請求書を印刷するとかいう至福の時を味わったりしないともいけないし、おまえの決算を組んだり、おまえの税金を払ったりとか、色々としなければならないことがある。

何より、おれがこれは一番大事だと考えていることだが、おまえは自分の経営方針とかを考えないといけない。あと、なんか勉強したりとかの商品開発にも時間がかかるし、人と会ったりとか営業に関する事もしておかないと、色々と限界がくる。

そう考えると、おれは、手を動かすという意味で仕事をする日は月に15日程度が限界だと思っている。少ないと思うかもしれないが、おれはこれを強くお勧めする、月に15日以上レギュラーで仕事を入れるのはマジで辞めたほうがいい。

独立した以上、おまえはこの先何十年か商売を続けていかければならないし、当然時代は変わってくるし、新しい物事にキャッチアップしながら、これから何をやっていくべきかというのを常に考えておく必要がある。10年はこの時代ちょっともう読めないので、3年から5年ぐらいのビジョンを持っておいたほうが良いだろう。そういうのを考える時間は絶対必要だ。あと、突然やってくる美味しい仕事にバッファーを残しておかないといけないとかそういうのもある。

15日理論の説明が長くなってしまったが、年間120日(つまり、月に10日だ)とかバイトに行ってしまうとヤバい理由は、要するにもうお前が他の仕事につかえる時間が5日しか残っていないというところだ。月に1日ぐらい訪問しなきゃいけないとか仕訳切らないといけないとか稼働が必要な先とかで、単価が3万とかばっかりを拾ってしまうケースを考えると、単純に言って、おまえはあとはもう月に15万しか増やせないような計算になる。

要するに、こういうケースだと、おまえの年収は案外800万程度でストップする。

独立して800万売り上げてればいいんじゃないかという話もあるかもしれないが、実はおれが独立した10年ほど前は、監査のバイトもこれほどレートが高くはなく、なんなら3万ぐらいでも結構人は来てくれていたものだ。景気も実際悪かった。また将来にそういうことが起こらないとも限らない。

あと、そうなると食えないやつが結構増えてくるので、バイト先も安く雇える常勤に切り替えたりとかをやりだす。そういう場合に、自分の仕事が月に15万程度しか稼がないというのは、結構危ない。

第一、800万ぐらいなら、だらだら大手で勤めていてもいい。あれはあれでしんどいが、考えようによっては、なんかうまくやってればいいだけのことでもあるし、有給とかそういうのもある。

独立するというリスクコントロールの考え方

前も書いたかもしれないが、収入源を1個に頼るというのは、サラリーマンも含めておれは一発のリスクがデカいと考えている。この場合、おれは悪いほうのリスクだけを強調しているが、実際サラリーマンはアップサイドがあんまり大きくないので、あっていると思っている。

独立して多くの仕事を手掛け、収入源を複数持つことは、実はリスクヘッジとして大変優れているというのがおれの考え方で、そういうタイプの人にこそ独立を勧めている。仕事は不安定になるが、たくさん集めればどうということはない。

監査のバイトで収入の多くを支えるというのは、その視点から言うと若干中途半端なところがあって、月に働ける15日のうち10日について一つの仕事をしているということのリスクはよく考えてみたほうが良い。

実際、身の回りに年間100日以上のバイトを約束してしまっている人間も結構いたりして、それはその台所事情的なこともあったりして一口にダメだともいえないところはあるのだが、何よりも「月に10日ぐらい働く」ことのウェイトを見誤ってしまっているところに問題があったりする。月10日というと、なんか死ぬほど仕事させられてたサラリーマンからすると、とても軽い仕事に見えるのだが、実際はそうではないということだ。

あと、監査という仕事自体はやることが膨大にある仕事なので、監査のバイトは、今日は客が来ないからだらだらしていていいとか、半分の時間で終わらせたからあとは海外ドラマとか見てていい、ということがあまりない。手が空いてると、大体何かやりましょうかとなり、結局一日みっちり働かされる羽目になる。おまえはこないだまで一日に14時間とか働いていたのでへでもないと感じるかもしれないが、この、みっちりやらないといけないという点が、後々ひびいてくることになるので、注意が必要だ。

バイトの時給を超えていくにはどうすればいいか(ランニング編

しかし、バイトの日当は5万あるのである。ここが悩みどころだ。実はじっくり選べば、日当10万を超える仕事というのも会計士にはザラにあったりするのだが、だいたいそういうのは年契とかではなくスポットで、今月はあるけど翌月はない、そういうたぐいのものだ。

相当な売れっ子であれば、話は別であるが、スポットの仕事だけで生活を考えるというのは、それはそれで難しいところがあり、ある程度ランニングの仕事を作ったほうが良いとおれは考えている。

誰もが思いつくランニングの仕事で、実際にとれやすいのはやはり税務顧問だ。ただ、よく言われることであるが、単価はあまり高いとは言えない。だいたい最初は、飲み屋で知り合った税務の仕事とかを喜んで引き受けてしまうものなので、誰しも1個ぐらいは断りたくて仕方がない仕事みたいなものを抱えているものだ。

ただ、一口に税務顧問と言っても、実は内容はバリエーションに富んでいる。記帳込みで死ぬほどしんどい5万もあれば、決算の時以外ぶっちゃけ電話をとる以外のことは何もしていない2万とかもある。税務を軽視するのもわりと会計士あるあるなのだが、おれは案外侮れない仕事だと思っている。なにより、PROの税理士でめちゃくちゃ稼いでいる人がいる以上、結局はやり方次第ということで、額面だけで効率がいい仕事かどうかは判断できない。

おれは、事務所を構えるルートには進まないとして、稼働が少ない税務は一人親方でもやるべきだと思っている。また、最初は記帳とかやらされてツライ税務であっても、客に影響を及ぼしたり、なんかテクノロジーを導入したりして、仕事を効率化できる場合がある。要するに、サボる余地のある仕事はわりと挑戦してみる価値があると思っている。

月の顧問料が2万しかなくても、電話で月平均1時間ぐらい会話するだけで報酬が支払われるのであれば、日当で言うと7倍の14万相当の価値がある。(実際は申告書作成時に労力を食ったりするので、まあ10万とか)何より、客からの電話というのは、誰しもとらざるを得ないという理解があるので、たとえ超きつい監査のバイトとかしていても、相当人間としてヤバいやつがしきっている現場とかじゃない限り、許される。

つまり、お前は、その電話をとっている通算1時間の時間について、バイト代ももらうことができる。これがミソだ。おまえは瞬間風速的に日当15万とかの速度を出していることになる。これが、バイトの現場で急いでよその連結を組みますとか、DDレポートを書きますとかだと全く許されない。みっちりやらないとダメな仕事の弱点はそこで、内職ができないところにある。

また、バイトという仕事には、効率化すると収入も減る(もしくは労働インプットあたりの単価が下がる)という宿命がある。しかし、顧問料は、どれだけ効率化しても、切られるリスクが増えるだけで、すぐには収入が減らない。切られるかどうかは実際客のニーズを満たしているかどうかなので、最低限のところをやるようにするだけでもいいし、客にうまく影響を及ぼして、そもそも期待値を下げてしまえば、大して何もやらなくてもあまり問題にならない。つまりコントロール可能だ。

バイトの単価を超えていくために考えなければならないのは、月額でいくらかとかいうことよりも、仕事を効率化できるかどうかとかそのあたりのことで、要するに、美味しい仕事をうまく選別するかとか、仕事を美味しくしていく方法とか、そういうことだ。あとは、片手間にできるやつは、デキるだけやったほうが良い。ほかの仕事をしながら人目を忍んで一儲けできる仕事はかなり最高の効率を誇る。

ところで、税務で1点だけ気をつけたほうが良いのは、マジで税務上の問題が発生してしまうケースだ。そういう意味では、客の選別とか、ヤバそうな数字に気づく嗅覚とか、その辺に自信がないのであれば、あまり広げないほうが良いだろう。おれは、全く自信がないのでそうしている。結構賠償とかを食らう例もある。

なお、ランニングの仕事でも、もっぱら会計士に来るような、決算支援とか内部統制支援とか、連結を作ったりとかそういった仕事は、そもそも単価が5万以上だったりするので、あまり語る必要はないだろう。ありつくと非常においしいし、元請けであれば、気に入ってもらって単価を上げてもらったり、仕事の範囲を広げてもらったり(よし悪しだが)とかそういうポテンシャルもある。

早いうちに、そういうターニングポイントになり得る仕事に巡り合えるかどうかは、デカいが、そこには別途仕事をどうやってとっていくかという話が絡んでくるので、また別の機会にしたいと思う。

バイトの時給を超えていくにはどうすればいいか(スポット編

スポットの仕事というのは、基本的には成果がありきで、成果に対して報酬が支払われるタイプのものが多い。まあ、工数清算のものもあったりするが、総じてチャージできる限り単価は高めでおいしい。

スポットの仕事の決め手は、美味しいランニングの仕事とだいたい同じで、仕事のとり方の話になってくるので、今回は深追いしない。ただ、スポットの仕事で注意しなければならないケースにだけ触れておく。

問題は、その成果物が早くできあがるかどうか、ということだ。ただここに、客が何が成果物か、ゴールか、ということをちゃんと理解しているか、という要素も入ることに気をつけたい。

DDとかバリュエーションの仕事あるあるとして、なぜそれが必要か実はよくわかっていないやつが、形式的に要求してみたものの諸条件がそろわず、意思決定が延び延びになったりして、なんか忘れたころにアップデートしてとか言われるやつ。これは最悪の仕事だ。実際2回分仕事をしていることになるのにフィーは1回しか支払われない。だいたい、その仕事の価値をわかっていないからそういうことになるので、当然多少期間が延びた程度のことで報酬が増えるとは夢にも思わないような連中だ。

これは、案外避けられないので、ある程度は許容しないといけないが、なんかヤバそうな気配を感じたら、お断り上等で多少吹っ掛けておいたほうがいいだろう。

あとはなんか、思った通りのことをすごい適当に書いてくれる、とにかく夢をかなえてくれるみたいな誤解をしている奴にも注意したほうが良い。だいたいのケースで注文が多すぎたり、思い通りに行かなかったら余裕で前提条件を変えてきたりするので、採算はあまりよくならない。実作業以外に、客を言いくるめたり説得したりするところに意外と労力がかかったりする。

最後に、気をつけたほうが良いのは、おまえが、やたらと成果物のクオリティにこだわるタイプの場合だ。高い仕事にこだわるのはいい、とてもいい。ただ、得てしてそういうやつは、チープな仕事にも全力を尽くしたりしてしまう。

そういうやつは、下請けとしてはサイコーなので、仕事はバンバン回ってくるが、当然クソみたいな仕事もバンバン回ってくるようになる。そういうやつは金に困ることはあまりないが、なんか仕事が永久に終わらないみたいなことになり、結局仕事のブラック度が増してその分売上も増えただけ、みたいな結果に陥る場合がある。

バイトの時給を超えていくにはどうすればいいか(スピリチュアル編

ほぼあらゆるケースで、今まで述べてきた仕事の効率を凌駕するのは、クライアントをスピリチュアルに支援する仕事だ。何を言っているのかわからないかもしれないが、いわゆる顧問契約、アドバイザリー契約の中には、実務が要求されないものがある。それはつまり、おまえの仕事ではなく、おまえ自身に直接値段がついているタイプのものだ。当然おいしい。

ただ、全く何もしなくていいというケースはよっぽどのビッグネームとかでない限り稀なことで、有形の成果物とか、業務サイクル上必要なものを作らないというだけで、おまえはクライアントにインスピレーションを与えたり、困難に立ち向かう勇気を与えたり、難解な問題をシンプルだと勘違いさせてみたりとか、そういった目に見えないものを提供する必要がある。

より具体的に言うと、おまえはしゃべったり、メールに返事をしたりしないといけなくて、その内容が、どうでも良かったり、ありきたりだったり、なんか楽しくなかったり、ひどい場合はてんで見当違いだったりするとあんまり長続きしない。

ただこの手の仕事はおれの経験上、取り敢えず顔を出して多少しゃべったりしていれば、暇な時間に何をしていても基本的に文句は出ない。ただ肝心な時にいないとか、そういうのがわりとネックになってくるところはある。

問題は、何が結果的に喜ばれるかということを分析して再現性のある商品に落とし込むのがかなり難しいというところだ。これは、もしかしたら前に少し触れたかもしれないし、また書いてみるかもしれないので、今日はやめておこう。

おれのおすすめは、まずは何らかの実務から入り込んで、気が付いたら、スピリチュアルな何かに対して報酬が支払われるように仕向けて行くことだ。そういう意味では、客の性質はよく見る必要があるが、目の前の仕事の単価だけでものごとを判断してはいけない。おれはそう思う。

おわりの話

以上、おれが独立したやつにいつもする話だが、まあだいたいはよくわからないなという反応をされるところだ。たぶん、資産活用がどうとか、FAがどうとかIPOとかそういったことを言わないから、なんか期待外れなんだと思う。そういうのは、世の中にいっぱいある話だし、なんか他から聞いてくれたらいい。

結局のところおれはどういうジャンルの仕事を選ぶかということよりも、効率よく仕事をすることのほうが、時給の壁を越えていく上では重要なことだと思っているということであり、目の前の仕事とか客とかをよく観察して、なんかうまいやり方みたいなものを常に探していくということだと考えている。

そういったことを考えて、自分に固有のスキルを磨いていこうと思うのであれば、人に使われたりして目の前の作業に追われる時間はそこそこにとどめておいたほうが良いし、年間120日1年先のスケジュールが決まってしまうような仕事というのは、相当な単価だったり、かなりアップサイドが見込めるとかでない限り、そもそも、おまえの自由な時間の価値には劣る。

つまり、もう辞めてしまったやつに言ってもしょうがないことではあるが、そうやって、スタートアップの苦しい時期を耐えられるだけの貯金をしてから仕事を辞めろということだ。たいていのスタートアップでは、プロダクトができてそれが売れ始めるまでは赤字を受け入れないといけない。

会計士の商売には目に見える仕入とか開発とかがないから、そのあたりが勘違いされがちだが、監査のバイト(に限ったことではないのだが)に多大な時間を食われていると、ちょっと工夫されてるビジネスモデルとか、ユニークなサービスとかを考える時間が無くなるし、たまたま知り合いが拾ってきためちゃくちゃおいしいスポットの仕事とかにもいけなくなることが多い。

そういうことをよく考えてから仕事を始めたほうが良い、そういったような話だ。


誠にありがたいことに、最近サポートを頂けるケースが稀にあります。メリットは特にないのですが、しいて言えばお返事は返すようにしております。