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クリティカルシンキングをし続けることを恐れてはいけない

書き出し

マネーフォワードPdMのtktです。(Twitterフォローしてね)
プロダクトマネージャー、というかプロダクトマネジメントをする上で重要なクリティカルシンキングですが、進めるのを恐れてしまう場面を時折散見するので、考えを書き記しておこうと思います。

ロジカルシンキング
物事を体系的に整理し、筋道を立てて考える思考法です。フレームワークを使って物事を素早く整理し、事実や仮説、推論を積み重ねて、再現性のある解答を導き出します。
クリティカルシンキング
与えられている現状・問い・条件について物事の本質を見極め、「本当にこれで良いのか」と前提から疑う思考法です。前提条件や制限条件が本当に正しいかを確認することで、問題の本質を見出して、根本的な解決方法を導き出します。

出典:Gemini


結論

クリティカルシンキングを進めることを恐れ、諦めてしまうと結局、総合的に事業や会社、なによりユーザーにとってマイナスになります。
とはいえ人同士で仕事してるため、完全ロジカルコンピューターおじさんでは仕事は回らないことが多いです。
ステークホルダーの心情や組織上での立ち位置なども気にしながらバランスをとり続けることが求められています。


クリティカルシンキングを恐れる場面

使われていない機能を引っ込めれない

本番にリリースしてしまった使われていない機能を戻せない場面はよくあります。
自分もありがちなんですが、

  • 作るのが大変だったから

  • ステークホルダーや上司が「使ってる人0人ではないから戻さなくていいじゃん!」と言うから

  • 戻したらこれまでの工数分の評価がなくなるから

「これ本当に本番に入れっぱなしでいいんだっけ・・・?」という疑問が浮かんでも、上記のような理由がありクリティカルシンキングを進めるのをやめてしまいがちです。
使われていない機能はロジックが引っ込める基準に当てはまるのであればとっとと引っ込めてしまう方が良いに決まってます。
保守工数も無駄ですし、UIとしてもゴチャつく可能性があります。

リリースしたり開発するまでに決裁承認や社内フローが必要な会社は一般的ですが、逆に出した機能を引っ込めるプロセスが整ってる会社はこれまで経験的に1社しかなかったので、組織としても機能を引っ込める判断をサポートされるようになるのが評価されることも一般的になると良いですね。


ビルドトラップ

常に何かリリースし続けてないと不安になると、正常な判断をくだせなくなりがちです。
何でもいいから小さい機能改善でも、とにかくリリースさえし続ければユーザーに価値が提供できる気になりがちです。
ただ、プロダクトは基本的にはコツコツ小さな改善を積み上げて緩やかに右肩上がりに魅力品質をあがっていくものではなく、ユーザー課題にクリティカルに刺さる機能をたまに出してガツンと魅力品質を向上させるというのを反映永久的に繰り返し成長していくものです。
当然、本来PdMの仕事である「ユーザーが本当に必要なものはなんなのか」を明らかにする必要があり、これを確信めいたところまで持っていくのは中々時間がかかり、短いスパンでリリースできるものではありません。
会社の評価やチームの進捗が出ていないような感覚に陥りがちですが、小さな改善や当たり前品質の向上を続けていても中長期的に見ると、競合サービスを超えることも社会的に革新的な価値を提供することもできず、事業や会社にとって生み出すメリットは小さいでしょう。


コミュニケーション

「その機能はなんで必要なんだっけ?」「本当に解決したいユーザー課題ってそうなんだっけ?」「どうしてその機能を作るとユーザー課題が解決できると言えるの?」などのように、機能を作る上で絶対に必要な問いかけがあります。
これはプロダクトマネージャーが頭の中で自問自答するのは当然ですが、チームに展開するために文章化するか口頭で伝えるかはしなければいけません。
もっと進んだチームならチーム内で「今度作るこの機能だけど、それって本当にこのHowで課題を解決できるんだっけ?どこか間違っている気がするから、みんなで確認しない?」といったような発議もでてくるでしょう。
大変に素晴らしいことですし、良いプロダクトを作るため、ひいては良い開発チームになるためには日常的にこういったコミュニケーションが生まれるべきだと考えています。
しかし、こういったコミュニケーションを嫌がるメンバーもいます。

クリティカルシンキングを進めるなかでありがちなのが、「何故(Why)これなの?」といった問いかけを何度もすることです。
コンサルでも一般的な、なぜなぜ分析のようにWhyを問い続けているとどこかで矛盾が生じ、そこがロジックの穴であることを発見することができます。
そのため本当に解決したい「ユーザー課題→提供する機能」の、”→”の中でのロジックの矛盾や抜け漏れを探すときに、Whyを繰り返すコミュニケーションを行うのが一般的かと思います。
しかし、このコミュニケーションに対して「自分自身を否定されている」「自分の意見を聞いてくれない」「屁理屈で自分の要求を通そうとしている」というふうに読み解くメンバーも0ではありません。
当然、言い方や語気には十分注意する必要がありますが、それでも昨今ハラスメントに厳しい世の中なのでいわゆるロジハラなどとして報告されてしまう可能性があり、公の場でこういったコミュニケーションをすることを恐れてしまいがちになります。



良いプロダクトを作る上で(というかプロダクトマネージャーは)クリティカルシンキングは当たり前の所作ですので、欠かすことはできません。
恐れずにいきましょう。
とはいえ、チーム内外問わず全てのステークホルダーとコミュニケーションをとるプロダクトマネージャーにとって、「単純な論理の積み上げ」と「それ以外の人間の感情/心情による価値観の考慮」のどちらか一方だけを突き詰めるのは間違っています。
いわゆる中庸であれ、というそう言う意味でのバランス感覚が仕事を進める上でプロダクトマネージャーには求められます。


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