【レビュー】『出し切った膿』~第42節東京ヴェルディVSファジアーノ岡山~

試合結果

2022 J2 第42節
10/23 14:03K.O. @味の素スタジアム
東京V(0-2)岡山
34分 河村慶人
63分 佐藤凌我

スタメン

マッチレポート

リーグ最終節に敗れて2連敗。不安を残してプレーオフへ。

岡山は前節から先発6選手を変更して、最終節に臨んだ。3位が確定しており、次週のプレーオフに向けたコンディション調整にも見えたが、出場機会を得た選手たちは立ち上がりからアグレッシブにプレーした。中盤で起用されたムーク、仙波、本山が鋭い読みと反応でセカンドボールを回収して、攻撃につなげていく。3分、ピッチ中央でムークと仙波が相手を挟み込んでボールを奪取すると、佐野が切り返してPA左からシュートを放った。しかし、枠を越えてしまう。この試合で初めてのシュートを放った背番号22は、プロ1年目のリーグ最終節で積極的な姿勢を貫く。6分にもPA左からシュートを打ち、13分にもミドルシュートを狙ったが、マテウスが守るネットを揺らすほど精度
が上がり切らない。

5連勝中の東京Vは[4-4-2]で強固な守備ブロックを築き、河村が右サイドから力強く突破してゴールに向かった。22分には河村のクロスが濱田の足に当たり、あわやオウンゴールになるシーンを行くり出した。東京Vも枠を捉えるシュートを打つまでには至らなかったが、岡山の一瞬の隙を見逃さない。34分、ンドカが中央を突破し、左サイドから加藤が上げたクロスを河村がファーサイドから飛び込んだ。強烈なヘディングシュートを揺らし、東京Vが先制に成功した。

後半、岡山は永井を投入すると、背番号38が勢いよくボールを奪いに行き、イグォンが左サイドから突進していく。59分に永井が相手ゴールまでボールを奪い、チアゴがシュートを放つも、DFのブロックに遭う。状況を打破するべくシステムを[3-5-2]から[4‐4‐2]に変更するも、ミスから追加点を奪われる。右SBにポジションを変えた本山のパスを佐藤にカットされると、ミドルシュートを決められた。

2点差を追い掛ける岡山は78分に抜け出したデュークがネットを揺らすも、オフサイドでノーゴール。試合終盤は途中出場の輪笠が右サイドに流れてクロスを供給してゴールに迫った。しかし、永井のヘディングシュートはバーに当たり、最後まで得点は奪えなかった。

岡山は東京Vの倍以上の12本のシュートを放った。しかし、無得点に終わり、2連敗でプレーオフに向かうことになった。不安が残る結果から停滞感を感じずにはいられない。しかし、プレーオフはリーグ戦と違う。切り替えて一発勝負に備えるしかない。

コラム

悔し涙をうれし涙に。本山遥は悔しさを糧に強くなる

リーグ最終節が終わって選手たちがサポーターにあいさつをしているとき、人知れず涙を流していた男がいた。

その名は本山遥。今季に関西学院大学から加入したルーキーは、本職のSBではなくボランチでプロ1年目を走り抜けてきた。豊富な運動量とボール奪取力、広いスペースをカバーできる機動力を見出されて開幕スタメンを勝ち取ると、37試合に出場。31試合に先発し、プロ初ゴールも決めた。

大卒ルーキーながらチームの主力を担ってきた。しかし、夏に秋田から輪笠祐士が加入し、9月以降は先発して90分間出場したのは第26節の徳島戦のみ。8月までは20試合に先発してフル出場を飾っていた。

ライバルの加入で出場機会を減らしていた本山だったが、最終節は先発のチャンスが回ってきた。持ち前の強度の高い守備を発揮するだけでなく、課題に挙げていたビルドアップではしっかりと前にボールを配球していく。積極性を見せていたが、63分に痛恨のミスを犯してしまった。右SBに変わり、最初のプレーで横パスを相手に奪われてしまい、追加点を許した。今節のチャンスに懸けていたのに。失点に直結するミスをしてしまい、後味の悪いものになった。

しかし、悔しくて流した涙は絶対に無駄にならない。失敗がもっと強くする。今季もそうやってトライ&エラーを繰り返して成長してきた。まだ大事な試合が残っている。今季最後の試合終了後に、うれして涙する背番号26の姿を見たい。

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