【レビュー】『前節の敗戦を払しょくする3‐0』~第37節ファジアーノ岡山 VS V・ファーレン長崎~

試合結果

2022 J2 第37節
9/17 19:03K.O. @シティライトスタジアム
岡山(3-0)長崎
45+4分 ヨルディ・バイス
70分 チアゴ・アウベス
75分 ミッチェル・デューク

スタメン


マッチレポート

退場者が明暗を分けた。岡山が10人の長崎を圧倒して3‐0

岡山はキックオフ直後からアグレッシブに攻めた。イグォンが左サイドから切れ込んで右足を振り抜き、獲得したCKでは混戦から抜け出した齊藤がゴール前でシュートを放つ。立て続けにチャンスを作り出すも、粘り強い対応とGKの好守に遭って先制点を奪うことができない。すると、長崎がボールを握って試合を進めていく。前節から引き続き3バックを採用する中で、アンカーの鍬先が左右にパスを散らし、クレイソンが自由に動き回って2列目で起点を作る。10分には左サイドでパスをつなぎ、大竹がミドルシュートを放ったが、枠を逸れていった。

長崎のビルドアップに対して岡山は齊藤と移籍後初先発の永井を先頭にプレスを掛けて応戦。しかし、重心が後ろに掛かって中盤で数的優位を作られてしまう。それでも選手個人の強度や運動量で長崎のパス回しに食らいつく。マイボールにすると、右サイドに流れた齊藤のクロスやセットプレーで押し返した。

互いに持ち味を出す中でターニングポイントは27分。審判に異議を唱えたクレイソンが2度目の警告を受けて退場となる。その後は数的優位の岡山がこぼれ球を回収し続けて一方的に押し込んだ。なかなかゴールをこじ開けられない時間が続いたが、前半終了間際に均衡を破った。徳元のクロスが相手のハンドを誘ってPKを獲得。これをバイスがGKの逆を突くシュートを沈めて岡山が先制した。

後半も岡山が主導権を握り続ける。前線に投入したミッチェル・デュークが起点を作り、左右に揺さぶって攻めていく。しかし、長崎の堅固な[4-4-1]のブロックを崩すことができず、もどかしい時間が続いた。しかし、途中出場のチアゴが沈黙を打ち破る。相手DFとGKの連係ミスを見逃さなかった背番号7がボールをかっさらい、ループシュートを決めて追加点を奪取。さらに、75分にも徳元のクロスをデュークが頭で合わせてネットを揺らした。その後はバイスと柳を中心に徹底したリスク管理を行い、アタッカーを次々と投入した長崎に反撃を許さなかった。

岡山が10人の長崎を圧倒した。長崎のプレッシャーを受けずにボールを持つ時間が続く中で、最後まで1点でも多く得点を取ることにこだわった。その結果として21本のシュートを放ち、3‐0の大勝を収めた。再び勢いを持って、逆転での自動昇格を狙っていく。

コラム

目指すは90分での勝利。献身性で流れを掴んだ2トップ

やはりチアゴ・アウベスとミッチェル・デュークの2トップは強力だ。改めて彼らの力強さ、得点力を感じる試合結果になったが、2トップで先発した齊藤と永井を忘れてはならない。

前節の敗戦を引きずることなく、立ち上がりからアグレッシブにプレーできたのは齊藤と永井の献身性があったから。連戦の疲労を考慮した起用でもあったかもしれないが、齊藤と永井が立ち上がりから相手にプレスを掛けていき、試合のリズムを作った。自分の背後を確認しながら相手に寄せる、巧みなコース取りでプレスのスイッチを確実に入れ、それに後ろの選手が連動していく。長崎に退場者が出るまでボールを握られる時間が続いたが、前線の2人が焦れずに我慢強く守備にエネルギーを出したことで、組織として崩されることなく決定機も作らせない展開で進むことができた。

齊藤と永井は地味に見えたかもしれない。2人にはチアゴのような強烈な左足やデュークのような圧倒的な高さは無い。しかし、外国籍FWにはない献身的な姿勢がある。そして、献身性はチームとして90分間を戦うサッカーに必要不可欠だ。先発した齊藤と永井が攻守でチームのために奮闘したからこそ、バトンを受け取ったチアゴとデュークが得点を取る役割に専念することができた。90分間を通して勝利するための見事なリレーだった。

読んでいただきありがとうございます。 頂いたサポート資金は遠征費や制作費、勉強費に充てさせていただきます!