【レビュー】『逃した大きな獲物、レジェンドと一緒にJ1へ』~第41節ファジアーノVSブラウブリッツ秋田~

2022 J2 第41節
10/16 14:03K.O. @シティライトスタジアム
岡山(1-2)秋田
50分 河井陽介
59分 齋藤恵太
90+3分 青木翔大

マッチレポート

今季最多の12,570人の前で勝てず。自動昇格が消滅するも、3位が確定

今季最多となる12,570人の観客が集まったホーム・シティライトスタジアムで、岡山は自動昇格への望みをつなげることができなかった。

2020年の開幕戦ぶりに声が戻ってきたホーム最終戦、岡山は4試合ぶりに復帰したチアゴ・アウベスとミッチェル・デュークが推進力を発揮して、3連勝中の秋田を押し込んでいく。5分、古巣対戦となる輪笠が敵陣右サイドでパスカットし、ヨルディ・バイスから一気に左サイドの佐野にボールが渡ると、落としを受けたチアゴが左足を振り抜いた。練習で取り組んだサイドチェンジからチャンスを作り出すも、チアゴのシュートはブロックに遭う。素早い切り替えから球際をタフに戦って、敵陣でのプレーを増やしていく。しかし、サイドからのクロスは秋田の屈強な守備陣に跳ね返されてしまう。すると、秋田が2トップの齊藤と青木のパワーで反発する。28分、茂が左サイドから折り返して、PA中央で井上がシュートを放つも、河井が身体を投げ出して弾いた。

0‐0で迎えた後半、岡山は攻撃にアクセントを加えた。サイドのスペースを突いて秋田のCBをゴール前から引っ張り出すと、均衡を破る。50分、右サイドに流れたチアゴの折り返しを河井が右足で合わせた。岡山が待望の先制点を奪い、スタジアムが大きく沸いた。

自動昇格の可能性をつなげる勝点3のために、リードを死守することもできた。しかし、大歓声を受ける岡山は攻撃的な姿勢を貫く。サイドからクロスをどんどん放り込み、徳元がロングスローを投げ入れる。しかし、追加点を奪えずにいると、59分に秋田のカウンターが発動。青木のパスに抜け出した齊藤が河井を振り切ってシュートをネットに突き刺した。

同点になっても、Cスタにはチャントの大合唱がこだまし、手拍子と応援ハリセンが鳴り響く。最後まであきらめない岡山は途中出場の選手が持ち味を発揮していき、81分に決定機を作り出す。イグォンが左サイドを縦に突破してクロス。これを成瀬がPA中央で合わせたが、鋭いシュートはブロックされた。試合終盤は立て続けにCKを獲得するも、秋田の壁をこじ開けられない。90+3分には途中出場の小暮のクロスを青木に押し込まれ、勝ち越しを許した。

今節の敗戦で岡山は自動昇格を横浜FCに譲ることになった。しかし、まだ昇格のチャンスは残っている。他会場の結果によって3位が確定したため、プレーオフ1回戦をホームで戦うことができる権利を得た。良い状態で迎えるために、気持ちを切り替えて最終節に向かっていくしかない。

コラム

2人のレジェンドと最後にうれし涙を流したい

僕は涙をぬぐいながら、鼻水をすすりながら、ホーム最終戦セレモニーを見ていた。

涙腺が崩壊したのは、関戸健二選手があいさつをしているとき。2012年に流通経済大学から岡山に入団してから一筋で241試合に出場した背番号17が、あいさつの途中に涙ぐんでいる姿を見て、涙をせき止めていた堤防が決壊した。そして、喜山康平選手のあいさつを号泣しながら聞いていた。2007年に入団した喜山選手は、クラブのJFL昇格(2007年)とJ2昇格(2008年)を成し遂げ、2017年に岡山に復帰して10シーズンを過ごした。誰もが認めるクラブのレジェンドである。僕も2008年に初めて岡山の試合を当時の桃太郎スタジアムで見たとき、喜山選手は背番号11を背負って点取り屋として戦っていた。左足でのシュートがうまい彼に憧れて、サッカーボールを蹴っていたことが懐かしい。

関戸選手は2012年から、喜山選手は2007年からの2年間と2017年から、クラブの歴史を知る選手であり、クラブがどのように発展してきたかを知る数少ない選手である。そんな彼らがクラブを去ることが寂しくて仕方がない。これまで活躍してきた彼らの姿を、本のページをめくるように次々と思い出した。

彼らのあいさつ終了後に残ったのは「一緒にJ1に行きたい」という気持ちだけだった。これまで人生を懸けてチャレンジし、夢半ばであきらめた選手たちも多くいる。これまで挑戦してきた全ての人の想いを背負って、最後にJ1昇格を成し遂げたい。今シーズンの最後にうれし涙を流すために。

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