「均衡した90分を決めた勝利の執念」~第32節ファジアーノ岡山 VS FC町田ゼルビア~

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 前節京都に逆転負けを許したファジアーノ岡山はホームで勝点3を目指す。一方FC町田ゼルビアは第26節京都戦から勝ち星がない現状を打破すべくシティライトスタジアムに乗り込んだ。

スタメン

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ファジアーノ岡山
・フォーメーションは4-4-2。
・DF田中裕介がCBでスタメン復帰。
・ボール奪取力に優れたMFパウリーニョ・MF白井永地のボランチ
・ボランチやSBを助けるMF関戸健二の運動量

FC町田ゼルビア
・フォーメーションは4-4-2。
・若手が多いチームを統率するDF水本裕貴・DF深津康太のベテランCB。
・岡山県出身MF佐野海舟のボール奪取力と運動量。
・MFジョン・チュングンの成長した姿
・”岡山キラー”FW平戸大貴。


質の高いボランチのローテーション

 この試合は4-4-2のフォーメーション同士のチームが戦うミラーゲームとなった。町田のボランチMF佐野海舟・MF高江麗央はボール奪取に優れている選手で地上戦のデュエルでも戦える選手。そのボランチの前、2トップの一角からスッと下りてバイタルエリアを主戦場とするFW平戸大貴。

 相手選手の特徴を考慮して、ボランチの前と後ろのスペースや1対1の球際で強さを発揮するMFパウリーニョ・MF白井永地を有馬賢二監督はボランチのスタメンとしてチョイス。ボランチの2人が独力でボールを奪うシーンに加えて右サイドハーフのMF関戸健二が気を利かせた内側に絞る守備で相手を挟み込んで奪うシーンを作ることができた。

 時折、MFパウリーニョが主に自陣バイタルエリアを主に右サイドに飛び出してボールを深追いしてしまうシーンがあったが、MF白井のカバーリングや逆サイドのMF上門知樹の絞りで失点するまでには至らなかった。サイドから中央に戻してバイタルエリアに縦パスを1タッチで打ち込む町田の攻撃には脅威を感じ、ラストパスがずれなければ…というシーンもあった。バイタルエリアを空けてしまうこともあったが、CBの2人+GKの集中した守備を軸に無失点に抑えることができた。

 時計の針が進むと、MF喜山康平を投入してルーズになっていたバイタルエリアを引き締め、終盤にはMF上田康太をピッチに送り出して攻撃の矢印を縦に強めた。

 けが人が戻ってきたボランチの選手層はリーグ屈指。各々が別々のストロングを持った選手を対戦相手や試合展開によって使い分け、交代によって中盤のフィルターの強度を維持できている。交代枠5が岡山にもたらす恩恵のひとつだと言える。


齊藤和樹の推進力

 町田の集中した守備組織を崩すために有効になったのが守→攻の切り替え。町田は攻撃時に両サイドバックをかなり高い位置に押し上げる。そこで岡山が突きたいポイントはSBの背後のスペースだ。

 岡山は集中した守備とボックス内での慎重かつ丁寧な対応で町田に決定的なシーンを作らせない。ボールをピッチ外に蹴りだしてピンチを脱するのではなく、きちんとマイボールにできていた。

 ボールを奪った選手が前を向くと、FW齊藤和樹は主に右サイドに流れてボールをピックアップ。相手とボールの間に身体を入れて、味方の上がる時間を作るボールキープ。裏のスペースで走り込みながらパスを受けて、身体をゴリゴリと当てながら、腕で相手を抑えながら重戦車のようなドリブルで前に運ぶ。守備力に定評のある町田のDF奥山政幸やMF佐野海舟がファウルをしないと止められないほどの推進力で岡山の攻撃に大きく貢献した。

 ゴールこそ奪えなかったが、前からのプレスやプレスバックなど「ゴール」以外の役割のすべてを高い次元でこなしていた。


試合を決着させた徳元悠平の劇的ゴール

 FWイ・ヨンジェ、FW赤嶺真吾、MF喜山康平、MFデューク・カルロス、MF上田康太を投入して交代枠を使いきった岡山。30節の千葉戦で見せたような終盤のゴールを期待するサポーター・ファンの手拍子がより一層強くなり、選手の背中を後押しする。

 均衡した試合を展開していたシティライトスタジアムに歓喜の瞬間がアディショナルタイムに訪れた。

 91分、自陣のスローインからDFラインで繋ぎ、DF濱田水輝からペナルティエリアの右角を取るFWヨンジェにロングボールが通る。相手のプレスを受けながらもFWヨンジェはクロスを上げるものの、ブロックされてしまう。

 右サイドの深い位置で得たスローインをDF椋原健太とMF上田のパス交換で相手を揺さぶり、MF上田が左足でボックス内にクロスを送る。クロスボールは弾かれるが、そのクリアは小さく、セカンドボールにMF白井とDF濱田がしっかり詰めて相手に渡せない。

 逆サイドから内側に入っていたDF徳元悠平がこぼれ球を拾うと、コントロールで左前に持ち出し、迷うことなく左足を振り抜いた。放たれたシュートはDF小田逸稀のクリアミスを誘い、ゴールネットに吸い込まれた。

 待っていたゴールだった。値千金のゴールを決めたDF徳元にピッチの中と外から駆け寄る選手たち。ゴールを喜び合う選手・監督・スタッフ、ファン・サポーターの熱い想いで埋め尽くされるシティライトスタジアム。集中して町田の攻撃を防ぎ続け、自分たちからボールを動かして長短のパスを使い分けて柔軟に攻めた90分。待っていたのは最高の結末だった。

 強い執念がゴールを、勝利を手繰り寄せた。試合終盤、左サイドからロングスローを入れるDF徳元が大きな手ぶりで「前に行け」という指示を送っていたように見えた。そんなDF徳元の勝利への執念が自身をゴール中央にポジショニングを取らせ、左足を迷うこと振らせたのだろう。


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お知らせ・お願い

 ホームで劇的な勝利を収めたファジアーノ岡山が次に対戦するのはv・ファーレン長崎。トランスコスモススタジアム長崎に乗り込むアウェイゲームです。水曜の夜に開催されるこの試合を僕は現地で観戦します。

 初のアウェイ1人旅です。ホテル、チケットは手配しています。でまかせではなく、本当に行きます、アウェイの平日ナイターゲームに。

 大学生ですが、初めてのアウェイ1人旅は楽しみと共に心細さ・不安もあります。そこで、この記事を読んでくださった方にアウェイ旅の極意やおすすめの過ごし方を教えてもらいたいです。この記事のコメント欄やTwitterにお願いします。

 ファジアーノ岡山の連勝を願って、次節も現地から画面から応援しましょう!


試合結果

明治安田生命J2リーグ第32節

ファジアーノ岡山 1-0 FC町田ゼルビア

【得点】

92分 徳元悠平(岡山)


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