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『サポーターからサッカーライターに(後編)』インタビュー 寺田弘幸


 今回はサッカーライターを目指す難波拓未が、サッカー専門新聞『EL GORAZO』でサンフレッチェ広島とファジアーノ岡山を担当し、選手の声を届けるウェブマガジン『ファジラボ』を運営しているサッカーライターの寺田弘幸さんに人生で初めてのインタビューをさせていただきました。

 前編と後編に加えて、ファジアーノ岡山の2020年と2021年について語ってもらった番外編の3つに分けてお届けします。

 さて、後編ではライターとしての活動で意識していることや感じていること、ライターを目指す人へのアドバイスについてお話してもらいました。

前編はこちら↓


寺田弘幸
1980年生まれ。広島県出身。2007年からライターとして活動を開始し、サッカー専門新聞『EL GORAZO』にてサンフレッチェ広島とファジアーノ岡山を担当。著書に『束ねる力 新時代のリーダー・サッカー日本代表監督 森保一』(ELGORAZO BOOKS)。ファジアーノ岡山の生の情報を届けるWEBマガジン『ファジラボ』を運営。


寺田さんがライターをしていて大事にしていることはどんなことですか?

 選手をリスペクトする気持ちは常に持っています。根本にあるのは、サンフレッチェ広島が大好きでサンフレッチェ広島が勝つとうれしいっていう純粋な気持ちがある。ファジアーノ岡山も同様に。だから、チームを勝たせてくれるような選手には感謝の気持ちがあるし、尊敬するし、興奮する。彼らが歩んできたプロセスや想いを伝えたいし、もちろんピッチに立てない選手もいるわけで、いろんな形でチームに関わっている選手のストーリーもしっかりと伝えたい。プロになったきっかけも違えば、選手になった時の立ち位置も違う。ポジションも違えば、ライバルがいたりする。選手によってストーリーはぜんぜん違ってくる中で、必死に努力している選手たちの想いは試合を見るだけでは伝わらない部分があると思うんで、それを伝えていければなと思っています。

 あと、プロなので勝敗はすごく大事。良いものは良い、ダメなものはダメ、ミスはミス、ということはしっかり書いていきたい。そこには責任感を持って取り組んでいます。


ライターの醍醐味と大変なことってどんなことですか?

 ライターをやっていてやりがいを感じるのは、現場にいれることです。2016年のJ1昇格プレーオフの決勝も、プレーオフ出場が決まった瞬間のシティライトスタジアムにもいた。現場で、すぐ近くで、喜び、悔しさを感じられることはこの仕事の醍醐味だと思う。

 大変なことは移動かな。僕はサンフレッチェとファジアーノを2チームを掛け持ちしていて、広島と岡山を車で行き来している。片道2時間以上はかかってしまうから、移動は大変だと感じています。締め切りが厳しいときもあるけど、移動よりは大変だと感じません。ごめんなさい、ちょっと遅れますっていうのはたまにあるけどね。


SNS・インターネット社会を生き抜くために必要なことはどんなことですか?

 何が必要かはわからない。でも、現場のライターに求められる大切なことは速報性だと思う。インターネットがなかった時代はテレビ中継がないと試合の内容はわからないから、書き手がいかに伝えるかが大切だった。だけど、情報を簡単に手に入れられる時代になって、試合結果やどんな得点だったかは試合終了後にすぐに検索すればわかる。知りたいことはその時に検索して知ろうとする時代だから、熱が冷めないうちに情報を出して伝えていかないといけない。だから、スピードはこれからどんどん求められると思います。


サッカーライターを目指す人に向けて

 サッカーライターになりたいんだからすごく情熱を持っていると思うけど、その熱量がどれほどのものなのかは、自分の中ではっきりさせた方がいいと思う。例えばライターになりたいと言っても、一回やってみたいのか、生涯食べていきたいのか、それで考え方もぜんぜん違ってくると思うし、フリーランスを目指すのなら、しっかりとお金のことを考えなきゃいけない。お金が続かないとやりたい活動も続けられないから、自分はどういうお金の使い方をするのか、一か月にどれくらい必要なのかをはっきりさせておき、税金のことも含めてお金の勉強は絶対にしたほうがいい。何やるにしても、お金のことを勉強しといて損はないしね。テクノロジーがどういう形に進化していくのかわからないけど、書いて伝えるっていう仕事は10年、20年、30年ってやれる仕事だと思うし、お金のことを自分の中ではっきりとさせておけば、続けていきやすくなると思う。


これから寺田さんはどんな活動を続けていきたいですか?

 スポーツが大好きだから、スポーツの現場に居続けたいです。勝って喜んだり、負けて悔しんだり、そういうのを多くの人と共有しながら、生きていきたいな。もちろんサンフレッチェは大好きだし、カープも好きだし、ファジアーノも好き。どんな関わりであってもスポーツと共に生きていきたいと思っているし、できれば現場で興奮を感じていたい。勝った後にみんなと握手をしたり、負けて「あーだ」、「こーだ」言ったり、次の試合にワクワクしたり。そういうのが僕は人生をすごく豊かにすると思っている。もちろんそうじゃない人いると思うけど、スポーツと関わって生きていくと楽しいよってことを多くの人に伝えれたらうれしいし、一緒にその楽しさを共有できる人が増えればすごくうれしいです。

<了>


番外編ではファジアーノ岡山の2020年の振り返りと2021年の展望について番記者目線で語ってもらっていました。


【告知】

寺田弘幸さんにインタビューしてもらいました。
ファジアーノ岡山との出会いについてお話させてもらっています。
ぜひご覧になってください。

『ファジラボ』


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