【レビュー】『セットプレーで跳ね返した逆境』~第31節ファジアーノ岡山VSレノファ山口~

試合結果

2022 J2 第31節
8/13 19:03K.O. @シティライトスタジアム
岡山(3-2)山口
9分 チアゴ・アウベス
22分 ヨルディ・バイス
26分 高井和馬
45+3分 菊地光将
65分 柳育崇

スタメン

マッチレポート

セットプレーで競り勝った岡山

2連勝で見えてきた3位の背中

6試合負けなしの岡山が決め切る力強さを見せて、6試合勝ちなしの山口に競り勝った。

8月唯一のホーム戦は14回目を迎えた山口との中四国PRIDE。6試合負けなしの岡山は前節と同じ11人で臨むと、デュークとチアゴの2トップのパワーを生かして先手を取った。9分、河野が蹴り込んだFKがゴール前で柳と競り合った菊地の腕に当たってPKを獲得。これをチアゴが強烈なシュートを突き刺して岡山が先制に成功し、22分にもPKをバイスが沈めた。あっという間にリードを2点に広げ、上位3チームを猛追する勢いは今節も健在だった。

しかし、2点を追いかけることになった山口は意気消沈しない。右CBの高橋が右サイドの高い位置を取って[3-4-3]から[4‐3‐3]に変化し、ピッチの横幅を使った攻撃で岡山を揺さぶって主導権を握る。11日に加入して先発した前もボランチの位置から積極的にゴール前に顔を出す。26分には前が放り込んだボールから高井が打ったシュートが柳の腕に当たりPKを得ると、高井がGKのタイミングを外してネットを揺らした。

岡山は左右に揺さぶられて山口に押し込まれると、木山監督が決断する。これまで後半に変えることが多かった[5-3-2]のシステムに前半途中から変更。最終ラインを5枚にすることで横のスライドを無くして対応するも、前半終了間際に佐藤が蹴ったFKを菊地に押し込まれた。

後半はスコアを振り出しに戻した山口がプレスを強めたことで岡山を押し込んでいく。しかし、岡山は粘り強く対応し続けて勝ち越しを許さない。61分に投入された永井が裏に抜け出し、仙波がボールを前に運んでいくと、勢いを盛り返す。両サイドから深い位置に進入してセットプレーを獲得していくと、65分に待望の瞬間が訪れる。河野が蹴ったCKを合わせたのは柳。後ろから走り込んだ背番号5は相手2選手の上からヘディングシュートを叩きつけてみせた。

山口はあきらめずに2点のビハインドから追いつくことはできたが、流れの中から3点目を決め切ることができず。7試合ぶりの勝利はならなかった。武器であるセットプレーがさく裂した岡山は2連勝を達成。3位・仙台との勝点差を4に縮めた。

コラム

アシスト量産体制の鍵は上から落とすボール

河野のアシストが止まらない。

65分のCK。河野は柄を確認するようにしてボールをセット。ゆっくりと後ろに下がり、しっかりと中を確認する。そして背番号16は滞空時間の長いボールを蹴り込んで柳のヘディングシュートを演出した。9つ目のアシストを記録し、アシストランキングで単独首位に立った。

第31節を終えてセットプレーで奪った11得点は総得点の1/4にあたる。ゴール前に飛び込む柳、バイスとデュークと高さのある選手の存在は大きい。彼らが得点に結び付けられる力を持った選手であることは間違いないが、強烈な個性を生かすも殺すもキッカー次第。質の高いボールを供給して初めてゴール前で待つ選手が本領を発揮する。

河野のキックの精度は試合を重ねるごとに向上し続けている。滞空時間の長いボールと早くて低いボールを蹴り分ける。そのときの状況によって球種を変えている中で、上から落とすボールが得点を生み出している。1点目のPKは河野が上から落とすように蹴ったFKが相手選手の手に当たって獲得した。守備側は下がりながらの対応にもなるため、上から落とすボールは落下地点を予測することが難しい。それに対して普段から合わせている味方選手の方が軌道は読みやすく、思い切りよく飛び込むことができる。

上から落とす鋭いボールをモノにした河野はアシストをどこまで伸ばすのか。セットプレーでは背番号16の右足が描く軌道に目が離せない。

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