見出し画像

自分と他者の時間を心から大切に生きる<TK×吉藤オリィ対談レポート【1】>

複雑心奇形という先天性の心疾患で平均寿命は15歳と言われているTKことミウラタケヒロ。TKは外出困難な方のもう一つの体となる分身ロボットOriHimeを使い、自身の世界を広げてきた体は動かなかったとしても、OriHimeで会いたい人に会い、行きたい場所に行ける。そのOriHimeを開発した吉藤オリィさんはTKに大きな影響を与えた一人だ。2人ならではの世界初のOriHime対談が実現した!

これまでのTKのあゆみ、現在の活動、そして未来への思い伝えする『TKマガジン』制作のためにクラウドファンディングを実施中!
吉藤オリィさんから応援メッセージをいただきました!

(↓2020年2月16日TKの15歳の誕生日まで!↓)


TKは次の世代につながるロールモデル

画像4

ーー今日はお二人ならではのOriHimeでの対談! どうぞよろしくお願いします。早速ですが、二人の出会いを教えてください。

TK:オリィさんと出会ったのは、大阪の書店(2018年1月、スタンダードブックストア)です。オリィさんが『「孤独」は消せる。』の出版記念講演を開催されるということで参加しました。オリィさんのことは以前から知っていて、関西で講演する貴重な機会だったので、「行きたい!」と思ったんです。

オリィ:実は最初にTKと会った時のことはあんまり覚えていないです。ですが、TKが「OriHimeに会いに来ました」という親子の写真をTwitterで投稿してくれていたのは強く印象に残っている。

ーーOriHimeでもう一つの体を持つことで、外出困難な方も自分のやりたい仕事に就ける可能性が広がりますよね?

オリィ:そうです。これまでは「困っている人を助けなさい」ということしか教えられてきませんでした。それはそれで大事だけれど、助けられた人も助けられ続けるのではなくて、誰かに喜んでもらえる自分でありたいんですよね。誰かに助けられてばかりでいると、「俺は何のために生きているんだろう」と思ってしまう。だから、「助けられていればいい」のではなく、「誰もが誰かを助けられるようになる」ことを設計していくこと大事なんです。それは教育でも実現できるでしょうし、私が開発しているツールでもできると考えています。
 なので、TKは他の人と同じようには体が動かないかもしれないけれど、OriHimeなどのツールを使って、社会で活躍して、次の世代に「そうか、こういう生き方もあるんだな」と知ってもらうためのロールモデルになってほしいんだ。私はTKを応援したいと心から思っているよ。

TK :ありがとうございます。体の状態に関係なく、みんなと同じように楽しく勉強したり、働いたりすることをOriHimeがきっと叶えてくれると思います。

オリィ:年齢関係なくね。世の中の「大人が子どもを支えなきゃ」という大人と子どもが対等でない風潮に、昔から違和感があった。人それぞれやりたいことがあって、老若男女関係なくそれが行き交う交差点で「新しいことをやろうぜ」と言える社会の方が絶対に楽しい。

TK :そうですね。それぞれの立場でやりたいことをして活躍できるといいと思います。応援し合えるといいな。

オリィ応援される時もあれば、応援する時もあるのがいいよね。それが1対1でもいいし、三角形や五角形でも応援が回っていればいいと思う。この「循環」は、言い換えれば「社会」の縮図。社会に自分らしく入る方法を見つけられるようにしたいですね。

TK:僕は、諦められないことやしたいことがたくさんあります。OriHimeを使うことで、諦めなくて済むことが多くなりました。助けられているし、感謝しています。オリィさんにも感謝しています。ありがとうございます。どこにでも行けて、人として接することができる。こうやって対談もできる!

感情をおしとどめてきたTK

ーーOriHimeは非常に存在感がありますよね。操作しているその人に見えてくる。

TK:OriHimeは操作している人の癖が出ますよね。だから、存在感も出てくる。もっとOriHimeが本人と同一化するくらい浸透していけばいいのに。

オリィ:そうだね。「今日は赤い服を着ているか、黒い服を着ているか」と同程度の違いで、「本人なのか、OriHimeなのか」があるといいなと思うんです。

TK:OriHime同士の対談とか、OriHime同士が会って話すとかがもっと普通になって、OriHimeがその人であると認識されるようになってほしいです。
そういえば、オリィさん、今日のようなOriHime対談って世界初ですか?

オリィ:うん。こういう対談は、今までなかったね! VRのアバターを使って取材を受けるいうのはあったけれど、ロボット対談は初めて。

TK:わーい。オリィさんと世界初が2回目だ。
Nintendo Labo (ニンテンドー ラボ/バイクToy-Conというバイクのハンドルがついたキット)を使って、車椅子をバイクのように操作してみたいなと言ったら、オリィさんが忙しいのに時間を削ってこっそり開発してくれていたんですよね。
 ある日突然、オリィ研究所の前に呼び出されて、行ったら、ラボバイクがあって。任天堂の2ちゃんねるでも話題になったんですよね。

画像1

オリィ:あの頃TK、今よりも大人しくてね。せっかく作って乗ってもらっても、すごく真面目な顔をしていたから「あれ? もしかしてつまんなかったかな」ってけっこう焦ったんだよ(笑)Twitterの投稿文では「さすがオリィさんやな」と書いてあったんだけれど、超真顔で淡々と乗っていて。

TK :唐突だったから驚いていたの! 本当はめちゃめちゃ喜んでいたんです。今だったら「ひゃぁ〜」って喜んだと思う。リアクションがめっちゃ下手なんです。嬉しいからこそ逆に真顔になっちゃって。心から喜んでいるんだけれど、当時は感情の表現がうまくできなかった

オリィ:この2年くらいで変わったよね。

TK:小さい頃は、心臓に負担がかかるから泣いたり笑ったりできない生活が続いたんです。生まれてから5年くらいそういう生活を続けていたから、そういうこともあってか感情の表現が苦手なんですよね。結構笑うんだけれど。人と一緒にいて、いざ表に感情を出そうとすると真顔になっちゃう。

画像3

オリィ:表情を作ったり、感情を表に出したりするのは苦手だったよね。

TK :オリィさんと出会って関わるようになってから変化があったのかも。少しずつ感情を出せるようになったかな。そういえば、最近オリィさんと写真を撮ってないね。2年前の硬い表情のしかないや。 今度、本体2人で撮りましょう。

画像2

ーーここ2年くらいでTKの交友範囲が広がったことも、TKにとって大きな出来事だったですよね。

TK:そうですね。OriHimeでも交友関係が広がりました。限られた時間を楽しく自分らしく生きたいと思っています。そのために行動をしていきたいんです。

オリィ:TKは、他の人と違って、「長生きができないかも」というところが強みだと思う。時間は貴重なので、普通に生きているとあっという間に死が訪れる。私は一人ひとりとの時間を大事にしたいと思っているんです。実はこの瞬間が最後かもしれないんですよね。日常にまみれていると、そういう意識がなくなってしまう。
 もしかしたら、最後の講演かもしれないとか、ここにいるお客様と会うのは最後かもしれないと思うと、一瞬一瞬が本気になる。本気になると何かしら自分の心にも刻まれるんですよね。1日1日を楽しみながら、死ぬ瞬間まで楽しめるといいよね。私はそういうツールを作りたいんです。
 後悔のないように全力で生きていこうじゃないか。自分の時間とね、相手の時間を本気で考えながら生きていくというのが人間の生き方のテーマじゃないかと思っているよ。

TK:うん。今を大切に生きていきます!

thank you for Ory Yoshifuji.

◆オリィさんとTKとの対談ノーカットバージョンは『TKマガジン』にて◆
【↓↓ご予約はこちら↓↓】