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もう1冊手に取ってもらうために(K-POP編)

すっかりひとつのジャンルとして定着した感のあるK-POP。仕事柄、グループ名はなんとか覚えてますが、メンバーの名前まではさすがに厳しいです。
インスタやTikTokで紹介した本がバズるのは、もう珍しくなくなりました。誰がおススメしているか、のPOPを作ってコーナー展開している店も増えています。博多のHMV&BOOKSさんはすごいですね。
Twitterでは Idol&books さんも参考になります。

ただし、これだけのアピールができるスペースを取るのは難しい店も多いと思います。韓国文学の翻訳点数が増えたとはいえ、海外文学の売上は店全体の売上から見ればまだまだ小さいので、いきなり棚を作って商品をそろえるのもハードルが高い。
では少し視点と選書を変えて、アイドル誌や韓流ドラマのムックを買いに来られる(=少なくとも月に1回は来店される)お客様に、もう1冊手に取ってもらい、できれば買ってもらうために、雑誌売り場にどんな本を置くか、を考えていきます。

『韓国ドラマ&K-POPがもっと楽しくなる! かんたん韓国語読本』(双葉社)
タイトル通りですね。セリフや歌詞によく出てくる言葉を中心に簡単な日常会話なども紹介してます。

『K-POP 動画 SNS これが知りたかった!韓国語単語集』(KADOKAWA)
こちらは、上記の本よりもK-POPに力を入れた内容で、ライブでの立ち振る舞いやコールの仕方など、より実用的でコラムも楽しい。
著者のインスタグラムもオススメです。

『マンガでわかる!1時間でハングルが読めるようになる本』(学研)
実は最近わたしもハングルの勉強を始めたのですが、なんとなく手に取ったコレが大正解でした。
さすがに1時間というわけにはいかず、何日かに分けて勉強しましたが、ざっくりとハングルが読めるようになりました。
「読めるようになる『だけ』じゃん」みたいなレビューをいくつか見かけます。実際その通りです。文法にはほぼ触れられておらず、単語もそれほど多くは載っていません。でもそれがこの本の最大のメリットです。
内容は初歩の初歩、ひらがなやアルファベットを覚えるレベルですが、たった1,100円で、「〇と四角・縦棒と横棒が並ぶ謎の記号」が、「母音と子音を組み合わせた文字」になり、なんとなく発音ができる、もしくは音が予想できるようになるのです。
もう勝ったも同然ですよね?
より詳しい本や単語集へと背中を押してくれる本なので、さらなる売上にもつながります。

『韓流スターと兵役』(光文社新書)
デビューし知名度も上がり、さあこれから!というタイミングで約2年にわたって姿を消す…。そして、兵役を終えた時に「おかえりなさい!」と熱狂的に迎え入れられる。韓国ではよくみられる光景です。
そもそも徴兵制とは何なのか、軍でどんな生活を送っているのかなど、ファンの疑問に答えてくれます。

『K-POP』(岩波新書)
岩波新書からK-POPの本が出てるのって、結構びっくりです。ブラックミュージック特にHipHopからの影響を受けてK-POPが成立していく過程や、日本やアメリカでどう受容されていったかを、カルチュラルスタディーズ・メディアスタディーズの手法を用いて論じた本です。
著者のインタビューも興味深い。

一例としてK-POPを挙げました。ひねりのない選書でインパクトに欠けますが、誰に・どんなシチュエーションで手に取ってもらいたいかを考えることが大切です。語学の本だから語学書の売り場、新書だから新書の売り場では、更なる売上は見込めません。
「売れない」ではなく「売っていないのでは?」という視点で売り場や商品を見ながら、楽しんで売り場を作っていきましょう。

さてオススメ。先日公開された、Colde / Control Me のバンドアレンジversionです。相変わらずいい声だ…


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