年始なんで「コロナウィルス」をウィキってみた
新型コロナウィルスが騒がれ始めたころ。
私はご多分に漏れず、コロナウィルスなんてあることすら知らなかった。
そもそも知らないのに「新型」って何?
やばいの? 死ぬの?
わからないことは調べるに限る。
ミカエルは言う。
「恐怖の源には未知がある」
と。
だからシステマーとしては、まず知らなければいけない。
そう思って検索しまくった。とはいえ一夜漬けで専門家みたいな深い知見をえることなんてできない。あくまでも目標は、概要を大づかみに理解することだ。
新型コロナとかいうけど、そもそも従来型のコロナウィルスそのものを私は知らない。調べてわかったのは、エンベロープという外皮に包まれたウィルスであるということ。同じエンベロープウィルスにはインフルエンザウィルスやエボラウィルスとかがある。このエンベロープには脂質が多く含まれているため、界面活性剤つまり石鹸で容易に破壊できる。アルコールでも壊せるらしい。
ついでにいうとエンベロープのないノンエンベロープウイルスというのもある。代表的なのはノロウイルスだ。こちらはエンベロープなんて鎧を着込まず、裸一貫で戦うツワモノなのでより厄介だ。石鹸やアルコールにも強い。
新型コロナに話を戻すと、新型とは言うものの、従来型コロナとまるきり異なるわけでもない。基本構造は同じだ。だから「これまでのコロナウィルスと似たようなもの」と思っておけばよいだろう。多少の違いはあるだろうが、まるきり新種というわけでもない。
そういうふうに2月時点で結論づけた。それが今日に至る私の理解の根拠になっている。
そもそもコロナウィルスってのはなんなのか。わからないことはとりあえずウイキペディア先生に聞いてみよう。
そもそも従来型コロナって?
コロナウイルスは脊椎動物を宿主とする「ニドウイルス目」に属する。
ウィキを見るとこんなふうに書いてある。
コロナウイルス科(コロナウイルスか、Coronaviridae)とは、ウイルスの分類においてエンベロープを持つ一本鎖プラス鎖RNAウイルスの科の一つ。
RNAウィルスとは、遺伝子としてRNAを用いるウィルスのことだ。生物の遺伝情報としては基本的にDNAが用いられるが、一部のウイルスはRNAを用いる。DNAのほうが安定してRNAのほうが不安定。情報でいうならDNAは長期記憶で、RNAは短期記憶といったところか。ハードディスクとメモリの違いに似ているかも知れない。だとしたら大量の情報を保存できない代わりに、情報の書き換えがしやすそうな気がする。もしかしたら環境に応じて迅速に変異するために、あえてRNAを使っているのかも知れない。
RNAは「二本鎖」と「一本鎖」があり、一本鎖はプラスとマイナスの2種類がある。ウィキに書いてある「一本鎖プラス鎖RNAウイルス」とはそういうことだ。
このコロナウイルスはやはりウィキによると
2019年のICTVの分類では、2亜科、5属、26亜属、46種
となっている。つまり46種類。2018年は約40種だったというから、この1年で見つかったのがいくつかあるのだろう。この分だと見つかってない種もいっぱいいるだろうし、新しい種もどんどん増えていると思う。
そのうち、人に感染するものはヒトコロナウイルスと呼ばれる7種類。
この7種類はアルファコロナウイルス属とベータコロナウイルス属の2種類に分類される。
・アルファコロナウイルス属
ヒトコロナウイルス229E:風邪の病原体
ヒトコロナウイルスNL63:風邪の病原体
・ベータコロナウイルス属
ヒトコロナウイルスHKU1:風邪の病原体
ヒトコロナウイルスOC43 :風邪の病原体
SARSコロナウイルス (SARS-CoV):重症急性呼吸器症候群 (SARS) の病原体
MERSコロナウイルス (MERS-CoV):中東呼吸器症候群 (MERS) の病原体
SARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) :新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の病原体
ウィキペディア先生がいうには、新型コロナウイルスはベータコロナウイルス属の最新型ということになる。
これらに発見された年代を併記してみるとこんな感じ。
ヒトコロナウイルス229E:1960年代
ヒトコロナウイルスNL63:2004年
※11世紀頃ヒトコロナウイルス229Eから分岐したと推定
ヒトコロナウイルスHKU1:2005年
※その後の研究ですでに世界に蔓延してることが判明
ヒトコロナウイルスOC43 :1960年代
SARSコロナウイルス (SARS-CoV):2002年
MERSコロナウイルス (MERS-CoV):2012年
SARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) :2019年
1960年代になにがあったか、ざざっとググってみるとアントニオ猪木とジャイアント馬場のデビューが1960年。あと1967年に電子顕微鏡の技術が発達して詳細にウイルスの姿がわかるようになったらしいので、229EとOC43が60年代に見つかったのはそのためだろう。
OC43に関してはウィキペディアになかなか示唆に富んだ内容が記載されている。OC43は1890年前後にウシコロナウイルスから分離したとされているそう。遺伝子の変異速度から発生時期を逆算する技術があるのというのだから、すごい。
この説を採用してOC43の発生時期を1890年頃とすると、日本だと江戸時代はとっくに終わって明治時代。第1回衆議院議員総選挙や教育勅語が発布されたりした時期。つまりは明治生まれの御年131歳。
過去の大流行
このOC43は世界で100万人が死亡したインフルエンザの大流行との関連づける説が提唱されている。一般的にインフルだと思われてたけど、実はコロナだったんじゃね?という説だ。当時の模様をウィキから抜粋してみよう。
この大流行は、1889年の5月にロシア帝国のブハラ(ウズベキスタン)で最初に発生が確認された後、僅か4ヶ月で北半球全域に拡大するなど、非常に速い速度で全世界に伝播した。12月にはサンクトペテルブルクで死者数がピークに達し、翌1890年1月にはアメリカでピークに達した。マルタで報告された致死率は、1回目が4%、1892年からの2回目の流行が3.3%であった。致死率は子供で低く、70歳以上の高齢者で高かった。1895年まで続いた流行の中で、人類は部分的な免疫を獲得、このウイルスは致死的なものではなくなったとも言われている。
似てる気がしません? なんとなく似てる気がしませんか? いまの状況に。
当時は衛生環境は比べ物にならないにしても、今より人口密度は低いし、人の行き来も少ない。そもそも飛行機がないんだから。それでも「4ヶ月で北半球全域に拡大」する感染力は尋常ではない。大西洋とかどうやって超えたんだろう。この記述によるなら、人類は1889年から1895年までの6年かかって集団免疫を獲得したことになる。今は当時に比べて人間の移動も盛んなので、拡散も速いのではないか。
もし今の新型コロナでOC43と似た状況だという仮説を立てるとしたら、集団免疫獲得には最大6年かかるとい言えるのではないだろうか。
SARSコロナウイルス1を見てみよう
ではSARSコロナウイルスはどうか。
ウィキのタイトルは「SARSコロナウイルス2」となっているくらい、新型コロナとSARSコロナウイルスでは遺伝子が似通っているという。60歳以上の致死率は50%超という、これまで穏便に拡散してきたコロナウイルスらしからぬ殺傷力を誇るものの特定からわずか1年数カ月後にWHOが封じ込め成功を発表している。ここに至る感染者数は8,000人。
封じ込めに成功したとは言っているけれども、別に緊急事態宣言やロックダウンが行われたわけではない。消毒が徹底されたという程度で、飛行機は普通に飛んでいた。現地に派遣された研究員も自主隔離などせず、発症前の感染力は低いからという理由で帰国後、すぐに帰宅している。いまの14日隔離に比べたら格段にゆるい措置である。
だからおそらく封じ込めたというより、SARSはある日突然勝手に消えたという説が言われており、そっちが実態に近いんじゃないかと思う。
ただ今なお新型コロナを封じ込めるという意見が強いのも、「SARSを封じ込めた」という成功体験があるからなのではないかと思う(勘違いである可能性が高いけど)。
ウイルスの立場に立って考えてみる
殺傷力が高いウイルスは感染力が低い。ウイルスの立場で考えてみれば、できるだけたくさん複製を作りたいのだから、宿主にはできるだけ長く元気でいてもらって、あちこち出歩いてウイルスを撒き散らしてもらったほうがメリットがある。宿主がすぐ死んでしまっては自己複製できなくなってしまうから、せっかく感染した意味がなくなってしまう。だから「賢いウイルス」は無害化し、より多く自己複製ができるように進化する傾向にある。
その点、SARSは60歳以上の致死率が50%超という殺傷力なのだから、宿主を殺してしまう「頭の悪い」ウイルスと言える。だから早々に淘汰されてしまったのではないかと。普通にウイルス同士の生存競争に負けてしまったんじゃないかと思う。さらに殺傷力の高いMERSはまだ終息してないものの、「2019年11月までに確定患者は2494人、死者858人」となっており、感染者数そのものは非常に少ない。つまり感染力はとても低い。
だからSARSやMERSは例外として、コロナウイルスはおしなべて賢いウイルスで、宿主へのダメージを最小限に留めつつ、感染力を高める方向で進化するんじゃないかと思う。
「変異」というと、感染力と殺傷力のどちらもハネ上がった危険極まりないウイルスに変異したんじゃないかって恐れる人もいるだろう。でもウイルスの立場に立てば、その可能性が低いであろうことがわかる。別にウイルスは人類を滅ぼしたいわけではない。自己増殖したいだけだ。そのために手頃な生物を最大限、利用したいだけだ。だから高い毒性で宿主を殺す方向に進化したとしたら、それはむしろ退化ということになる。「利己的な遺伝子」論の従うなら、進化によってウイルスの毒性は下がり、感染力が高まっていく。
だからOC43は集団免疫によって収まったということになっているけど、実のところは弱毒化しただけなのかも知れない。毒性を捨てて全世界への不可逆的な蔓延という、栄光を手にしたのだ。
それを裏付けるかのように、ウィキの「ヒトコロナウイルス」のところにはこう書いてある。
発生年は毎年で、世界中で人類全体に蔓延しており、これまでの死者数は不明、感染者数は70億人と計算されている
感染者数70億人
世界人口白書によると2020年の世界の人口は77億9500万人だそうなので、ほぼ全人類がなんらかのヒトコロナウイルスに感染したということだ。
遺伝子的にはSARSに似てるかも知れないけど、状況としてはOC43に似ている。そういう前提でこれからどうなるか考えてみると良いのかも知れないね。
これらは素人がウィキペディアを頼りにつらつら考えただけのことなので、くれぐれも真に受けないでください。ただ世の中の風潮をみるに、この程度もググらない人が案外多いのではないかと思えてならなかったので、参考になるかと思って書いてみました。
そうそう。ここまで来てなんだけど、ウイルスと菌の違いがわからない人はいませんよね? 「ウイルスを除菌」なんて言ってませんか?
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