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暗闇が聞こえる

僕は右耳が聞こえない。

おたふく風邪の後遺症なのだけど1000人に一人くらいなるらしいので、世の中には結構いると思う。神経がやられているので、補聴器も役に立たない。

前はいちいち言わずにいたのだけど、知らずに右側から話しかけてくる人を無視してしまうことが度々あるので、ことあるごとに周知するようにしている。

だから飲み会でも必ず右隅の席。お招きを受けたときとか上座に案内されても事情を説明して右隅に座らせてもらう。

その聞こえない右耳を澄ませてみると、暗闇が聞こえる。

どんなに強固に耳をふさいでも、全くの無音状態はやってこないもの。自分の鼓動とか、血流の音とかがどうしても聞こえるからだ。でも右耳はそれも聞こえない。完全な静寂。さらに耳を澄ますと、広大な闇の世界が感じられて、自分の右側が別の世界への入り口のような気がしてくる。単なる無音というより、暗闇、無。その世界からやって来る何者かに、僕は意識的にも無意識的にも何らかの影響を受けながら生きているのだろう。

全国に大勢いるであろう、片耳が聞こえない同士の皆さん。おもしろいからちょっと試してみてください。



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