国公立大学分析④北海道大学<後編>(2016~2020)
こんにちは。
〇恒例のここまでのまとめ
一昨日の北海道大学のまとめの前半も皆様にお読みいただき、うれしい限りです。
しかし、第一回だったせいか、北海道教育大学のまとめの勢いが止まりません。
小樽商科大学も忘れないでください……。
では、今回のまとめに入ります。「タテ」のまとめはデータのみ最後においておきます。
〇2016年の分析
①大問1
<文章>『わかりあえないことから』平田オリザ
・2,400字程度。現代社会論。
・ヨーロッパと対比し日本社会の同質性とその課題を論じている。
・文章そのものは標準的なレベル。
<設問> 難易度 標準
問1 漢字 「籠城」は書けない?
問2 理由説明 標準
→ 30字記述。抽象化がどこまでできるかがポイント。
問3 換言記述 やや難
→ 40字記述。比喩換言。
「近代化」の意味するところを丹念に追う。それでもまとめにくい。
問4 換言記述 標準
→ 80字記述。指示語換言(「両者」の内容)
日本とヨーロッパについてまとめる。ポイントを端的にまとめる。
問5 換言記述 標準
→ 100字記述。換言記述。
結論部分をまとめる。日本人の特徴とその課題を書く。
シンプルに良い問題。
<所要時間の目安> 30/120分
②大問2
<文章>『芸術学事始め』小林道憲
・2,900字程度。やや多い。芸術論。
・2013大問2、2014大問1とテーマ性の類似が見られる。
・芸術の偶然性について論じている。文章内容は標準的。
<設問>難易度 標準
問1 換言記述 やや難
→ 60字記述。比喩換言。
「自然のほうから作品を作り出す」の換言が難しい。
問2 換言記述 標準
→ 75字記述。指示語換言。
そういえば、指示語問題が大問1に出ていない。珍しい。
この問題は指示範囲が明確。
問3 換言記述 やや平易
→ 60字記述。設問条件に沿って考えると答えが出やすいか。
問4 理由記述 標準
→ 90字記述。結論部分についてのまとめ。
芸術の一回性についてまとめられるかがポイント。
<所要時間の目安> 30/120分
〇2017年の分析
①大問1
<文章>『江戸の妖怪革命』香川雅信
・2,200字程度。近代社会論。近代論は2015大問1と同じテーマ。
・妖怪と幽霊を対比して近代人の感覚を論じている。
・文章そのものはやや平易なレベル。
<設問> 難易度 標準
問1 漢字 難しいものはない。
問2 換言記述 標準
→ 25字記述。まとめるべきところは明確。
問3 理由記述 やや難
→ 50字記述。比喩換言。
アニメになる=フィクショナルである、ということに気づけるか。
問4 換言記述 標準
→ 80字記述。比喩換言。
まとめるポイントが明確。
問5 換言記述 標準
→ 120字記述。換言記述。
結論…ではなく、前後の論理展開をまとめればよいもの。
<所要時間の目安> 30/120分
②大問2
<文章>『知識の政治学』金森修
・2,800字程度。やや多い。
・大問2に多い「現代社会論」についての文章。
・社会に存在するリスクの存在について論じている。
・文章レベルはやや難
<設問>難易度 やや平易
問1 換言記述 やや平易
→ 40字記述。比喩換言。字数も苦しくない。
問2 抜き出し やや平易
→ 換言。あっさりとみつかりそう。
問3 換言記述 やや平易
→ 60字記述。ここで今年初の指示語換言。
指示内容は明確。
問4 換言記述 標準
→ 30字記述。比喩換言。意味するところは単純。字数が厳しい。
問5 換言記述 やや平易
→ 90字記述。換言記述。結論部分のまとめ。まとめる箇所が明確。
<所要時間の目安> 25-30/120分
〇2018年の分析
①大問1
<文章>『ダ・ヴィンチの蝶』福岡伸一
・4,000字程度。芸術論。近代論でもある。
・芸術論は2016年大問2以来の頻出テーマ。
・レオナルド・ダ・ヴィンチの変身願望について論じている
・文章そのものは標準。
<設問> 難易度 標準
問1 漢字 「頓挫」は書けないのでは…
問2 換言記述 標準
→ 40字記述。条件付き換言。論を追っていけば問題なし。
問3 理由説明 標準
→ 50字記述。これも論を追っていけば問題なし。
問4 理由説明 やや平易
→ 70字記述。「金貨」についての情報を集める。
まとめるポイントが明確。
問5 換言記述 やや難
→ 100字記述。比喩換言。指示語換言の要素も。
(大問1の指示語換言は2015年以来)
醜い幼虫=現在の自分
蝶に変わる=変身願望 という構図を見抜けるか…良問。
<所要時間の目安> 35-40/120分
②大問2
<文章>『翻訳、このたえざる跳躍』野崎歓
・2,500字程度。標準的。大問2にしては短い。
・翻訳についての随筆。随筆文の出題は2013年以来。
・翻訳の面白さについて論じている。
・文章レベルは標準
<設問>難易度 やや難
問1 理由説明 標準
→ 20字記述。指摘箇所はわかりやすいが、20字はしんどい。
問2 理由説明 標準
→ 30字記述。問1に比べると指摘箇所が分かりにくい?
問3 理由記述 やや難
→ 60字記述。随筆独特の「飛躍」を理解する必要性がある。
差がつきそう。
問4 換言記述 やや難
→ 50字記述。比喩換言。指摘箇所がやや面倒?比喩の抽象化を。
問5 換言記述 標準
→ 80字記述。指示語換言。比喩の抽象化ができるかどうか。
<所要時間の目安> 30/120分
〇2019年の分析
①大問1
<文章>『食べることの哲学』桧垣立哉
・2,800字程度。文化論。文化論は頻出。
・同年の神戸大学、青山学院大学でも出題の文章
・哲学がテーマになるのは2013年大問1以来。
・人間の「食文化」について論じている。
・文章そのものは標準。
<設問> 難易度 標準
問1 漢字 今年は簡単。
問2 換言記述 やや平易
→ 50字記述。指示語換言。指示範囲も字数も適切(すぎる)
問3 換言記述 標準
→ 60字記述。比喩換言。「文化相対主義」の解釈に気を付ける。
問4 換言記述 標準
→ 60字記述。指示語換言。しかし、意外とまとめにくい。
問5 換言記述 やや難
→ 100字記述。比喩換言。
どこをまとめるべきかが見出しにくい。
<所要時間の目安> 30/120分
②大問2
<文章>『文学の中の科学』千葉俊二
・2,800字程度。標準的。
・文学と科学の関係を寺田寅彦の「自画像」を例に論じている。
・芸術論は2016年以降毎年出題されている典型題といえる。
・文章レベルは標準
<設問>難易度 平易
問1 抜き出し 平易
→ 直前にあるという…たまにある北大独特のサービス問題。
問2 理由説明 標準
→ 30字記述。指示語内容の「相似」から考える。
問3 換言記述 やや平易
→ 50字記述。直前の「いわば」に気づけば答えにたどり着く。
問4 換言記述 やや平易
→ 50字記述。具体化記述は初の出題。しかし、指摘箇所は単純。
問5 換言記述 やや平易
→ 80字記述。比喩換言。結論部分のまとめ。指摘箇所は単純。
<所要時間の目安> 25/120分
〇2020年の分析
①大問1
<文章>『科学と非科学』中屋敷均
・2,800字程度。科学論。2019年東京大学と同一出典。
・2015年以来の近代科学論。
・科学的なものの見方について論じている。
・文章そのものは標準。
<設問> 難易度 標準
問1 漢字 今年は簡単ではないが、書ける。
問2 換言記述 やや平易
→ 40字記述。指示語換言。指示範囲も字数も適切(すぎる)
問3 換言記述 標準
→ 50字記述。比喩換言。「可塑性」の解釈を間違えない。
問4 理由記述 標準
→ 60字記述。指摘箇所が明確。
問5 理由記述 標準
→ 100字記述。結論部分のまとめ。まとめやすい。
<所要時間の目安> 30/120分
②大問2
<文章>『文学の中の科学』千葉俊二
・2,300字程度。少な目(特に大問2では)
・ジェンダー意識を吉本ばななの『キッチン」をもとに論じている。
・現代社会論は頻出テーマ。2017年大問2でも出題された。
・文章レベルは標準
<設問>難易度 標準
問1 換言記述 やや平易
→ 40字記述。比喩換言。書くべきことが明確な問題。
問2 換言記述 やや難
→ 20字記述。これはしんどい。根拠はわかるが20字って…。
問3 理由記述 やや平易
→ 70字記述。根拠が明確。字数もたっぷり。
問4 換言記述 標準
→ 35字記述。字数設定が絶妙。
問5 換言記述 やや難
→ 75字記述。比喩換言。
この文章を通した「バブル期」の意義について触れる。
難しいけど無理ではない。良問。
<所要時間の目安> 30/120分
〇「タテ」の分析~データのみ
〇北海道大学に合格するために必要な現代文の力とは?
① 指示語内容の追跡
② 比喩内容の抽象化
③ 結論部分の把握
……特別な対策はいらないです。
ただし、「当たり前のことを当たり前にやりきる」ことが求められます。
北海道編はこれで終了です!津軽海峡を渡ります!!
次回は東北シリーズを始めます。まずは青森は弘前大学ですかね。
それでは。
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