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映画分析ノック ②『トッツィー』(1982)

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『トッツィー』構成表

○演劇教室/メイクルーム・点描
演劇教室で生徒に指導しているマイケル
メイクルームで付け髭をつけているマイケル

○舞台
髭役のオーディションを受けるマイケル
若すぎると断られ
子供の役のオーディションを受けるマイケル
歳を取りすぎていると断られ
別のオーディションを受けるマイケル
身長が高すぎる/低すぎると断られ、結局なんか違うと断られる

○演劇教室
生徒にアツく語るマイケル
「自分がやりたくない役はやるな」
「身長を決めるのは君じゃない」
「注文が多いのを押し切れ」
(全て落としたPに当てつけた言葉)

○舞台
稽古をするマイケル
プロデューサーの指示に従わない
文句を言って降りる(偏屈さ1)

○演劇教室
仕事を探せ!
役者は失業していると語るマイケル
(自分を正当化する言葉)

○レストラン・厨房
ホールで働いているマイケル
ジェフ(脚本家)と一緒に働いている。
手を動かしながら脚本の話をする

○道(夜)
ジェフと歩くバイトからの帰り道
脚本に関する細かい注文をつけるマイケル(偏屈さ2)
親友が「今日は君の誕生日だ」と話す
演劇教室に入っていく

○マイケル宅(夜)
演劇教室の生徒たち、集まってサプライズでバースデーパーティーを開催
パーティーでアツく芝居論を語るマイケルとジェフの点描
マイケル、最後まで残っていた生徒の女性・サンディを家まで送っていく

○道(深夜)
マイケルとサンディが歩いている
役者の仕事が思うようにいかず、泣き出すサンディ
明日のオーディションでも、どうせ役はもらえない!と嘆く

○女性宅(深夜)
マイケル、サンディのオーディションの練習に付き合っている
どうやら病院を舞台にした看護師の役のようだ。
お手本を見せるマイケル、上手と褒められる。
マイケル、明日のオーディションにもついていくと約束する

○スタジオ(翌朝)
マイケル、サンディのオーディションにつきそっている。
オーディションに呼ばれる女性。
待っているマイケル。
その間にスタジオ見学ツアーが横切り、どんな物語かを説明する。
と、すぐにサンディ帰ってくる。第一印象で落ちたらしい。
さらに自分がやるはずだった役に違う人物がキャスティングされた事実も間接的に知る。
マイケル、自分やサンディの不条理さに納得いかない。

○エージェント事務所
マイケル、エージェントに不満を言う。
エージェント、業界でのマイケルの不評さに触れる。
ごねることで有名で、誰もマイケルを使わないと伝える。
ならばお金を工面して、自分でジェフの描いた脚本の公演を打つと啖呵を切る。
自分で仕事を勝ち取ってやる、と。

○道
マイケル、女装をして歩く。
その顔、意志を感じる。

○スタジオ・エントランス
マイケル、女装してドロシーとしてエージェント経由でオーディションに参加する。

○スタジオ・セット
Pからイメージに合わないと言われるが、粘ってテストを受けさせてもらうドロシー。 
テスト前、キャストの女性と会話する(親切で惚れる)。
その女性・のちに恋心を抱くジュリー。
テスト。アドリブを挟みながら、確信をついたことを言うドロシー。
採用される。

○レストラン
エージェントの男が座った席につくドロシー。
エージェント、それがマイケルだと気づかない。
マイケルだと正体を明かし、病院物語の看護師役に決まったことを報告する。
エージェント、絶対にバレると忠告するが、聞かないドロシー。
エージェントの知り合いが挨拶にくるが、彼らにもバレなかった。
ドロシー、エージェントに服を買う金をせびる。

○ブティック・点描
ドロシー、女性ものの服を買いまくっている。

○マイケル宅(夜)
ドロシーからマイケルに半分戻った状態で、ジェフと話す。
化粧品や服にダイエットに、女も大変だ、と。
しかし、サンディの役を自分がモノにしたことが懸念。

○サンディ宅(夜)
サンディを慰めるためにも、資金が入ったことは遺産のおかげだと話し、ジェフの描いた脚本を渡す。
マイケル、サンディがシャワーを浴びているうちに、サンディのクローゼット(女性ものの服)を漁る。
マイケル、試着しようとパンツ一丁になったところに、サンディが出てくる。
流れでセックスすることになるマイケルとサンディ。

○サンディ宅(夜)
一緒のベッドで寝ているマイケルとサンディ。
寝たことで、マイケルを男として意識してしまうサンディ。
(※ここからサンディはメンヘラ化する)
離れないように、翌日の夕食の約束をするマイケルとサンディ。

○マイケル宅(朝)
翌朝。5時に起きるマイケル。
浴槽ですね毛を剃ったり、メイクしたり。 
ドロシー、ジェフを起こして完成した女装をチェックしてもらう。

○スタジオ・楽屋
ドロシー、楽屋に通されると、下着姿の女性の共演者に戸惑う。★
そこへスタッフきて、台本の追加が手渡される。
その台本には「院長(男)とキス」と描いてある。★
・・・となるドロシー。

○スタジオ・セット
Pが現場を仕切っているが、無理のある演出が目立つ。
それに袖から物言いたげなドロシー。だが、聞き入れてもらえない。
袖では院長がキスの準備をしている。
前のシーンを撮っていたジュリーと出会う。
P、ドロシーと院長にも演技指導。
院長、台本をモニターに写してとPにお願いする。
院長はポンコツ役者で。
× × ×
キスのシーンの本番。
院長がキスしようとするのを、書類で殴りつけるドロシー。
セリフを変えてアドリブで乗り切ったのだ。

○スタジオ・セット裏
ジュリー、ドロシーのアドリブを褒める。
院長はキスできなくて不満そう。
P、今回は良かったが次からは勝手に変えるなとドロシーに忠告する。
ジュリー、ドロシーにアドリブのお礼を言う。
院長、アドリブを褒めるフリして、結局ドロシーの唇を奪う。★

○スタジオ・外
出待ちのファンに応答するジュリー。
初日のドロシーには当然誰も寄ってこない。
と、Pがタクシーを捕まえて待っている。
乗り込むジュリー。
Pとジュリーは親密な関係にあるようだ。

○マイケル家(夜)
マイケルに戻って、ドロシー用のカツラを整えながら、ジェフにPの悪口を言っている。
と電話が鳴る。
ジェフが取ろうとするが、マイケルが止める。★
ドロシーにかかってきた場合に
・マイケルやジェフとして出たら、なんで独身の設定なのに男がいるんだ⁉︎と思われるし、
・ドロシーとして出たら、サンディからの電話だった時に浮気を疑われる
電話は取らない!
これにジェフが呆れて家を出て行ってしまう。

○サンディ宅
サンディが電話している。相手はマイケル。
マイケル、昨日した夕食の約束を仮病でキャンセルしている。
怒っているサンディ。

○スタジオ・外・点描
日替わり。ドロシー目当ての出待ちのファンも少し増えた。
お茶の間で流れるドロシーの演技。ファンが増えていく。
× × ×
ジュリーからジュリーの父を紹介される。
父はドロシーのファンらしい。
× × ×
マイケルとしてスッピンで歩いているときに、ジュリーに遭遇。
マイケル、ジェフの影に隠れる。ジュリー全然気付かない。

○マイケル宅
マイケル、サンディと電話している。
次の木曜日の夜に、今度こそ会う約束をしている。

○スタジオ・楽屋
共演者の女から、ドロシーが来てから評判が上がったと褒められている。

○スタジオ・セット
本番中。
セリフのカンペを見ながら演技する院長に、またアドリブできついことを言うドロシー。 
が、撮影班のミスで撮り直しが発生。
× × ×
撮影終わりに、Pとジュリーがキスしているところを目撃してしまって複雑…。

○スタジオ・楽屋
ドロシー、ジュリーから今晩ジュリー宅でホン読みに付き合ってほしいと頼まれる。

○マイケル宅(夜)
ジェフと一緒にジュリー宅に来ていく女性ものの服を選んでいるマイケル。
ベストな服で行きたいと気合が入る。

○ジュリー宅(夜)
ドロシー到着。迎えるジュリー。
ジュリーに娘がいたことが分かる(未婚の母)。
ドロシーは嘘の身の上話でごまかす。

○サンディ宅(夜)
サンディ、2人分の夕食を準備して待っている。
が、マイケルは来ない。

○ジュリー宅(夜)
ドロシー、ジュリーのホン読みの練習に付き合う。
Pについて、報われない恋だと話すジュリー。
ドロシー、マイケルとして約束したサンディとの夕食を思い出し、慌てて帰宅。

○マイケル宅の前(夜)
慌ててタクシーから降りたドロシー。
マイケル宅へ走って帰っていく。
家に着くと、服を脱ぎ捨てる。

○サンディ宅
マイケル、言い訳しながら現れる。
サンディ、マイケル宅の前まで様子を見に行き、太った女を見たと言う。★
ごまかすが、「太った?」とそこが気になるマイケル。
テーブルにつくサンディとマイケル。
サンディ、病院物語の看護師役に決まったドロシーという女の話をする。
妬みもあって、サンディはドロシーのことを酷評する。
「男勝りな役なのに、腰抜け!」と。
釈然とせず、ドロシーの肩を持つマイケル。

○スタジオ・セット
病室のシーンの本番。
また台本と違うことを言うドロシー。
昨日のサンディの批評を受けてか、かなり強めなキャラになっている。
× × ×
別のシーンの本番。
またまた台本と違うことを言うドロシー。
かなり過激な内容に変えている。

○ドロシーの人気上昇・点描
続々と届くドロシー宛のファンレター。
カメラマンに写真を撮られるドロシー。
雑誌の表紙に起用されるドロシー。
スターダムを駆け上がるドロシーの様子。

○道
マイケルとエージェントが歩いている
マイケル、エージェントに「女性の特番を組め」と訴える
エージェント、話を逸らすためにマイケルをパーティーに招待する

○パーティー会場・中(夜)
マイケル、サンディと共にパーティー会場にいる。
と、そこにPとジュリーがいる。
接近するが…バレない。

○パーティー会場・バルコニー(夜)
マイケル、マイケルの姿でジュリーと話す。
ジュリーがドロシーに話していた理想の男の口説き文句を、マイケルとして実践する。
が、ジュリーから水をぶっかけられるマイケル。
(※初めて男・マイケルとしてジュリーと話し、フレらたのだ)

○スタジオ・セット
本番。ジュリーの熱演。
ジュリー、ドロシーにコーチしてくれたことを感謝する。
P、ドロシーのことを「トッツィー」と呼ぶ。訂正するドロシー。

○スタジオ・セット2
葬式の棺桶のセットがある。
昇給を要求したバイオリニストの役者が下ろされ、彼のキャラが死んだことに。
呆れるドロシーを、ジュリーが父の実家に誘う。
ジュリーの父はドロシーの大ファンだと話す。

○マイケル宅(夜)
旅のパッキングをしているマイケル。
電話でサンディに週末不在の旨を伝えている。★
ごねるサンディ。
パッキングの様子を呆れて見つめるジェフ。
人を騙しているし、バレるから止めとけと忠告するが、マイケルは聞く耳を持たない。★

○走る列車

○ジュリー実家・前
田舎道をドロシーらを乗せた車がやってくる。
ここはジュリーの実家。

○ジュリー実家・部屋
部屋に案内されるドロシー。
なんとベッドが1つ。★
ジュリーと共有すると聞き、戸惑うドロシー。

○ジュリー実家・点描
草刈機に乗るドロシー。
乳搾りをするドロシー。
乗馬するジュリー。
食卓を囲むドロシー。
ドロシー、ジュリーへの恋心を募らせてゆく。
長閑な田舎暮らしの様子が続く。

○ジュリー実家・外のブランコ(夜)
ドロシーとジュリー、ブランコに乗っている。 
ドロシー、話を切り出そうとする。
が、父が来て「Pから電話だ」とジュリーに伝える。
ドロシー、話が切り出せず。その場を退席するジュリー。★
代わりに父がドロシーの隣に座る。

○ジュリー実家・居間(夜)
ピアノを弾くドロシー。
ジュリーと父は、家族の話をドロシーに聞かせている。
ジュリー、先に寝ると言う。
残るドロシーと父、暖炉の前に座る。
父、男女平等への持論を語るが、ドロシー愛想肯定(釈然とせず)。
泣き妻の写真を見る父、伴侶を持つべきと諭す。
父、ドロシーに独身か尋ねる(誘っているようだ)。★
ドロシー、逃げるように部屋に戻る。

○ジュリー実家・部屋(夜)
ドロシー、カツラをトイレで付け替えた後、ジュリーが眠るベッドへ。★
ジュリー、父の価値観は古いと話す
ジュリー、亡き母と選んだ壁紙の思い出を話す
ドロシー、そんなジュリーの頭を撫でた。

○走る列車(帰省)

○スタジオ・セット裏
待機しているドロシーほか役者陣。
ドロシーのもとにジュリーの父からプレゼント(ハート型のチョコ)が届く。★
現場監督・リタに呼ばれるドロシー。

○監督のオフィス
リタ、ドロシーに契約更新が決定したと伝える。
ドロシーの看護師役のおかげで視聴率や人気が伸びたのだ。
・・・ドロシー、困惑混じりの笑顔でゴクリと。★

○エージェント事務所
エージェントに電話するマイケル。
ドロシーとしての看護師役を降板したいと頼む。★
このままじゃ一生女役だ!
エージェント、絶対降りることは許されないと脅す。

○マイケル宅
寝込んでいるマイケル。
ジェフ、看病しながら諭す。
と、電話が鳴り、留守電でジュリーの声。
ドロシー宛に「緊急招集よ」と。
うなだれるマイケル。

○ジュリー宅(夜)
Pと別れる勇気づけにドロシーを呼び出したジュリー。
そこへ訪ねてくるP。
ドロシー、Pにジュリーへの態度を改めるよう伝える。
ジュリーとP、話をするために外出。
その間にドロシーはジュリーの娘の子守をする。
× × ×
子守に大苦戦するドロシー・点描
× × ×
疲れきって、子供部屋で寝ているドロシー。
そこへジュリーが帰宅する。
ドロシーとジュリー、ソファに座って話す。
ジュリー、Pと別れてきた様子。
男がいないことの喪失感でいっぱいになっていると打ち明ける。
ドロシー、自分の男の部分(マイケル)が出てきてしまい、ジュリーにキスしようとする。
避けるジュリー、ドロシーのことをレズだと勘違いする。
そこへジュリーの父から電話が入る。
今夜、ドロシーをクラブに誘う旨の電話だ。
ジュリーは父に期待させないために、父に本当のこと(自分はレズ)を打ち明けて欲しいとドロシーに頼む

○ジャズクラブ(夜)
ジュリーの父とダンスフロアで踊るドロシー。
ドロシー、ジュリーの父に気がないことを伝えようとするが、
先にジュリーの父が、プロポーズ指輪をドロシーの前に差し出す。
驚いてたじろぐドロシー。
慌ててその場を後にするドロシー。

○マイケル宅・前(夜)
ドロシーとしてタクシーを降り帰宅する。
と、アパートの前に院長が。
ドロシー、断るも引かない院長を、渋々家にあげる。

○マイケル宅(夜)
院長、ドロシーに想いを伝え、ドロシーを無理やり抱こうとする。
ドロシー、必死に抵抗している。
そこへジェフが帰ってくる。
気まずい空気。院長、帰っていく。
マイケル、女装を脱いでやっと一息。
…と思いきや、今度はサンディが訪ねてくる。
女装が脱ぎ切れてないマイケルは、部屋の奥に隠れる。
× × ×
片付け終わり部屋を開けるマイケルとジェフ。
サンディ、マイケルに「なぜ電話をくれないのか」と迫る。
マイケル、ごまかすために、ジュリーの父から貰ったプレゼント(ハート型のチョコ)をサンディに渡す。
サンディ、そのチョコからメッセージカードを見つける。
愛の言葉が綴られたカードに、他の女への浮気を疑うサンディ。
それは男だとごまかすと、今度はゲイだと間違われて散々。
結局、マイケルはサンディに他に好きな女性がいると打ち明ける。
サンディ、発狂して帰っていく。

○エージェント事務所(深夜)
マイケル、エージェントに番組を降板させてくれと頼み込む。
一連のゴタゴタで、もう限界が来ているのだ。
しかしエージェントには許してもらえない。

○スタジオ・セット
収録の予定変更で、生放送になる。

○スタジオ・楽屋
ドロシー、ジュリーに謝罪を込めてプレゼントを渡す。
ジュリー、気まずそうに受け取るが、空いてしまった距離感は戻らない。

○スタジオ・点描
準備が進んでいって、いよいよ生放送

○スタジオ・セット
生放送の本番が始まる。
お茶の間では、ジュリーの父やサンディ、ジェフが見ている。
ドロシー、台本を変えて、アドリブを始める。
困惑する役者やスタッフ陣。
ドロシー、適当なストーリーを語り、カツラを脱いで自分が男であることを明かす。
騒然となるスタジオと茶の間。一旦CMへ移る。
CM中、ジュリーは男になったドロシー(マイケル)に腹パン一発。

○公園
日替わり。物思いに耽りながら歩くマイケル。

○とあるバー
ジュリーの父とマイケルが隣同士。
マイケル、ジュリーの父に指輪を返す。
静かに怒っているジュリーの父。
マイケル、ジュリーの父に、ジュリーを愛していると伝える。

○スタジオ・前
ジュリーが出てくる。
出待ちしているファンの先に、マイケルを見つける。
マイケル、ジュリーに謝罪と愛の気持ちを伝える。
ジュリー、怒って取り合わないが、それでも食い下がらないマイケル。
ジュリー、最終的にマイケルの愛を受け入れる。
街を並んで歩くマイケルとジュリーの背中。


映画『トッツィー』分析

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▽主人公は誰で、どこから登場しているか
主人公は、売れない役者のマイケル。
冒頭で、
・演劇教室で指導しているマイケル
・メイクルームで付け髭をつけているマイケル
・オーディションに落ちているマイケル
が点描され「売れないこじらせ役者」であることが描かれている。

▽二番目の人物は誰で、どこで登場しているか
病院物語の看護師役・ジュリー。

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最初は、病院物語のオーディションで、ドロシーが落とした台本を拾ってくれる女性として出会う。
その優しさと美しさにドロシー(マイケル)は好意を抱く。
…がここでは一瞬の登場で終わる。

本格的に知り合うのは、マイケルが病院物語の看護師役を女装したドロシーで勝ち取り、撮影セットに入った初日。
同じドラマの役者の1人として、ドロシーはジュリーと出会う。
マイケルからドロシーになった過程が描かれきった後、初めて本格的に登場する。
マイケルではなくドロシーとして、ジュリーと出会うのだ。
ジュリーは、ドロシーが男であるという秘密を知らない!

▽主人公の物語が本格的に始まるのはどこか。それはどんな物語か

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マイケルが女装し、病院物語のオーディションを受けるところ。
ここから女装してドラマに出演することになり、物語が動いていく。

売れない役者だったマイケルが、女装した姿ドロシーになってTVドラマに出演し一躍スターダムを駆け上がるも、
意中の同僚役者・ジュリーへの恋心を伝えられないことや、複数の男に言い寄られることなど、女装であることによる困難に見舞われ、
自ら女装を脱いで男であることを打ち明けることで、ジュリーに愛を認めてもらう物語。

▽物語が大きく転換しているのはどこか
ドロシーの人気上昇が点描されるシーン。
・続々と届くドロシー宛のファンレター。
・カメラマンに写真を撮られるドロシー。
・雑誌の表紙に起用されるドロシー。

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ドロシーとしてスターダムを駆け上がりすぎて、後戻りできなくなる。ここから…
・マイケルではなくドロシーとして求められる自分
・一方でドロシーとしては得られないものや失うものが沢山あるという現実
に直面する。

▽クライマックスはどこか
スタジオで生放送が決定し、ドロシーがマイケルであることを暴露するシーン。
スタッフや役者たち、お茶の間の視聴者の全てが唖然とする。

▽主人公が困ること、苦しむことはどこでどんなふうに起こっているか
※構成表に★で示した箇所

①売れない偏屈な役者である。
→仕事がこない/好きなことが全くできない

②仕事を得るために女装してオーディションへ。合格して、女装のままTV出ることになる。
→女装がバレそうになる瞬間がたびたびある
→サンディの役を自分が女装して勝ち取ったと言えない
→院長から唇を奪われそうになる
→女性共演者の下着を見ながら着替えることに
→マイケルとして街で共演者に遭遇して、隠れる(バレない)

③ドロシーの演じる看護師が一躍人気者に
→視聴者であるジュリーの父から女として誘われるように
→意中のジュリーには、男としての自分を伝えたいのに、伝えられない
→サンディからは浮気を疑われ、説明がこじれて今後はゲイを疑われる
→ジュリーにキスしようとして、ジュリーからはレズを疑われる
→ジュリーの父からプロポーズされ困惑する
→院長からレイプされそうになり発狂する
→エージェントに契約解消を頼むが、取り合ってくれない
「俺は一生女役のまま⁉︎」

☝️まとめると
・魅力的な女性すぎて、男たちから好かれてしまう。
・想いを寄せる女性には、自分が女性であることから告白できない。
・メンヘラ女から、ありもしない疑惑をかけられている
→なのにエージェントは降板を許してくれない!!!!!!!!


▽逆にホッとするようなことや主人公が喜ぶことはどこで起こっているか
・ドロシーとしての女装でオーディションに受かる/人気者になる。
・案外ドロシーは女装であることが、バレそうでバレない。
・ドロシーでなら意中のジュリーに近づける。
・女性が生きてゆくことの大変さを実体験する(気付く)。

▽起承転結に分けるならどこまでが起でどこまでが承か
起:「冒頭」〜「マイケル、エージェントに自分で仕事を勝ち取ると啖呵を切るシーン」
承:「女装ドロシーとしてのオーディションシーン」〜「現場監督リタのオフィスに呼ばれるシーン」
転:「リタに契約更新を伝えられるシーン」〜「生放送でカツラを脱いで男であることを明かすシーン」
結:「公園を歩くシーン」〜「ジュリーと並んで街を歩くシーン」

▽三幕だとするとどこが分かれ目か
①幕:「冒頭」〜「本番で過激なアドリブを言うシーン」
②幕:「スターダムを駆け上がるシーン」〜「契約更新を伝えられるシーン」
③幕:「エージェントに頼み込むシーン」〜「ジュリーと並んで街を歩くシーン」

▽このストーリーを3行で言うとどうなるか
売れない役者だったマイケルが、女装した姿ドロシーになってTVドラマに出演し一躍スターダムを駆け上がるも、
意中の同僚役者・ジュリーへの恋心を伝えられないことや、複数の男に言い寄られることなど、女装であることによる困難に見舞われ、

▽このストーリーを15項目くらいの箇条書きにするとどうなるか
・売れない役者マイケルは、こじらせていて偏屈な奴
・誕生日パーティの後、サンディのオーディション練習に付き合い、会場へ
・理不尽なキャスティングにキレて、エージェントに自分で仕事を勝ち取る!と啖呵を切る
・女装しオーディションを受け、見事に看護師役を勝ち取る
・サンディの服を漁っているところを見られ、ごまかすために寝てしまい、サンディがメンヘラ化する
・共演者のジュリーに恋心を抱くが、ジュリーはPと出来ていると分かる
・サンディに女装を隠したり、役者陣のセクハラにあったり、女装の困難が生じはじめる
・サンディのディスりからドロシーのアドリブが過激になり、そのキャラが受けて一躍スターダムに
・視聴者であるジュリーの父がドロシーを気に入り、ジュリーの実家へ
・ジュリーの実家で過ごす週末、父→ドロシーへの好意/ドロシー(マイケル)→ジュリーへの好意、加速する
・現場監督からドロシーの役の契約更新が告げられ、エージェントに降板したいと嘆願する
・ジュリーがPと別れたことで、ドロシーはジュリーにキスしようとして拒絶される
・ジュリーの父からプロポーズされ、院長からレイプされかける
・生放送で男であることを暴露する
・ジュリーへマイケルとして想いを伝え、受け入れてもらう

面白いと感じたポイント

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□キャラクター
・完璧な女装の主人公マイケル
・男勝りな看護師ドロシー(南部なまり)
・キス魔で台本なしでは演じられないポンコツ役者の院長
・メンヘラすぎる恋人(?)サンディ
・達観して呆れている親友のジェフ
・クソオヤジと不倫する魅力的なヒロイン
・適当な軽いノリのエージェント

□構成
①「バレるかバレないか」ではなく、バレない前提で「勘違い」を生み出す
女装をしてTVドラマに出演する設定を作るとすると、
「バレる?バレない?」でドラマを引っ張ってしまいそうだけど。
本作はそこは小さなネタとして描いていて(ヒゲを感じる/電話に出ない/服を隠す…etc)
メインで描いているのは「勘違い」の状態を面白く描くこと

ドロシーが女であるから、院長やジュリーの父に好かれてしまう
ドロシーが女であるから、ジュリーにキスしようとしてレズだと思われてしまう
マイケルが女装したドロシーであることを知らないから、サンディは隠し事をしているマイケルを不安になる

👉やはり勘違いが生むドラマの面白さは一番である(仮説)

②「身から出たサビ」の展開は面白い
自分が始めたことで、自分が苦しむ構成。

自分が女装してオーディションに参加し、役を勝ち取ってハッピーになったのに、
そのせいで、女装としての困難に見舞われすぎる。
もう女装を辞めたいのに、人気が出てしまい契約更新になってしまう。
エージェントは辞めさせてくれない!

👉自分のバカげた企みによって、自分自身が困難に陥る様子は、見ていて痛快でもある

③後半の畳み掛けがすごい!加速感がある
後半クライマックにかけて、畳み掛ける構成になっている。

それは、以下のシーンが1日の間で起こる展開になっているから。
・契約更新されて困り笑い
・エージェントは辞めさせてくれない
・ジュリーからレズだと思われる
・ジュリーの父からプロポーズされる
・院長からレイプされかける
・サンディからゲイ疑惑をかけられる
・深夜のエージェントも辞めさせてくれない

👉勘違いの顛末を後半に集中させて、クライマックスの盛り上がりを作り出す構成

□小道具
・ハート型のチョコ
ジュリーの父から貰ったチョコを、そのままサンディにあげるマイケル
と、そこにジュリーの父からの手紙が挟まっており、ますますサンディを怒らせることに

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