大人になってわかったこと
大人になってわかったことは、
自分は自分にしかなれない、
というあたりまえのことだった。
自分以上の存在には決してなれないし、
自分以下になってしまうこともない。
まわりのひとを見てくらべ、
落ち込んだり、
いい気になったりしていたこともある。
いつかあんな人間になりたいとあこがれたり、
華やかな暮らしを夢見たこともあった。
あんな奴になってはいけないと、
憎んだり嫌った人もいる。
でも、自分はこうだからと決めつけて、
そこに近づこうとするたびに、
何ががちがう、そうじゃない、と
こころの奥から声がきこえていた。
わかっていたのに聴こえないふりをしていた。
けっきょく遠回りして見つけたのが、
子どものときからよく知っていたはずの
自分でしかなかった。
大人になるってことは、
忘れていた自分を思い出すことでしかなかったのだ。
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