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大川隆法さん、30年ぶりにノストラダムスの霊言を行う

更新が大変遅くなってしまって、本当に申し訳ございません。

今回、大川隆法さんの新刊について言いたいこと自体は少ないわりに、その背景の説明が異様に長くなってしまいました。ちょっとバランスが悪くて申し訳ないです。
また、「ノストラダムスの大予言 日本編」「講談社フライデー事件」などに関して、過去の記事と重複する内容も多くて恐れ入ります。

 

時空を超えて(中略)ノストラダムス!!!

2022年5月3日、「幸福の科学」の大川隆法さんの新刊が発売されました。

ノストラダムスは、「1999年7月に空から恐怖の大王が降ってくる」という予言で有名な人物。

1970年代~1990年代に流行しました。

週刊少年マガジン 1998年41号

しかし、1999年には特に何も起こらず。
ノストラダムスは過去のコンテンツとなってしまいました。

その1999年から22年も経った現在に、ノストラダムスの新刊を出してくれる。それがハッピーなサイエンスです。

 

今日言いたいこと

と、ノストラダムスの最新の霊言が令和4年に出版されたわけですが……。
どうやら大川隆法さんの記憶の中で、ノストラダムスの詩の元の形が忘れ去られているようです。

『予言集』の5巻53番と10巻75番と1巻48番を合体させた「幸福の科学」のオリジナル四行詩を「ノストラダムスの予言」として語っていて、わけのわからん感じになっていました。

また、1991年に起きた「講談社フライデー事件」について、「あれはノストラダムスが『幸福の科学』を滅ぼそうとして仕掛けた罠だった」という方向になっているのが面白かったです。

てことで、今日はその辺の解説をしてみようと思います。

 

これまでの歴史 ~ノストラダムスと幸福の科学~

とりあえず、過去の経緯を、ざっくりと時系列順に説明してみます。

 

1973年:すべての始まり

五島勉さんの著書『ノストラダムスの大予言』が発売。

この本が大ブレイクして、「空から恐怖の大王が降ってくる」という予言が日本中に知れ渡りました。

『ちびまる子ちゃん』8巻より、1974年の小学生

 

1979~1986年:『大予言』II~V

その後も、五島勉さんは『ノストラダムスの大予言II』『ノストラダムスの大予言 III』と出版を続けます。

その中では、ノストラダムスの次の予言詩も紹介されました。

どんなに長く期待しても ヨーロッパには二度と現われない
それはアジアに現われる
大いなるエルメスの系列から発して団結するその国
東洋のすべての王を超えるだろう

『予言集』10巻75番(五島勉 訳)

 

1987年6月:大川隆法さんの『太陽の法』

一方、大川隆法さんは、1986年に脱サラして「幸福の科学」を発足。

1987年6月、その伝道の核となる基本書『太陽の法』を出版しました。

「この『太陽の法』こそ、昇りくる神理の太陽であり、新しく拓けてゆく文明のためのなのです。
人類は、数十年の大混乱と、荒廃のなかから、二十一世紀に、新たな文明を切り拓いてゆくのです。
そして、その新文明は、このアジアの地からひろがってゆくのです

大川隆法 著『太陽の法』

エル・カンターレという存在がヘルメス釈迦として転生してきた設定も、すでに存在しました。

エル・カンターレは、二千五百数十年前に、肉体をもってインドにあらわれます。すなわち、ゴーダマ・ブッダ、釈尊といわれた方です」
「釈迦の生命体が、過去、ラ・ムーとして、ムー帝国に出たり、(中略)ギリシャの地に、ヘルメスという名前で出たりした」

大川隆法 著『太陽の法』『永遠の法』

 

1987年12月:「日の国」のメシア

『太陽の法』出版の半年後。
1987年12月に、五島勉さんの『ノストラダムスの大予言 日本編』が発売。

この本で、五島勉さんは「大きなメシーの詩」を紹介。

日の国の法と金星の法が競い合う
予言のエスプリをわがものとしながら
双方たがいに耳をかたむけないが
大きなメシーの法は日の国によって保たれるだろう

『予言集』5巻53番(五島勉 訳)

……という四行詩で、五島勉さんは「日の国の生む新しい何かが真のメシアになる」と解説。

大きなメシーの法とは、「科学か超技術か哲学か宗教か生き方か、あるいはそれらを総合したもっと大きな何か」で、その中身のひとつは「戦争や汚染をいっぺんにぶっとばす超ハイテク」なのだそうです。

世界を救うのは日本だ。日本が生む哲学か宗教の“法”、画期的な超ハイテク、それらを総合した何かが人類を救う。
そしてそれは、技術的にか精神的にか『光』と深い関係があるのだ。
生命・宇宙・人間をつらぬく永遠の光と!」

『ノストラダムスの大予言 日本編』(五島勉さんによる本文)

こうして、1999年の破滅から人類を救うのは、日本が生むメシーの法だ……という希望の予言が説かれたのでした。

 

「日の国」という翻訳について

しかし、五島勉さんが「日の国」と翻訳した部分は、元の詩では「Sol(太陽)」で、「国」に相当する言葉はなさそうです。

「Sol(太陽)」が日本のことだというのは、五島勉さんの解釈。
それなのに、「四行詩の日本語訳」の段階で「日の国」と書いちゃうのは、意訳しすぎに思えました。

その点は、五島勉さんも気になったのか……。
のちに出版された『ノストラダムスの大予言 中東編』からは、「日本語訳」の段階では、単に「太陽」と書くように変わります。

太陽の法と金星の法が競い合う
予言のエスプリをわがものとしながら
双方たがいに耳をかたむけないが
大きなメシーの法は太陽によって保たれるだろう

1990年11月の五島勉 訳

 

1988年:ノストラダムスの霊言

一方、大川隆法さんは、1988年6月にノストラダムスの霊言本を発売。

(この書影は1990年の文庫版)

この本の中では、ノストラダムスの霊がこう語ります。

「1999年、7月の大異変でもって、おそらく死に絶える人間の数は、数億を下らないでありましょう」
日本人のうちの、何割かの方々が死に絶えることになるでありましょう。しかしながら、同時にそのような混乱期にあって(中略)『太陽の法』というのが説かれていきます」

大川隆法 著『ノストラダムスの新予言』

1992年から第三次世界大戦、1998年にアメリカ西海岸が沈没、そして、地軸のズレによる天変地異……。
そうした大災害・大戦争の中で、混乱する人々の心を『太陽の法』が導き、真のユートピアが建設されるという予言でした。

さらに、
「1999の年、7の月 空から恐怖の大王が降ってくるだろう アンゴルモアの大王を復活させるため……」
という予言詩についても、ノストラダムスの霊はこう語ります。

「『アンゴルモア』というのは、これは『東洋の盟主』という意味であります」
「東洋の盟主、これはすなわち『釈迦』であります」
『釈迦の意識の本体、本流部分』が地上に出て、一大霊革命を打ち立てるということであります。これを私は予言したのです

『ノストラダムスの新予言』

つまり、ノストラダムスの予言は、「アンゴルモアの大王=釈迦=大川隆法がメシアになる」という意味だったと主張されたのでした。

 

ドクター中松=メシー説

当時、ドクター中松さんも「自分の発明こそが、日の国に現れたメシアの法である」と主張。

小学館『ワンダーライフ』17号(1991年4月発売)

だいたいこんな感じで、色々な新興宗教が「日の国」の予言に便乗しました。
(阿含宗やオウム真理教への影響も広く知られるところです)

 

1991年:『ノストラダムス 戦慄の啓示』

大川隆法さんは、1991年2月に『ノストラダムス 戦慄の啓示』を出版。

ここでもノストラダムスの霊は、1990年~2020年の世界大戦を契機に『太陽の法』が人類を救うという予言をします。

「21世紀、リヴァイアサン(日本)は無敵となるであろう。年老いた鷲(アメリカ)の喉を食いちぎり、また、力尽きた赤き熊(ソ連)を打ち倒し、老いたるヨーロッパを嘲笑い、中国を奴隷とし、朝鮮を端女とするであろう」

「この日本の国に、新たに興きたるところの『太陽の法』が、北米を、南米を、ヨーロッパを、ソ連を、中国を、韓国を、そして中近東を、アフリカを照らし……」

大川隆法 著『ノストラダムス 戦慄の啓示』

 

森沢としお先生の入信

漫画家の森沢としお先生も「幸福の科学」の熱心な信者だったのですが、この時期に『太陽の法』やノストラダムスの霊言を信じて入会したそうです。

本屋で何気なく手にとった本。それは『太陽の法』でした。
(中略)
こうしちゃいられないと思いました。
お釈迦様が再誕されて新しい法を説き始めたと本気で信じたからです。

ノストラダムスの予言に1999年7の月に地球は滅びる。その時に、アンゴルモアの大王が復活してマーズが治める。その時に太陽の法が説かれるだろう。アンゴルモアというのはモンゴルの王様だからお釈迦様と。
それを本気で信じたんです。


すぐに入会しました1991年のことです。

森沢としお自伝

 

「幸福の科学」の躍進

そんな感じで、書籍の展開を中心に「幸福の科学」は拡大。
大川隆法さんの本は書店に大量に積まれ、1990年12月には『太陽の法』の全面広告が読売新聞に掲載されます。(広告費2500万円)

1991年には、こういう新聞広告も打たれました。

「『これから、ありとあらゆる不幸が世界を襲う』と、ノストラダムスは言う。しかし、この裏には、希望の予言が隠されている。日本は繁栄をつづけ、闇に沈む世界を救うというのだ」

新聞各紙に掲載

ダメ押しが、1991年7月15日に東京ドームに5万人を集めて「われはエル・カンターレである」と宣言した件で、これはマスコミに注目されました。

そうして、「東大卒の教祖が霊言をしている変わった宗教」の存在は、1991年に急激に有名になったのでした。
(そして、1991年9月に「講談社フライデー事件」というのが起こって、「幸福の科学」の悪評も一気に広まります)

 

五島勉、大川隆法を語る

と、「幸福の科学」が世間を騒がせていた1991年9月14日。
有楽町よみうりホールにて、五島勉さん・小島露観さん・井沢元彦さんによる討論会が行われます。(豪華!)

そこでも「幸福の科学」の話題が出て、五島勉さんが、次のようにコメントしました。

小学館『ワンダーライフ』20号(1991年10月発売)

「私が『ノストラダムスの大予言シリーズ』の『日本編』で『太陽の法』というものを書いたんです」
「ところが、その中で書いたことを、1~2年して大川隆法さんが『太陽の法』を書いて、自分こそ太陽だと言いました

これについては、五島勉さんに誤解があるようでした。

確かに、「La loy du Sol(太陽の法)」について「太陽=日本」と解釈したことは「五島勉さんのオリジナルのようなもの」です。

しかし、これまでの時系列は次のような感じで……。

  • 1987年6月、大川隆法さんが『太陽の法』を出版

  • 1987年12月、五島勉さんの『日本編』で「日の国の法」と紹介

  • 1990年11月、五島勉さんの『中東編』では翻訳を「太陽の法」に変更

  • 1991年夏、幸福の科学が「フライデー騒動」というのを起こして話題に

  • 1991年9月、五島勉さん、「幸福の科学」についてコメント

大川隆法さんが『太陽の法』を出版したのは、五島勉さんの著書で「太陽の法」の予言詩が紹介される前。
1~2年後に後出ししたという事実はありません。

五島勉さんの著書に「太陽の法」という言葉が使われるのは、大川隆法さんが『太陽の法』を出した3年後。
「幸福の科学」会員の視点だと、五島さん側が『中東編』で寄せてきたように見えて、変な手紙が来たのかも知れません。

とはいえ、大川隆法さんの霊言が、五島勉さんの著書の影響を受けまくっているのは確かです。

(ノストラダムス本人の霊のハズなのに、フランス語の原文ではなく五島訳を元に自分の予言を語り、アンリ二世の死を「10年前」に予言したという五島本にしか出てこないエピソードを語ったり……といった点は、志水一夫さんの『大予言の嘘』、山本弘さんの『トンデモノストラダムス本の世界』などでも指摘されています)

 

90年代の「幸福の科学」のノストラダムス解釈

そんなこんなで、ノストラダムスの予言詩に対する、「幸福の科学」の解釈を整理すると……。

 

『予言集』5巻53番

五島勉さんの1990年の訳がこんな感じ。

太陽の法と金星の法が競い合う
予言のエスプリをわがものとしながら
双方たがいに耳をかたむけないが
大きなメシーの法は太陽によって保たれるだろう

「幸福の科学」の訳は次の感じで、

幸福の科学出版『映画 ノストラダムス 戦慄の啓示 全秘密』

大川隆法さんの著書『太陽の法』がノストラダムスに予言されたメシア的なものだと解釈していました。

 

『予言集』10巻75番

五島勉さんの訳がこんな感じ。

どんなに長く期待しても ヨーロッパには二度と現われない
それはアジアに現われる
大いなるエルメスの系列から発して団結するその国
東洋のすべての王を超えるだろう

五島勉 訳

「幸福の科学」の訳は次の感じで、

幸福の科学出版『映画 ノストラダムス 戦慄の啓示 全秘密』

エル・カンターレの過去世のひとつがギリシャのヘルメスなので、大川隆法さんがアジアに現れる救世主だと予言されていたという解釈です。

 

2022年の「幸福の科学」のノストラダムス解釈

それを踏まえて、ようやく今年5月に出た新刊の話です。

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