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『ジモトがジャパン』VS『ダビデ君』

講談社のアプリ「マガポケ」で、『いじめるヤバイ奴』が全話無料で読めるキャンペーン中です。(2月9日まで)

マガポケには色々な雑誌の漫画が載っているのですが、これは「マガポケ発のオリジナル漫画」という分類になります。

「マガポケ発のオリジナル漫画」も150作ほどあるのですけど、その「お気に入り登録数」の上位を見ると、

220万人『ストーカー行為がバレて人生終了男』
147万人『いじめるヤバイ奴』(10巻・45万部)
123万人『お嬢様の僕』(8巻・60万部)
111万人『可愛いだけじゃない式守さん』(7巻・160万部・アニメ化)
107万人『お願い、脱がシテ』
104万人『フェチップル』(6巻・25万部)
101万人『微妙に優しいいじめっ子』
72万人『イジらないで、長瀞さん』(9巻・130万部・アニメ化)

……という感じで、登録数で2位、売上で4番目くらい? の上位らしいのが、『いじめるヤバイ奴』になります。

と、『いじめるヤバイ奴』って、人を選びそうな作品に見えるわりに、思ったより広い範囲に受け入れられているフシがあるのですよね。

私の行動範囲だと、ゲーム友達とか、VTuberのピエ郎さんとか、レンタル話し相手さんとか、わりと色々な方が『いじめるヤバイ奴』を好きで……。
数字を見た印象でも、『長瀞さん』とかに比べると、『いじめるヤバイ奴』は広い層にライトに読まれているっぽい感じがします。

さて、そんな『いじめるヤバイ奴』について、昔、雑誌のコラムに書いたことがありました。
わりと最近の記事なのですが、せっかくなので、この無料期間のうちに再掲載させていただきたく存じます。

以下は、2019年2月の『二次元ドリームマガジン』vol.105に書いた文章の再掲載となります。
(『いじめるヤバイ奴』の第15話までのネタバレが含まれているので、ご注意ください)


『いじめるヤバイ奴』

マガポケで連載中の『いじめるヤバイ奴』という漫画が、最近ちょっと気になりました。

ストーリーは、いじめられるのが大好きな女子高生・白咲さんが、クラスメートの仲島くんを脅迫して、自分をいじめさせるというもの。

いじめ2

いじめ1

仲島くんは、いじめ役を演じることを強いられており、うまく彼女をいじめることができないと、あとで呼び出されて拷問を受けます。

そうして、仲島くんは、ほかのいじめっ子といじめ対決をしたりすることになります。

それは、順番に白咲さんをいじめて、「どちらがおぞましかったかをクラスの投票で決める」という勝負。
審査員になったクラスメートのモブたちは、まるでグルメ漫画のモブが料理勝負に対するような距離感で、いじめ勝負に解説や反応をします。

「この勝負って後攻が確実に勝つよな? 後攻になれば、先行がやったことを見てから、それよりおぞましいことを確実に実行すればいいだけじゃねーか」

しかし、仲島くんは、あえて先攻を選択。
「この勝負、仲島くんの負けだよ…!!」とモブがザワつく中で、白咲さんに大量のうんこをぶっかけるのでした。

そうされると、後攻の対戦相手は、うんこまみれの白咲さんに触ることができません。
楽しい娯楽であるいじめで、うんこを触るなどありえない。かといって洗い流させることもできない。それは白咲に対する優しさになる。それをした時点で俺が何をしようと、仲島の狂気を超えることはなくなるだろう。詰んだ

かくして決着するいじめ頭脳バトル。

“おおむね後攻が勝つことになっている料理漫画の展開を模しながら、題材がいじめだからこその手法で引っ繰り返してみせる
というメタで高次元なギミックが、たぶん作者も無意識のうちに繰り出されており、新感覚の漫画になっていました。

あと、うんこをぶっかけられて喜ぶ白咲さんが可愛いかったです。

うんこ


『ジャンプ』のギャグ漫画事情

話は変わりますが、いま、『週刊少年ジャンプ』がギャグ漫画で苦労しています。
というのも、最近、多くのギャグ漫画が『ジャンプ』誌上での連載を終えてしまったからです。

・(ギャグ漫画の定義にもよるのですが……)
・2013年からジャンプを巻末で支えるギャグ漫画だった『磯兵衛物語』が2017年10月に終了。
・2012年ごろからジャンプのギャグの主軸を担った『斉木楠雄のψ難』が2018年2月に終了。
・2016年から地味に粘っていたギャグ漫画『青春兵器ナンバーワン』が2018年3月に終了。
・実績のあるギャグ作家による期待の新連載のはずだった『トマトイプーのリコピン』が、作者の腰痛により2018年5月に終了。(WEB移籍)
・最近の新連載では比較的ギャグ寄りの内容だった『キミを侵略せよ!』が2018年9月に終了。(16週打ち切り)
・そして、ギャグ寄りの連載として長年ジャンプの柱だった『銀魂』が2018年9月に終了。

と、『銀魂』が抜けるところで、ギャグがメインの漫画がひとつもなくなるという計算になりました。

さすがにそれはマズイと思われたのか、『銀魂』の終了と同時に、「たぶんジャンプ史上初!! 2本同時新連載!!」という触れ込みで、ゴリゴリのギャグ漫画が2つも開始されました。

ダビデ表紙

この号で最終回を迎える『銀魂』を表紙のスミッコに追いやって、大々的にプッシュされる「ギャグW新連載」。
それが、『ジモトがジャパン』『思春期ルネサンス! ダビデ君』の登場でした。

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