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#私の遠征話
明日晴れたら (10/10)
そよ風を浴びながら鼻歌を口ずさみ
好き放題に伸びる自由な草を大地を
一歩一歩しっかりと踏みしめる
この感触をしっかりと体に焼き付けていた数分前
チケットを切る直前に私を現実へと引き戻したのは
自然しか無いこの場所には不釣り合いな電子音
元彼からの電話の着信だった
何の用だろう?全く予想が出来なくて
少し迷いながら電話に出た
「おはよう」と少し緊張した声で
でも昨晩と同じ距離感で言われる
明日晴れたら (2/10)
父がどう行った経緯で
このチケットを手に入れたのかはわからない
受け取った時も半信半疑で本物かどうかを疑った
仕事関係でもらったグッズかおもちゃかと思った
ただ記憶の端っこに微かに残る出来事がある
山の中にある木造の丸い建物
中央には大きな望遠鏡が空に向けて置かれていて
天井は開閉式になっていた
そこが父の仕事場で
よく遊びに行っては走り回って邪魔をして
でも怒られたことは一度も無かった