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東 京

ひとりで居るのを恐れて
話好きの人を探し求める者がある。
ひとりで黙っていると、
裸の自己が見えるから
それを逃げたいと思うのだ。
     ハリール・ジブラーン

東京に生まれ育つと故郷がない、
そんな風に思われがちだ。
当の本人でも、
「わたしには故郷がないから」
「わたしにはいなかがないから」
という人もいる。
が、故郷は東京だし、
帰るいなかも東京だ。

そんな東京は、寂しい街のように描かれる。

戦後〜高度成長期の東京を舞台にした歌は希望に満ち溢れているものが多い。
「東京ブギウギ」「東京ラプソディ」「東京音頭」
「お祭りマンボ」

それをすぎると、東京は寂しい孤独な街として歌われることが多くなっていった。
有名どころ
「東京砂漠」「神田川」
個人的趣味
矢沢永吉の「東京」、甲斐バンドの「東京の一夜」
東京とは言ってないけど
「大都会」「木綿のハンカチーフ」
夢破れた、恋に破れた、そんな場所として、
東京に行くと人が変わっちゃう、そんな感じで。

東京の一夜は この街で過ごす一年のよう
東京の一夜は あなたの顔から
ほほ笑みさえ 消してしまう
         甲斐よしひろ


でも、自分にとっては、落ち着くんだよな、やっぱ東京が。

学生時代(京都の大谷大学ってところに行っていた)、
新幹線で故郷へ帰る際、窓の外に、
東京タワーや銀座・有楽町のネオン街が見えてくるとホッとした。
そんな話をすると、
「お前はおかしい」
「山や川が見えてくると寂しくなる」
「絶対おかしい」
そんな感じだ。

寂しさ、孤独。

ま、自分は感じたことはないが、

孤独は山になく、街にある。
一人の人間にあるのではなく、
大勢の人間の『間』にある。
         三木清

「間」は「魔」だ。っとも言う。
人は基本孤独なものだ。
それだと生きていけないので、
「間」を図りながら群れを作る。
そしていつの間にか、
「個」よりも「間」の方が大事になってしまう。
「個」に本当のところがあるのに、
「間」に本当のところを見ようとする。
だから余計に惑わされる。

「個」をみるチャンスは大事にしよう。

人と話し、楽しく過ごしたら、
そんな時ほど、その後に孤独を感じる。
その孤独が大事なんだ。

見えてくる自分は、いまは受け入れがたい自分かもしれないが、
そこから目をそらさずに見つめていくと、
誰がでもなく、社会から見てでもなく、
自分自身が大事なものだということにきづけるときがかならずある。

次の瞬間には、それは錯覚だったのかな、と落ち込むかもしれないが。
でも、だめな見たくない自分が大事に思える、
そんな時々を過ごすと、
孤独も悪くないなと肩の力が抜ける。

東京にいても怖くない。
東京である必要もない。
東京が特別でもない。
この街にも、優しさや温もりもある。
もちろん、寂しさや、悲しさや、悔しさも。
そんなどこにでもある場所だ。
どこにでもある・・・私の心のうちにも。

ようこそ、東京へ。


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