見出し画像

山のヨガ学校の諸事情

北インドでの4週間、全部で200時間のヨガ講師養成講座は、私の想像を裏切ったり、超越したりしながら進んで行った。

わざわざ有名観光地ではなく、閑散期の山麓の学校に決めたのは私。なぜかそちらに魅かれたのも、期待と現実のさまざまな矛盾に開かれたかったのかもしれない。インド人の実情にどっぷり浸かって、その後インドに住む事になる予兆だったかもしれない。いずれにしても、この経験が私の人生を180度変えてしまったとも言える。

「学校」という名の元に、実際は1人の先生がゲストハウスと契約し、宿泊と食事を付け、建物の屋上をスタジオとして使っていた。それはインドでは特に何の問題もないが、先進国からやって来る生徒が期待するような設備やサービスは整わない。

日本からやり取りしていた頃、質問の度に即座に回答が来て、きっと敏腕事務員がいるのだろうと思ったら、実際は授業の合間、先生はスマホに掛かりっきり。1人何役もこなせる有能な先生だとも言えるのだけど。

デリーから到着した私を迎えたのも、革ジャンでバイクに乗った先生だった。チベット仏教のダライ・ラマ14世の住む門前町を見せてくれ、外貨両替所や各国料理のあるカフェを紹介してくれたのも先生。先生自ら受講料をHPの規約通り「現金で」集金した。この時記載の金額より100ドル多く言われて支払ったのだが、後で確認すると「間違えた」そう。その場で返金された。笑

ゲストハウスの小太りのオーナーは、最初は至極丁寧に私に接した。その作り笑いはインドに不慣れな私にも透けて見えるほど。それもその筈、蓋を開けてみれば私はその月たった2人しかいない生徒の1人だったから。私が途中で脱落でもすれば、営業自体に支障が出ると言う 事情だったらしい。このことは、コースの半ばで判明することになるのだけれど。

ベタベタした営業スマイルの割に通された部屋は風通しの悪い場所で、バスルームの電球も切れている。湿気のせいでドアも完全に閉まらない。不具合の度にオーナーに報告するも、動きの鈍いおじさんの従業員がのろのろ対応するだけ。

最初の2日間は一人きりで離れの食堂で食事をとった。台所に立つのはさっき電球を替えていたおじさんだ。サイトでは「完全ベジタリアン食」と書かれていたが、今思えば北インドのごく普通の家庭料理。メインはダール(緑豆)などの豆カレー1品に、カリフラワーやほうれん草など野菜カレーもう1品。それにキュウリや人参を輪切りしただけの「サラダ」が付き、主食はチャパティーかライス。至って簡素だ。ゲストハウスの表通りにはカフェがいくらでもあったけど、講習中は外食禁止とのこと。

お金を払って質素な経験をするのもアリか。。

一人きり離れの食堂で食べる豆カレー。母屋の方ではオーナ一の子供たちが遊ぶ賑やかな声がしていた。インド到着直後というのとあいまって、十数年感じたことのない「寂しい」という感情を味わった。

その後コースの開講に数日遅れでムンバイのマダム、サンディヤが到着した時は、仲間が出来て嬉しかった記憶がある。ところがこのサンディヤ、都会からやって来た要求の多い富裕層マダムだった。この後コースの半ばまで彼女の取る行動にいろいろと振り回されることになる。

画像1

ヨガ中のある日のベジランチ。インド家庭料理の味。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?