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インドで会ったタブラの師匠

私がインドで旅した時に出逢ったタブラの師匠の話をしたいと思う。彼はベナレスのガンガー付近でタブラを教えるタブラ奏者の先生だった。

私がガート付近のボロ宿に泊まっていた時の事である。

その時、何となくガンガーを見るだけじゃつまらないなと思い。面白い事がしたいなとフッと思った。細い小道をするすると歩いている間に出逢った先生。

本当に気紛れだった。

彼にタブラを教えてもらおうと思った。

彼の教室は、道端にタブラレッスンと書いてあって簡素な入口があるのみ。中に入ると神棚があってただの板の間の空間だった。

そこでまず彼は私にタブラを買うように勧めた。躊躇したものの折角だしと思い彼が言うままのタブラをそこで購入した。確か1万円位…。

その時の私には、それが正当な値段かもわからなかったが、騙されていても新しい経験を欲していたのは言うまでもない。

それから2週間のタブラレッスンが始まった。彼は基礎を私に叩き込む。タブラの如く

少しづつ難易度が上がり私も日々練習していた。

ただ彼はかなりサボり癖のある先生で私が教室に行くと祈りを始めた。その祈りは1時間近くにもなりレッスンの時間が短くなる。それでも同じ額を請求された。

まさにインド人らしいと言えばインド人らしい

こんなサボり魔も先生は先生なのである。

そんな不思議な先生との2週間はあっという間に終わる。

私がネパールに行く日が近づいて先生にも私は出発しないといけない。だからこれでレッスンは終わる。と伝えると先生は絶対に行くなもっと教えてやる!そんなことを今更ながら言われた。

じゃあもっと真剣に教えてよと思いながら、私はタブラを持って旅立った。それから少しの間は、タブラの練習をしていたが、随分前のやめてしまった。

今思うともう少しあそこに居れば何か面白い事があったかもしれない。最後に彼の顔を見て随分経ったけど、今も彼はベナレスでタブラを教えているだろうか…。

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