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202301 青天舎文庫

母 濱口さえこが月替わりでセレクトした絵本を「青天舎文庫」と名付け、店の一角に並べています。
手に取ってくださるお客さまとともに、わたしも店主として、娘として、1人の客のように毎月の絵本を楽しみにしてきました。
営業を始めてからもうすぐ1年となる春の日に、母と娘(言い換えると店主と最強アシスタント)、2人で絵本を広げて振り返ってみました。

1月のテーマ 広がるせかい

ブローチ
渡邊良重 絵
内田也哉子 文

もりのなか
マリー・ホッツ・エッツ ぶん え
まさきるりこ やく

かいじゅうたちのいるところ
モーリス・センダック さく
じんぐうてるお やく

根っこのこどもたちめをさます
え シビレ・フォン・オルファース
ぶん ヘレン・ディーン・フィッシュ
やく へん いしいももこ

🔸さえこ
「ブローチ」、これはすごいよね。

🔹ちな
ほんとにすごい。
薄い、透ける紙が使われていて、この紙、この形でないと味わえない作品。

🔸さえこ
なんかさ、朗読するとしたら、1人じゃなくて追っかけていって音を重ねていくようなイメージ。
絵もフェードイン、フェードアウトで次々に投影されていって、声も上に上に、消えないうちに次の言葉が聞こえてくるような。

🔹ちな
あー、たしかに。
なんか、映像にしたらすごく美しいんだろうなと思うんだけど、それが紙になっていることで、手触りとか、めくって、また戻ってみたりっていう、この形でしか表現できない絵本の凄さがある。

🔸さえこ
だんだんと、めくり方で違うものが見えてきたりして。

🔹ちな
どのページに何が書いてあるのかわからなくなって、次のページの文字が透けて見えるからそっちを先に読んじゃったりして。

🔸さえこ
うんうん。
でもたぶん、それでいいんだよね。
文字の場所とかも考えて書かれていて。
なんとなく向こうが見えているけど見えなくて、っていうところを進んでいく。

🔹ちな
このきれいな色で、外見からは考えられないページ数。
薄い紙だからめくってもめくっても、っていうすごい情報量にびっくり。

🔸さえこ
心があちこちいく感じ。
これは、ページを開かないと絶対に伝えられない本だよね。
読むっていうのとはまた違って、みるとか味わうとか。

🔹ちな
何度読んでも、

🔸さえこ
忘れてもう一回読んじゃう。

🔹ちな
っていう絵本今までけっこうあったね。(笑)
忘れてっていうか、何度読んでも新鮮っていうか。
1度じゃ読みきれない。

🔸さえこ
あーそうだね。
まさに「広がるせかい」でしょ。

🔹ちな
めくっている感覚も、ストーリーも。
世界を旅して、たどり着くのがブローチっていう。

🔸さえこ
わたしの胸、だからね。

で、「もりのなか」も「かいじゅうたちのいるところ」も同じ感じじゃないかと思っていて。

🔹ちな
広がるせかい?

🔸さえこ
そう。
実際に森に行って会ったわけじゃなくても、カンガルーとゾウがなんで一緒にいるのみたいなことは気にならなくて、いくらでも広がっていく。

🔹ちな
「かいじゅうたちのいるところ」も。

🔸さえこ
こっちは、窓の向こうに。あるきっかけで、突然すてきな世界がやってきたっていう。
もう、そういうことでいいんじゃないかなあって。
それで、ちゃんとおうちに帰る。
そういう行きて帰りし物語、次の月の「はるのひ」とも似てるなあと思う。

🔹ちな
そうだね。

🔸さえこ
これも、もう。
「根っこのこどもたちめをさます」
大好き、かわいい。

🔹ちな
根っこの子どもたち。

🔸さえこ
春ってこういうことだったんだ、と思ったらさ、楽しいよね。
この絵本はドイツのだけど、日本だけじゃなくて、春を待つ国がある。

🔹ちな
かわいい。

🔸さえこ
根っこを見ようよってことだね。
土の中とか、忘れてないかなって。
空は見上げやすいけど、土の中も。

🔹ちな
いしいももこさんなんだね、翻訳。
日本語版は2003年に出てる。

🔸さえこ
え、これ原作は1906年!

🔹ちな
120年くらい前?

🔸さえこ
この人の別の作品、「風さん」っていうのもあるって。
気になるね。

3月に続く…

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