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202205 青天舎文庫

母 濱口さえこが月替わりでセレクトした絵本を「青天舎文庫」と名付け、店の一角に並べています。
手に取ってくださるお客さまとともに、わたしも店主として、娘として、1人の客のように毎月の絵本を楽しみにしてきました。
営業を始めてからもうすぐ1年となる春の日に、母と娘(言い換えると店主と最強アシスタント)、2人で絵本を広げて振り返ってみました。 

5月のテーマ あたらしい1日

「DAWN」
作絵:Uri Shulevits

「あさになったのでまどをあけますよ」
さく・絵:荒井良二

「かぜはどこへいくの」
作:シャーロット・ゾロトウ
絵:ハワード・ノッツ
訳:松岡享子

「魔法のことば」
絵:柚木沙弥郎 
訳:金関寿夫


🔹ちな
「風はどこへいくの」は、小さいころ読んでもらっていた記憶がある。

🔸さえこ
最後の一文のお母さんのセリフ「あたらしい1日がはじまるのよ」が、5月のテーマにつながっている。
これはちょっと、理屈っぽいと思うの、子供に。
だから、寝かせるのにぴったりなんだと思う(笑)
結局はこれ、「さあ寝なさい」っていう本。
もう題名は「さあ寝なさい」っていうくらいの。

🔹ちな
だから読んでもらってたのか。(笑)

🔸さえこ
そうそう、ほらもう納得して、はーいおしまい今日はおしまい。って。

🔹ちな
よくできた絵本ですね(笑)

🔸さえこ
だから好きだったんだね、きっとね。

🔹ちな
「あさになったのでまどをあけますよ」は、買ってきたとき階段の踊り場に飾ってたよね。いい絵本買っちゃったんだよーって。

🔸さえこ
そうそうそうそう。

🔹ちな
わたしも大好きな絵本。
「だからやっぱりここがすき」って思える毎日でありたい。

🔸さえこ
あー、そういう見方かあ。
わたしにとっては「きみのまちははれてるかな?」の印象が強かった。
これ、震災後に描かれているんだよね。
だから、次に進まないと、っていう。

🔹ちな
なるほど。
その、震災後に描かれたんだっていうことを、小学生の頃に力説された記憶がある。
わたしは「きみのまち」のことももちろんだけど、自分がこの街で暮らす理由を探し続けているというか、ここがすき、を探すことに必死なのかも。今も、前も。(笑)

🔸さえこ
窓を考えついた人はすごいと思うんだよね。

🔹ちな
「きみのまち」とここを繋いでくれる。

🔸さえこ
これはもうちょっと読み込みたい絵本だね。

🔹ちな
そうだね。
次、「DAWN」は英語版で、鉛筆で日本語訳を書き込んである。

🔸さえこ
日本語版のタイトルは「よあけ」。
わたしが働き始めた頃に洋書コーナーがある本屋さんで買って、こどもたちにも読めるようにって図書館で同じ本の日本語版を借りてきて訳を写したんだよね。
訳は瀬田貞二さん。

🔹ちな
この一年の絵本たちの中で1番古いんじゃない?

🔸さえこ
そうかもしれない。
今のちなくらいの歳のころ買ったはず。きれいだなあーと思って。
そしてこれも、美しい絵本。

🔹ちな
「魔法のことば」柚木沙弥郎さんの絵。

🔸さえこ
これは、編集者の松田さんのところに、柚木さんが「絵本を作りたいんですけど」って来て、柚木さんの絵を見た松田さんが感激して出版に繋がったという話をきいた。

🔹ちな
松田さんって、小学生くらいの頃に読み聞かせをしてくれた?

🔸さえこ
そうそう。松田素子さん。
「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」を読んでくれた。
柚木さんの作品が、布とかになったのとはまた違うよね。そしてこの大きさ。フォントのでかさ。

🔹ちな
大きいよね。
この絵はこのサイズで活かされているのもあるかな。

🔸さえこ
この全面にね。文字も絵も。
ほんとにこれは、言葉についてとか、ひとについての、素晴らしいメッセージだよね。

🔹ちな
エスキモーに伝わるおはなし。

🔸さえこ
多分みんなこうだったんだろうなって。
こういうふうな言葉とか、こういうふうな人になりたいなと思う。

🔹ちな
うん、ほんとに思う。

🔸さえこ
だからときどき猿になりたいって思う時あるでしょ?

🔹ちな
え?ない。

🔸さえこ
え、前にも言わなかったっけ。

🔹ちな
ちょっと、共感できない。(笑)

来月に続く…

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