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『うつヌケ』

うつ、と一言で言っても、多種多様。程度も様々、原因も様々。
この本は、”うつヌケ”した筆者が、自身の体験談と
うつ経験者17人へのインタビューをまとめた、うつ体験記です。


この本の良いところの1つ目は、漫画であることです。
正確に言えば、「うつ」がキャラクター化されていること。
表紙で男性が抱えているのが「うつ」です。

うつになると、原因不明・正体不明の不安や恐怖に襲われます。
これはうつにならないと分からないんだなと、
うつになってからつくづく思いましたが、本当に怖いんです。
何が怖いか分からないけどとにかく怖いって、怖い。
ただ、これはいわば「幽霊」を見ている状態であって、
「妖怪」として捉えてみるのはどうだろう?という表現が、
「うつ」を描くという形で表れています。

好ましい存在ではないけれど
つきあい方がわかれば けっして怖くない

その日のうつの度合いを、「うつ3匹」とかで表すことができるのは、
簡単だけど客観視しやすくて、とても良い表現だなと思いました。


この本の良いところの2つ目は、18通りのうつが描かれていることです。
自分がうつになる前、私が持っていたうつのイメージは、
 ・過重労働の人がなるもの
 ・うつになると、引きこもりになる
でした。しかし、私のうつは、
 ・過重労働ではない、むしろ残業なし
 ・うつになっても、出かけることができる
です。なので、うつと診断されたのに、本当に自分はうつなんだろうかと、
疑いの目を自分に向けることが多くありました。
これはつまり、自分がうつであることを自覚しきれていないということ。
このことに、実はつい数日前に気付き、再休職したことに納得、
そしてこの本を読んでみよう、と思えたわけです。

前置きが長くなりました。
読んでみると、あるんですね、自覚のない「ステルスうつ」のパターン。
他にも、自分を嫌いになったことが原因だというパターンや、
うつになる要因はひとつもなかったというパターンも。

自分のうつについては、まだ分析中ですが、
自己肯定感の異常なまでの低さが原因の1つだと思っています。

うつヌケの要点は
いかに「健康的なナルシズムを取り戻すか」だと思います

これはある人のパターンですが、非常に心に刺さりました。
まさにここ数日、思っていたことでした。

それでも、自分のうつとまったく合致するようなパターンはなく、
うつとは本当に多種多様なものなんだなと再認識しました。

自分も”うつヌケ”が書けますように。

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