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【ネタ365days day196 最後の糸を切れ】



(普通になろう)と子どものころから思っていた。
普通が納得できなかった。学校、仕事、世間、すべてが私にとっては窮屈だった。けれど、生きていくためには適応しなければいけないと信じていたから、=普通になろうとがんばっていた。

もうおわかりだろうが、わたしは普通の子どもではなかった。特別すごい才能を持っているとか、突飛な行動をするとかそういうわかりやすいものではないのが、また苦しかった。けど、どこか周りと馴染みきれず、いつも違和感を感じていた。

普通でないものが普通を演じ続けるのは、大変なエネルギーがいる。わたしはとうとう息切れをして、普通の道から外れることになった。13歳のとき。

そこから今まで、自分に戻る長い長い旅をしている。最近はだいぶわかってきた、というかとうとう自分という人間の個性が変え難いものであると諦めて、ようやく普通の思い込みを手放せて、世界を生きることがとても楽になった。

が、
まだほんの一筋、“普通”への思いを捨てきれない。普通になれば安泰、という根拠もない思い込みが捨てきれない。幻でしかない一縷の望み。
とうとう切ってみた。

わたしという船を蜘蛛の糸のように細い一本の筋が普通という名の大陸につなぎ止めている。
それを、「ちょきん」と切った✂︎

わたしという船は動き出し、大陸を離れ始める。(もう戻れない)そう思ったら涙が出てきた。なんの涙だろう。
保証を捨てた怖さと愛との別れ、未知の道のりを進む緊張、後悔、懐かしさ、取り返しのつかないことをした、揺らぎと決断、未知の領域へのワクワク、置いてきた思いへの愛着と手放し、複雑に絡まった感覚が涙になった。

糸は一本ではない。
あちこちの船を出航させる。そのたびに涙が出る。
けれど、同時にパワーが出る。これからはわたしのパワーを使ってこの世界を切り拓いていく。自由と無限、頼もしさを感じる。

わたしはたくさんのものを捨てて、たくさんのものを得るところだ。もう前へ進むだけ。はばたけ。どこまでも、鳥のように。



#鳥と空
#ネタ365days

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