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本と映画

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旅、歴史などのジャンルを中心に読んだ本や映画を紹介。
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バイカー同士で交わす秘密のサイン

バイカー同士で交わす秘密のサイン

道路でバス同士がすれ違う時、運転手が互いに手を挙げて挨拶を交わす。

街中で一度は見かけたことがあるのではないだろうか。

僕は、あのさりげない一瞬のやりとりが好きだ。

一人であの大きなバスのハンドルを握り、地域住民の命を背負って安全に目的地へ走らせる。毎日、運転手は相当なプレッシャーを感じるに違いない。

道路上で交わされるあの一瞬の挨拶には、同じバスの運転手としてお互いの気を引き締め合うと同

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土方歳三の故郷、武州多摩にある風景

土方歳三の故郷、武州多摩にある風景

桜が見ごろを迎えていた今年3月末、東京・八王子に住む兄の家にバイクを借りに行った。久しぶりに奥多摩湖あたりまで走りたくなった。

家に着くと、兄が得意げに湯呑にお茶をたっぷり入れてくれた。

「これは桑の葉茶や!飲んでみ!うまいぞ!」

初めて飲んだが、思わずゴクゴクと一気飲みしそうになってしまった。

桑の葉には、糖尿病などを予防する成分がたっぷり含まれている。食前に飲むのが一番効果的だという。

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イザベラ・バード「日本奥地紀行(1)」

イザベラ・バード「日本奥地紀行(1)」

1878年(明治11年)4月、日本にやって来た一人の英国人女性がいる。

名前は、イザベラ・バード。(以下、バード)

日本に来た目的は、奥地(日本北部)への旅である。

明治政府が成立して10年ほど経っているとはいえ、日本は激動の時代だ。(前年は西南戦争が勃発)

このバードによって、当時の日本人の暮らしぶりが書き綴られた一冊の本が「日本奥地紀行(完訳)」だ。

原題では「Unbeaten Tr

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ジャック・ロンドン放浪記

ジャック・ロンドン放浪記

 名作「荒野の叫び声」を生んだアメリカ人作家ジャック・ロンドン。彼が31歳の時、16歳から18歳の若き頃に放浪した旅を回想して書き綴った本が、「ジャック・ロンドン放浪記」(小学館・1995年 訳者川本三郎)だ。原著は「The Road」で、1907年に出版されている。

 ”放浪記”とはあるが、時代の違いゆえに、読み進めていくうちに現代人が思い浮かべる放浪の旅と、19世紀末のジャック・ロンドンの放

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「老人と海」で感じる自己対話

「老人と海」で感じる自己対話

アメリカの小説家ヘミングウェイの「老人と海」(1952年)について少し書きたい。

ヘミングウェイは小説家でありながら、書斎でほとんど過ごさなかった。

その点でいえば、ヘミングウェイより23年早く生まれたジャック・ロンドンは、同じ行動派作家といえるかもしれない。「ジャック・ロンドン放浪記」についてはこのnoteで書いた。彼もまた書斎にこもらず、人生の多くを旅に費やした作家の一人だろう。

アメリ

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