映画「N号棟」を見てきました。まぁまぁネタバレあり。

 えーと、話自体は面白かったし、役者さんもすごいなとは思いましたが、主人公三人の馬鹿さ加減に感情移入が一切出来ず、あーこりゃ地獄行きだわーと呆れて見ていました。
 帰ってきて禍話かぁなっきさんの考察を聞いてようやく「あぁ、そういうことだったのか」と腑には落ちたんですけど、それでもねぇ。
 そもそも公式サイトはポルターガイスト現象を謳っていて、死とか霊とかで話が終始して、で考察聞いたら多重人格がテーマって、騙されるよな。でもそれには文句ないんです、それはそれで「なるほどね」なんですけど。

 私が「駄目だこりゃ」とついていけなかった要素を書き連ねるのですが、一回しか見てないんで見落としていたならすいません。

01.主人公たち、団地に着いて管理人から住人から会ったとき、向こうは名乗ったのに三人は名乗らないのね。
 まぁ個人情報を知られないようにって用心なのかなとは思ったけど、歓迎会が始まるともう名前を知られている。私が聞き逃しただけで言ったっけ?とは思いつつ

02.ドアに呼び鈴がないのはいいとして、ガンガンガンガンと扉を叩かれたら、「はーい」って返事をしないのか?今の若い人ってそんなもんなの?
 だってうるさいじゃん。返事をしないから叩かれ続ける、返事をしたら向うだって叩くのを止める、今はそんなんじゃないの?

 と書いて気がついて01.に戻るけど、某アメリカドラマで新キャラが主人公グループの一人に会って名を名乗る、そしてその一人が新キャラを仲間に会わせるとき、その人が紹介するのをずっと見ていたんだけど、最初に会った人が仲間に紹介するのって「この人はなんか悪そうじゃないよ」って印象を伝えるのね。なんでだかそんなことを思った。

03.主人公史織さん、加奈子さんに喧嘩売るのに戦う材料なさすぎ。死恐怖症でずっと苦しんでいたのに、霊のことも死後の世界のこともなんも考えてなかったんかい。大学の講義も単位がザルだからとったって言ってたけど、毎日ただ震えてただけなの?
 私だったら加奈子さんにあんなこと言われたら、30時間は話をするわな。
 そりゃね、内からは死恐怖症の、外からは母親の生死のストレスに苛まれていて、恋人にも友人にも相談しなかったってのはプライドがあるんだとか話しても真面目に聞いてくれないとか事情はあるにしても、なんか詳しいっぽい人が目の前に現れたら話を聞こうとは思わないもんかね。もったいない。

04.逃げるなら逃げる、戦うなら戦うで、行動をはっきりさせぃ。
 理論武装も出来てない、論破も出来ない、武器もその辺に転がっているものだけ、加奈子さんの部屋に入ったとき、ランプの火を部屋に付けろよと思ったけど、電池式かね?でも多勢に無勢だってのに、覚悟もなかったろ。
 ナイフを突きつけられたら、即加奈子さんを刺せよ。

 いったいなにがしたいんだお前は。

 ちなみに史織さん、かぁなっきさんや皮肉屋文庫さんの考察で、ホラー映画好きではないかと言われていましたが、一般的なホラー映画好きの人って、霊とか死後の世界とかって特に考えないもんなんですかね?
 人は誰でも一度は死んだらどうなってしまうか考えるものだ、という意見は私も小学生の頃から目にしていましたし、つげ義春氏「ゲンセンカン主人」の老婆の「前世がなければ私たちは幽霊じゃないですか!」みたいなセリフがあって、根源的な恐怖に言葉が付いた好例だと思ったものでした。

 かぁなっきさんの考察で、団地のやりとりは全部夢というか空想というか思考実験というか催眠状態というか、史織さんの頭の中だけで起こったことじゃないかという説が有力なのは解るけど、映画館では素直に見ていて、加奈子さんって「その人しか知らない事実」を突きつけないのかぁ、と物足りなさを感じていた。
 でごたごたが終わって火刑シーンで史織さんも加奈子さんも生きていて(あれ?)とは思ったけど、まさか集団自殺のシーンだとは解らなかった。地図見たときに大勢が上を見ていたシーンの再現かなと。
 だから終幕で一人だけ団地にいて、みんないないのかー、どうしちゃったんだろうと不思議でした。
 でこの考察で一つ謎があるんですが、史織さんがいないところで話が進むのはかまわないのでしょうか?
 真帆が啓太にキレるところとか。
 ちなみにこのシーンで管理人が「彼女、気が立っているから落ちつくまで」みたいに言って仲裁したけど、これはあらゆる怪異関係なくそのまんま年の功だと思った。

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