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嵐呼ぶ杖

嵐呼ぶ杖 飛騨の伝説と民謡
その年、京洛の東山東福寺では開山の聖一国師の五百五十回忌の法事が行われていた。そこに江戸の小日向龍興寺雄福大和尚がやってきた。大和尚は、一本の杖が置き忘れているのに気づいた。生木を用いた降龍の杖は珍しく、何かあってはと預かることにした。そうして大通りを歩いていると、雷鳴が響き大雨になり、三日三晩降り続き、鴨川も水が増し、あわや洪水となりかった。

その頃、雄福大和尚は杖の持ち主である無一大観法師に杖を返すことができた。法師は理由を聞き、杖を持ち帰国した。

雨乞いの時にこの杖を出せば三日三晩は雨が降り注ぐようになった。

この杖は名工として知られる松田亮長の作であったという。

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