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オペレーションの改善をするときによくやることの備忘録

最近業務委託先の若手とともにオペレーション改善することがあったので、どんなことをしてたのかを備忘録的にまとめておきます。
(一回話したことを何回も話すのが苦手なだけ説もあります)

こんな人にオススメ

・「オペレーション改善して!」と言われたけどよくわからない
・改善を回してるはずなのに成果が出ない
※一定PMFを達成してる、もしくはビジネスモデルが既に固まってることが前提なのでPMF前はオペレーション改善してもあまり効果がないかなと思います。

ここからは理解しやすいように人材系のビジネスを例に話を進めていきます。

そもそもなにを改善するのかを決める

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オペレーション改善をはじめる前に事前に目的とゴールの設定を行いましょう。

目的の設定:この改善活動を通してなにを達成したいのか

ゴールの設定:この改善活動を通して達成したい目的はなにを達成すると達成したと言えるか

今回は人材系を題材としているので下記のように設定します

目的:改善活動を通して全体の成約数を増やす

ゴール:成約数を月20件から40件に増やす(20件増)

この目的とゴールに向かってすべての改善は進んでいきます。
逆にここから逸脱するようであれば、その改善は意味をなしません。

現状の整理

最初に手をつけるべきことは現状の整理です。
失敗するオペレーション改善でよくあるのは現状を正しく認識できていない状態で施策の話をしてしまうことです。

まず、整理すべきことは下記の3点です。

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1.現状のオペレーションフローの理解

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まずはざっくりでもいいので今のフローを書き出しましょう。
(上の図はめちゃくちゃざっくり整理しています)

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実際にオペレーションを回してる人にインタビュー
一旦ざっくり書き出したフローを実際に現場でオペレーションを回してる人たちと更に精緻にしていきます。
ぼくの場合はざっくり書き出したものを見ながら、「実際ってこの他にやってることってあるの??」と聞きながら穴埋めをしていくことが多いです。

実際に現場にインタビューをするといつのまにか追加された工程や逆になくなってる工程があったりします。

そうしたものを見つけながらどんどんオペレーションフローを理解していきます。

2.フロー内のKPIの理解

フローに対してKPIの整理をしていきます。

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見るべき数値
「実数」と「各工程の通過率」です。
どちらかだけを見ていても意味ある改善がしにくくなります。
実数だけを見ていると、どこで漏れが発生しているのかがつかみにくいですし、通過率だけを見ていると通過率は改善したけど全体を実数で見たときに目標を達成できない可能性があります。

正しくKPIが計測されているのかの確認
各工程に対してKPIが正しく取得できていればいいのですが、往々にして正しく取得できていないことが多いです。

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a. そもそもKPIが取得できていない
取得すべきKPIが取得できていないパターンもよく起きます。
流入数は見えているけど、その後の初回アクションが見れていないなどです。
そもそもデータがないのでこれはKPIを取得することからはじめる必要があります。
しかし、取得できていないKPIがあった場合には後々施策を考える際にポイントとなることがあります。
なぜならこれまで取得もされていなかったKPIのため、施策の立案のスコープからも漏れていた可能性が高いからです。

b. KPIが取得できているように見えるが定義が違う
これもよくおきます。
例えば面談調整数の中に実はリスケ分の調整が含まれており、面談調整数がユニークのユーザー数と合致しないなどです。
本来はリスケ分は別でカウントするなどして対応をすべきですが、諸々の事情で面談調整数に含まれていることなどがあります。
その場合には別途計測する方法を検討する必要があります

c. KPIの因数分解ができない状態でデータが取得されている
KPIの取得はできているが、月次単位などだけになっていて日次のコホートがあとから作れないなどがよく起きます。
本来は分割できる最小単位でKPIが取得されることが望ましいです。
例えば時間に関するデータであれば日次(できたら時間まで)で取得するなどです。
あとからコホートを切る場合によく使われるのは日付、流入経路などを使うのでそうしたデータがセットで取得できているのかはぜひ確認をしましょう。

3. フロー内のKPIの理解

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各工程でそれぞれ現状でもなにかしらの施策を行っていると思います。
現在行っている施策をすべて書き出しましょう。
この中にはなあなあで続けられている施策もあるかもしれません。
そうした視点も持ちながら整理をしましょう。

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マネージャーや経営者は定期的に自社の行っているオペレーションを自分でも回す、もしくは体験をしましょう。

現場からのレポートやKPIを見るだけでは得られない生の体験からこそ得られる学びは多いです。

コメダ珈琲の臼井社長も実際にオペレーションを自分で回すことで現場感を持ち続けているそうです。

分析

一旦現状のオペレーションについて理解したあとには、どんどん分析を進めましょう。
分析の軸は大きく分けて下記2つをすることが多いです。

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1. 時系列での比較分析
社内のKPIを定期的に計測できていれば、時系列に沿っての分析ができるはずです。
その中でも上振れと下振れを見つけましょう。

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データを時系列で並べたあとに赤丸をつけているように上がり下がりしている箇所を見つけます。

どうしてこのときは上がったのか?
どうしてこのときは下がったのか?
季節性の影響?
なにか新しい施策をした?
なにか既存の施策を止めた?
担当者が変わった?
競合に変化があった?

とその時になにがあったのかをどんどん深ぼっていくとビジネスのドライバーが見つけやすいことが多いです。

よくある失敗はキレイに時系列にデータを並べているのだが、特になにも示唆を得ていないパターンです。

どんなにキレイにチャートを書いても示唆は得られないので、チャートから掘るべきポイントを見つけて、どんどん掘って原因を見つけていきましょう。

競合との比較

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競合の分析も基本的には比較です。
競合のデータを集めることでベンチマークをつくります。
実際にその数値の適正範囲を見つけることが目的となります。
仮に、成約率が業界全体で30%あたりで収束するはずなのに60%を目指すぞ!といった場合には達成できない可能性が高いです。
そのため、適正な値を知りましょう。

情報の集め方

情報を集めるときにはよく下記の手段を取ります。

・上場企業がいるマーケットの場合にはIRに目を通す
・競合の記事を探す
・利用しているツールベンダーへのヒアリング
・Twitterでのソーシャルリスニング

などなどでどんどん情報を集めます。

分析でなにが一番知りたい?
分析で一番知りたいことは「なにを頑張れば楽に成果が出るのか」の仮説を見つけることです。
一番楽に成果が出ると感じてるのは下記2つのポイントです。

・時系列で見たときに下がってるKPIでかつ外部要因ではない場合
・競合と比較して大きく乖離してるKPI

この2つのポイントを探していきましょう。

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今回はKPIベースで見ていますが、実際にユーザーに対してのインタビューも可能であれば実施しましょう。
KPIだと捨象されてしまう情報を有機的に拾いながら、数字の向こう側のユーザーの解像度をあげることも成果を出すためには必要です。
あくまでKPIは結果であり、そのすべてはユーザーの行動の集積です。

フォーカスの設定

分析を経た結果「ここを頑張れば楽に成果が出そう!」と見えたとします。
そこにどんどんフォーカスを効かせましょう。
逆にフォーカスすべきポイント以外に労力を割くとどんどん成果が出にくい状況になります。

今回の人材系のビジネスの場合だと仮にフォーカスが「面談調整率」だった場合には面談調整率にフォーカスしきった改善を行いましょう。

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外野から「いや、流入数だ!」、「面談からのクロージング率だ!」と言われても、面談調整率にフォーカスしましょう。
戦力の逐次投下は失敗の原因になる可能性が高いです。

施策の立案

施策を考えるときには下記のパターンで考えることが多いです。

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競合の施策を調べる
競合も日夜成果を上げるために試行錯誤を行っているはずです。
その中でも外からでも調べることができることも多くあります。
今回の「日程調整率を上げる」というフォーカスに対しては、競合はどんなツールを使っているのか?どんなワーディングを使っているのか?などを緻密に調べることで自社にも取り入れれることが多々あります。
ただ、このときに表面的にだけ真似してしまうとあとから「パクられた!」と言われてしまうこともあるので施策のエッセンスを抽象化しながら得ましょう。

アナロジーの効く業界を調べる
似た業界からも学ぶことは多いと思います。
今回の場合だと日程調整が入る業界は多々あると思うのでそのような業界がどのように日程を調整しているのかを調べましょう。
美容室、予約型の接客をするサービス(ハイブランドのジュエリーなど)、イベントなどスケジュール調整が入るものは一通り調べると施策の解像度が上がると思います。

今回は競合が利用しているツールを導入することで日程調整率の改善を行うとこととします。

施策の実行と振り返り

施策は実行してなんぼです!
決めたことをやりきりましょう。
このときもしマネージャーとして改善に関わっているのであれば、現場メンバーの施策実行をサポートをしましょう。
もし、メンバーとして関わっているのであれば施策を実行しきりましょう。
仮に施策を実行しきれないのであればすぐにマネージャーに助けを求めましょう。

施策の振り返り
施策を振り返るときのポイントは3つです。

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1. 施策は本当に実行されたのか?
意外なことに成果が出ない理由が、施策の実行がされきっていないということも多いです。
「実行されているのか」の評価と、「実行された結果成果が出ているのか」の評価は分けて考えましょう。

2. 得たい成果は得られたか?
この施策によって得たい成果は得られたかを適切に評価しましょう。
今回のケースだと「日程調整率」が改善されたかどうかを知る必要があります。
仮に思っていた成果が得られなかった場合によくあるのは、近い数字で自分たち自身をごまかすことです。
今回の場合だと「日程調整数は増えたましたね!」とか言っちゃう可能性があります。
しかし、今回のフォーカスとは関係のないことなのでそうした誤謬に陥らないようにしましょう。

3. この施策からの学習はなにか
成果が得られた、得られなかったとは別に、この施策からなにを学習したのかを振り返りましょう。
今回日程調整率をツールを使ってあげる、という施策がうまくいったとします。
今回の施策の結果得られた学習が、「これまで日程調整をチャットベースで人力で行っていたが、それだとユーザーが即時対応されないことがフリクションだと感じ、日程調整率が落ちていた」という学びを得たとします。
仮にこれが学習として正しければ、現在のオペレーション全体を見直すきっかけとなります。
こうした学習の積み上げが組織としての強さを生み出すので、組織的に学習を振り返る機会を設けましょう。

改善サイクルを回す

これまで行ってきた改善を組織的にサイクルとして回しましょう。
ここまで行ってきた改善を一連の流れとして捉え、
「仮説→実行→学習→新たな仮説」
の流れをつくりましょう。
そうすることで常にボトルネックをなくし、事業を前に進めることができます。

最後に

正直ぼくもまだまだ修行中の身なのでもっと勉強しないといけないなぁと思っています。
「もっとこうしたほうがいいよ!」などあったらぜひご教授ください!

参考図書


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