揚げたてがんもどき / 朝仕込みであの店の朝食を再現
尾道の「きっちゃ初」で食べた朝ごはんの、がんもどきが忘れられない。
まだ周りのお店が開いてない、静かで薄暗い刻に、ふぁっとカリッとした揚げたてがんもに、心がふぁっとした。
"1日かけてしっかり水切りをする"という事だけ覚えていて、1年越しに再現してみました。
朝仕込み
朝は金。朝したいことは山積みである。
できれば朝日を浴びながら朝ランでもしたいが子どもができてからそうもいかない。
昨夜。
がんもどきを作ろうと、1日前から豆腐の水切りをしていた。
日中に蓮根も買いに行った。ごぼう、人参、ささがきにして、、とここまでゴング。
ワンオペの夜は夕飯の支度が進まない。ご飯とお味噌汁を作って、ここまで来たが、泣く0歳児と、要求の多い2歳児との両立が精神的に難しく、もう諦めた。
朝。
カピカピになった人参牛蒡を湯がき直し、さらにひと晩越ししっかり水の抜けた豆腐と捏ねる。
朝日の斜線が心地良い。
殻を剥いて出てきた銀杏が宝石のよう。
春を迎える菜の花の鮮やかなこと。
朝のニュースなんかかけず、穏やかなジャズを流しながら。
料理の魅力を知らなかった数年前、
がんもどきなんて効率のわるいもの、買う一択だと思っていた。
そんな効率も気にせずに、この後揚げ立てになるがんもを、黙々と作り進める。
普段、朝に料理はしない。
昨晩の挫折があってたまたま、朝から揚げ物なんて。
でも、なんだろこの充実感。心が整う。
独身時代身軽に朝ランしていた頃、
朝ランのいいところは、思考の浄化作用だと思っていたが、
家族のまだ寝ている静かな朝
朝仕込みに 少し似た感覚を憶えた。
その後ぱちぱちと揚がったがんも。
この幸福感を知ったら、手間なんて。
そして手間もあまり無かった。
レシピ
(私のレシピは全て、発酵調味料を使ったレシピです。ウリは、材料工程をシンプルにしていること。それでいて旨味ぎゅうぎゅうなこと。)
今回のミソは、みりん粕と葱麹。
みりん粕の恩恵で、中はしっとり、外はカリッと、味醂の甘みも加わる。
※葱麹については後ろに。
つくりかた
1.豆腐の水切り(前日)
豆腐をバットに乗せ、少し傾斜をつけて、
豆腐の上に布巾、その上に重し(鍋)
傾斜の下に、キッチンペーパー(水吸い取る)
半日〜1日後にはずっしりした塊に。
2.中の具材、タネ
牛蒡と人参はささがきにして、さっと湯通し。しっかり煮えてなくていい。
豆腐を水切りした意味が無くなるので、野菜の水分はキッチンペーパーできちんと取って。
蓮根は微塵切りで。酢につけ湯通しすると粘りがついたので、生のまま入れてみたら、それで問題無し。
菜の花はハサミでチョキチョキ。
ひじきは水戻しを購入。
銀杏は紙袋に入れ、30秒レンジで加熱、殻を割って剥く。がんも1個につき2個以上入れると崩れやすいので、がんもの数と同量が良い。
こぼれ梅を、豆腐の1/4量。
見分けがつかないけど、混ぜ合わせる。
同時に具材達も。
3.整形
小さめ掌に納まるサイズ。ずらり14個。
少食ではないけど4個食べれば満足量。
4.揚げる
低めの160℃で6分(片面3分)じゅわじゅわ。
静かな朝に、小さくていい音。
第二陣は180℃ 4分で揚げてみた。
色の違いくらいで、さほど変わらず。
(出来上がり写真の色の薄いほう)
5.いただきます
ああ、作って良かった..! と
心がキラキラする朝ごはん。
外カリ中ふわの揚げたてがんも、最高。
ちなみに揚げ時間の短いほうは、色の薄いこちら。
そういえば肉が入っていないんだな。
朝ごはんにも、昼ごはんにも、晩御飯にも合うおかず。
あの店の朝ごはんの再現、成功。
それは朝仕込みの段階から始まっていたのかも。
6. 葱麹について
塩麹をつくる要領で、葱と一緒に醸したもの。
葱麹のおかげで、そのまま食べても味のあるがんもに。
玉葱麹ともまた違う。
葱の、素材に沿った甘みが加わる。
甘みと旨みと塩味、葱を切って入れる代わりをしてくれるから、こう見えて時短です。
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