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ビヨンセの「ルネサンス」

遅れてはまった去年の夏リリースのアルバム。大好きなホストSam Sandersが語っているのを発見して聞いてみた。私が感じてた事がキッパリ言語化されてて心底驚いた。 

アルバムの特徴として、DJのように何曲も連なっていてそのビートが変わる度に爆上がりする仕掛けになっている。

トップ3曲
I'M THAT GIRL

COZY

ALIEN SUPERSTARとどんどんbpmが加速していく。

更に続く3曲、同テンポにして
ラファエル・サディークのスムースファンク(CUFF IT)

ネプチューン系ダンスホールビート(ENERGY)

Big Freediaのバウンス(BREAK MY SOUL)に移行していく。

曲が変わる度に叫びそうになる。

Sam Sandersは「ビヨンセがここまでの大物になって、予算に糸目を付けずにブラックミュージックの全てをサンプル、コラボレーションの形で投入。成熟した自分のアーティストリーと声でまとめ上げている。」と言うが正にその通りだと思う。

メインメディアでも報道された通りこのアルバムはキッパリとLGBTQコミュへ捧げられている。「叔父のジョニー(HIVで他界している)に捧げる」と本人も言っている。 黒人音楽の広範囲、そしてクイア文化を統合している背景で、CHURCH GIRLという曲(一番好き!)がそれを象徴している。

黒人文化といえば、スポーツ、音楽、ギャングスタ、、良くも悪くも「ド派手」な印象が強いと思うが、当たり前の事だが大多数は大人しい平凡な人達だ。私はボストンで教会音楽を少し手伝った時コミュを覗いたことがあるのだが、日本からは見えない黒人コミュの広範囲の人々は、慎ましく、平凡でそして教会に属している。

しかし平凡ではあるが、大らかで包容力があり、根底がポジなのだ。だからコミュ内の飛び抜けた個人をジャッジする事なく受け入れている。 私は信仰が形骸化せず、排他的攻撃的になっていない印象を受けた。

しかしもちろん上の世代には善悪を教会の形式に捉われている層もいる。黒人コミュ内でLGBTQの迫害が大きく、害ある男性性が横行している事実もある。 そこでこのCHURCH GIRL。ビヨンセももちろん教会出身。でも、露出度の多い服を着て、お尻を振って歌う。そこは相反しない、という歌だ。「secular and sacred、両方含めて私は私。」と高らかに叫ぶ。

教会(信仰)、クイア、様々な黒人音楽。これを包容力ある深い声と実力でまとめ上げる。これは「黒人母ちゃん」そのままなのよなあ。これこそUnityじゃない? タイトル、ルネッサンスは「勿論ハーレム・ルネッサンスからだろう。彼女の曲は曲ではなく、黒人の様々な文化を全て投げ入れ、全てを愛し、さらなる創作物を生み出すサロンなんだ。」とサンダース。なるほどなー。

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