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主婦ポリ:誰がプロテストを仕切ってる?

全米各地で起こっている「反自宅待機令プロテスト」に関して、昨日の「草の根運動?」に引き続き、同じ題材で少し詳しく語っているPodcastを訳します。ニューヨークタイムズPodcast「The Daily」4/22日版。

1週間前に始まった。

突然。

オハイオのコロンバスで、共和党ドュワイン知事の厳しい自宅待機令に反発したプロテストだった。州の再開。経済の再開を要求。

翌日。同じ要求でノースカロライナでプロテスト。ここでは逮捕者も出ている。

その翌日、ミシガン州。これが今のところ最大規模の反自宅待機令プロテスト、名前は「Operation Gridlock」。州都ランシングで見渡す限りの車の列。クランクションを鳴らすプロテスター達。

「Freedom is essential !!
Freedom is choice !!」

「End the lockdown !
Freedom over tyranny !」

「旦那は今失業保険をもらっている。人生で初めて。働きたいのに。強制的にこういう状況になっている。」

「州はもう再開すべき。欲しいものが買えないなんてもううんざり!Walmartしか開いてないんて馬鹿げてる!」

これらは全てウィトマー知事にぶつけられていた。彼女は全国でも特に厳しい自宅待機令を出した知事だ。

(彼女がガーデンストアを閉めたせいで)「ペイントも買えない、芝生の肥料や種も買えないんだ。あり得ないよ、、」とプロテスターの一人はテレビの取材に応える。

別荘に行けない規制に反発する人たち。

「別荘があってもそこに行く事ができないんだ。州外在住で別荘がミシガンにある人は入って来れる、おかしいだろ。」

知事が「ウォータースキー」や「ジェットスキー」などの湖での娯楽を禁じたことにも反発している。

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州民はウォータスキーやモーターボートなどの禁止に本気でそこまで怒っているのか?

ミシガンは他の多くの州よりCOVIDの被害が大きいので、確かに自宅待機令もそれに応じて厳しい。

例えば「別荘への出入り禁止」などは「アメリカの自由」に対しての侵害だと言う意見も一理ある。私有財産である住宅、その中での移動の州による制限は権利への侵害だ、と言う。受け入れられない、どんな理由があろうとも、と。

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その後これらプロテストはラッシュ リンボーやアレックス ジョーンズらの番組、FOXニュースなど右派ニュースメディアで大々的に取り上げられる。

そして金曜日、FOXニュースがミネソタのプロテストをリポートしている時、大統領から

「ミネソタを解放しろ」
「ミシガンを解放しろ」
「バージニアを解放しろ」

全て大文字でツイートがあった。彼は自らこれらの運動の前線に立った訳だ。

これはいわゆる「ムーブメント」の様に見える。大勢で州庁舎の前に押し掛け、メディアがそれを時間を割いて取り上げている。これを組織しているのは誰だ?


調べれば、いつものメンツ、伝統的な保守派組織や大物達、ワシントンDCのある政治家達の意向〜それは必ずしも「芝生の種の購入」を目指しているものではない〜が見えて来た。

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ミシガンのプロテストの裏方は簡単に見つかった。

プロテストの運営は「Michigan Freedom Fund」がやっていた。保守系の運動団体だ。その長のグレッグ マクナリー。彼はミシガンの保守系富豪一家、デボス家と近しい関係。

デボス家は昔から保守派の運動に経済的援助をしている。ベッツィー デボスは現在米国教育長官。マクナリー氏からは「ホワイトハウスとは関連はない」との声明だが、この団体のホワイトハウスへの繋がりは明らか。

次に他州の同様のプロテストのFBページなどを見てみると、同じ文言がある事に気づく。

「保守派はいつだって働いてるからデモなんてやってる暇ないって言うけど、今は働いてないだろ?」

というジョークがいくつものページで見られる、と言ったように。

この一貫性はなんだ?

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True Northという急進派団体から連絡があった。面白いYoutubeビデオを見つけたと言う。

300ビュー程しかない、小規模のビデオ。スティーブン ムーア、ベテラン保守派活動家をゲストに迎えている。トランプ政権の元経済顧問だ。

「ウィスコンシンの団体に協力している。地元大物の一人が多額の寄付をしてくれる。名は伏せるが。彼は’誰かが逮捕されても保釈金や裁判費用は任せてくれ’と言ってくれている。」

ムーア氏はウィスコンシンの抗議団体と協力、大口寄付者を確保した、逮捕や裁判も辞さない、と言っている。

「ローザ パークスの様に立ち上がるときです。市民的不服従をする時です。政府の不正義に反抗するんです。」

私達は現代版ローザ パークス。自由の為に戦う。などと言う。
(*訳者注:ローザ パークスは黒人の市民権運動の活動家。人種差別や移民の閉め出しをモットーとした保守派が自分達をローザ パークスと呼ぶとは言語道断です。)

そしてこのビデオが公開されたタイミング。4/14。

この日、ムーア氏はトランプ大統領から経済再開委員会の一員として任命された。

彼の数週間前からの動向を探ると、他の団体と協力してトランプ政権に経済再開のプレッシャーをかけていた。その団体は

Freedom WorksとALEC。

これら団体は10年前のティーパーティー運動の立役者だ。

Freedom Worksはコーク兄弟資本。

よくよく探れば、今回もFreedom Worksは数々のreopen-governmentプロテストを直接支援している。

彼らは「ティーパーティーで経験済み。ノウハウはある」と言う。

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逮捕されたプロテスターを守る弁護士事務所もある。Michael Best。ホワイトハウス(トランプ)御用達の弁護士事務所だ。

元共和党全国委員会長、元米国大統領首席補佐官ラインス プリバスも在籍。現在大統領の脱税疑惑案件を取り扱っている弁護士もいる。トランプの大統領再選に向けての選挙活動の特別顧問である弁護士もいる。

例えばノースカロライナ州のプロテストの運動団体はホワイトハウスとは関連は無い、と言うコメントだが、糸が繋がりすぎる。

保守派裕福層、保守派運動団体、財政会の大物が、このプロテストをトランプ政権と繋げている。

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ホワイトハウスが直接このような運動を指示しているとは言っていない。そのような事実の証拠はない。

しかし、ホワイトハウスに非常に近しい人物や団体がこの運動を支援している事は明らかだ。

彼らの目的はなんだ?

勿論経済再開も目的の一つ。コーク財団が絡んでいるなら今の石油価格暴落は由々しき事態だし、その他裕福層寄付者達も同じ状況だろう。

もっと理念的な主張、「個人の自由の侵害」や「大きな政府による圧政」への反発と言うのも、嘘ではないだろう。

しかし、このCOVID禍で大統領の支持率が極端に下がっているのも事実。トランプの再選は彼らにとって最重要案件。

トランプ十八番選挙ラリーができない今、支持層の気持ちを掴み、固める為にこのプロテストは正にうってつけ。数々のプロテスターがトランプ支持の旗を掲げているのはそういう事だ。

プロテストはその性格上全て「大きな組織に援助を受けて行われる」ものではある。しかし、このプロテストが他と違うのは

「プロテストという行動が、その目的と矛盾する」

という所。

密になって集まって、早急な経済再開を強要する。彼らの行動で感染が再拡大して、犠牲者が出、経済再開は更に延長されるのだ。

大統領を始め支持者達はどういう理論でああいうプロテストを容認するのか。

「大げさすぎる」

「田舎の州は大丈夫」

「恐慌の方が国に取って害」

「自由を守るため」

それらの主張と人の命の天秤、という大きな質問に帰結する。

サウス カロライナ、テネシー、ジョージアなどは既に規制を緩める動き。これらの州の知事達は元々早々に経済再開をしたい政治的ポジション。よってプロテストの効果の程は分からない。

ミシガン州ではウィトマー知事が頑として規制を緩めずにいる。

言い方を変えれば、これはティーパーティーの比ではない、という事だ。知事達が圧力に負け次々と折れて行ったあの時のような勢いや規模では無い。

第一全国調査では国民の過半数は知事達の規制令に納得し、慎重な経済再開を望んでいる。

しかしトランプ政権で私達が学んだ事は「声の大きいマイノリティーが国政を変える事ができる」という事実。これからもこのような運動はしっかり注意して見るべき。

背後の保守系大物達はこのプロテストがずっとずっと続く事に多大な投資をしているのは確実なのだ。


トップ画像ソースhttps://www.nbcnews.com/

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