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寛大さん、「探究学習」ってなんですか? vol.3 タイモブの授業の現場で行われていること

来年度からの学習指導要領に組み込まれた「総合的な探究学習」。今、どのようにして授業に取り入れていけばいいか悩んでいる先生方も多いのではないかと思います。いち早く教育機関向けの探究学習プログラムを提供してきたタイモブCOO・中村寛大(なかむら・かんだい)の視点から、探究学習とは何か、授業を成功させるために必要なことは何かを考えていきたいと思います。

ー寛大さん、こんにちは。前回は「探究学習を成功させるためのポイント」について聞きました。
今回は、それらをふまえてタイモブが実際に学校で行なっている授業について聞かせてください。

探究学習を何のためにやるのか

飯野高校行動計画ワークシート

中村寛大(以下中村):授業の具体的なプランを考える前に担当の先生と綿密な打ち合わせを実施します。「総合的な探究の時間」の授業を何のためにやるのかを徹底的に話し合うところから始めるんです。

ー何のためにやるのか……ですか。

中村:来年度の学習指導要領に盛り込まれたから(しかたなく)……、と考えている先生も少なくないと思うのですが、それだと期待するような成果は出ないと考えています。単なる既成事実づくりで終わってしまう。自校として、どんなことを求めるのかを一度明文化することが重要だと考えています。

ーこれまでだと、どんな目的がありましたか。

中村:最近の例だと、田園調布学園様の「没頭する人を増やす」という目的などがありましたね。これはとてもわかりやすく言語化された目的だったと思います。

ほかにも、
・なぜ僕らと一緒にやりたいと思ったか
・僕らへの期待
・1年後にどのような姿になっていたいか
・メインのゴール、副次的なゴール
・ゴールの測定方法、数値目標
など、複数の項目に沿って細かく聞いていきます。

ーゴールはどのように設定するんですか。数値化するのが難しそう……。

中村:例えば先ほどの「没頭する人を増やす」というゴールから逆算し、探究的な学習の時間を通じて得たい生徒の皆さんの変化をレベル別に評価してもらいます
この時はレベルを3段階にわけました。
レベル1は「興味関心が見つかり、自分の言葉で言える」。
レベル2は「自ら計画できる」。
レベル3は「ビジョンや目標を形にできる」。
態度と能力の両面からこれらをアセスメントし、3段階目まで到達できた生徒さんが多ければ、僕らの授業を通じて「没頭する人を増やせた」と評価されます。

ーカリキュラムはどのように設計していくのでしょうか。

中村:年間計画を立てます。まずは2つくらいのテーマを通じてレベル1を達成し、そこからレベル2・レベル3それぞれの能力を養うのに適したテーマ……とレベルアップしていくようなイメージですね。

ーかなり綿密に準備をするんですね。評価は誰が実施するんですか。

中村:企業研修などで用いられる360°評価の手法を導入しています。生徒さんの自己評価に加え、先生からの評価と僕たちからの評価も実施しました。

世界を舞台に実践するグローバル探究カリキュラム

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ーなるほど。授業の内容は、学校によってカスタマイズされると聞きましたが、特徴はどんなところにありますか。

中村:「デジタルとリアルの融合」と「グローバルのネットワーク」が一番の特徴です。
まず「デジタルとリアルの融合」について。これまで、僕たちは50を超えるプログラムを企画・運営してきました。デジタル(オンライン)とリアル(オフライン)それぞれに強みがあり、ファシリテーション力にも磨きをかけてきました。また、デジタル・リアルともに、企業研修や、社会人・大学生向けのプログラムも多く手がけてきており、それらを通じて得たノウハウを中高生向けの授業の現場にも持ち込んでいます。

次に「グローバルのネットワーク」について。タイモブが一般向けに提供してきたプログラムの半数以上は、海外で様々な課題解決に取り組んでいる方々に協力いただきながら作ってきたものです。出張授業で扱うテーマは国内のものもちろんOKですが、ご希望に応じてこのネットワークを活かし、オリジナルのプログラムを作ることも可能です。

実践的な学びをとことん追求する

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ー先進的な取り組みをしている学校・教育機関で、タイモブの授業がシラバスに組み込まれはじめています。なぜだと思いますか?

中村:ありがたいですよね。これは僕らが提唱する「Learning by doing」の考え方を受け入れていただけている結果だと考えています。
タイモブの授業は、実践的な学びをとことん重視しています。何かを調べたり見たりインタビューしたりして一生懸命考えても、それを発表して終わり、になってしまう研修や授業がほとんどなのではないでしょうか。
でも、今社会で求められているのは、綺麗なポスターをつくるスキルではありません。重視されるのは、考えたことを「実践」するスキル。荒削りでも未完成でもいいから、とにかく行動にうつしてみるとたくさんの気づきがあります。内省をしっかりと行い、そこから得られた学びをもとに次のステップを考え、また行動を起こしていく。経験学習サイクルとも呼ばれていますが、このサイクルを自分の力で回していけることが、新しい学びにおいてとても重視されているのです。

しかしこうした実践的な学びをサポートできる専門家は国内では限られています。僕たちはこの分野のスペシャリストとして、これまで蓄積してきた知見やノウハウを最大限に活用し、次世代を担うリーダーたちの学びに貢献できたらと考えています。

ーありがとうございました。次回はタイガーモブが実施したオンラインでの学びに関する調査について、聞いていきたいと思います。


タイモブ探究Laboからのお知らせ


探究的な学びを共に探究していく先生たちを募集中!

これからの教育を担う先生や教育関係者の皆様と探究学習を共に考え、実践していく「タイガーモブ Teacher’s Community」を立ち上げました。

タイガーモブ Teacher’s Communityとは:
中学・高校を始め各種教育機関にグローバル探究プログラムを提供するタイガーモブが運営する、自分らしく生きていく社会と教育の実現のために、探究的な学びの実践機会を提供することを目的に立ち上げられたコミュニティです。
教育の未来について語りあうイベントやオンラインでの情報共有、実践を通じて探究学習をアップデートする勉強会などを実施予定です。

参加資格:
・新しい教育や学びの形を模索している先生
・イキガイを発見する原体験や自分らしさを見つける探究的な学びを実践したい先生
・先生ではないけれど教育分野で何かチャレンジしたい人
・学校や教育を通して100年先のより良い未来や社会、地球を共につくっていきたい人

参加方法:
コミュニティ参加をご希望の方はこちらよりお申し込みください。
後日メールにて参加のご案内をお送りさせていただきます。


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