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フィンランドアントレプレナーシップ レポート②〜起業家教育編〜

皆さんこんにちは、タイガーモブCOO中村寛大(なかむら・かんだい)です。

フィンランドのイタリアンで、サーモンのグリルの付け合わせのパスタがクリームと大量のオイルパスタで、食べた直後に胃腸が素早く反応して、使い物にならなくなりました。(胃腸炎なのにそんな脂っこいものをいきなり食べるのが悪いに決まってる。)

突然ですがフィンランドといえば、皆さんは何を思い浮かべますか?

ムーミン、リアルサンタクロース、オーロラ。。。
たくさんのアイコンが思い浮かぶかと思いますが、その中でも教育を挙げる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
(ちなみに僕は、国民幸福度世界一を思い浮かべました。)

前回、フィンランドのアントレプレナーシップの概況を中心に起業家マインドについて触れました。

今回は、その起業家マインドを醸成する上で、欠かせない教育についての学びについて少し触れていきたいと思っています。


1. フィンランドの教育は無料!

参考記事として、こちらをご覧ください。


現在は、フィンランド国籍の方は無料ですが、それ以外の留学生は費用負担があります。フィンランドは税金が高い国ですが、学費を税金で賄っている。国外から来た人にその税金を使うのは違うよねと言う論調があり、留学生は費用負担あり。(オウル大学の大学院の1年間の学費は私の知り合いは140万円程度で滞在費用を考えるとやっぱり高い)

国民としては学び直しが無料なので、日本の大学院のように若い人ばかりの状態ではなく、30代、40代も当然同じクラスにいる状況です。大人のリカレント教育が当たり前のように行われ、好きなことを仕事にするための学びを深めているのがフィンランドの教育です。

少し脱線しますが、これがあることによって、これまで積み上げてきた学びを捨てやすい状況で、キャリアの観点でも何かに固執したりすることがなく、新しいところに気軽にスイッチできることも良いことかなと思っています。日本では捨てられない人が多い気がして、フィンランドではすぐ学び直しできるのはこう言うところが大きいのかなと。
(個人のキャリアと組織のあり方としてとても興味深い切り口かなと思います。)

まあ、とにかく無料なのです。これって日本では考えられない状況ですよね。

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(お話を聞いた先生方)

2. 2016年からのカリキュラム変更(時間割がすごい)

2016年から新カリキュラムがスタートしています。
基本的に国としてはビックピクチャーを先生方を中心として描き、それを教育省が第三者機関としてレビューして出来上がる教育方針となっており、先生方はそれを学び、どうやったら子どもたちの学びが加速されるかを自分たちで考えていきます。

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(カリキュラムの基本構成)

そもそものベースの教育の考え方として「なぜやるか」「何をするか(最低限)」は、大方針として打ち出されます。
その中で「具体的に何をするか」「どうやるか」については、個々の先生に完全に権限移譲されており、親も子どもも先生のやり方を信じています。(街中に全くと言っていいほど塾を見かけないし、授業参観もないです。)

また、これまでは先生一人と子どもたちという関係性でしたが、先生たちもチームワークを非常に大切にする教育方針になり、学びの提供スタイルも変わってきました。

教育方針は以下の通り。
全ての子どもに可能性がある。何か得意なことを持っているからそれを見つけ、生かそう。
チームワークを大切にしよう。
・一緒にみんなでやれば、もっとできることは増える。(行政や企業とのコラボレーション)」

この考え方で作られている時間割は、午前2時間ぶっ続け、30分休憩、午後2時間ぶっ続け、30分休憩と言う形で、短くかつ、興味関心に合わせたものになっています。

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(1日の授業の流れ)

3. 成績は絶対評価、個人の成長を可視化する形

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(個人の成長に寄り添った教育をする価値)

日本と全然違うところは、いわゆる偏差値とか順位が一切ないということです。

「あなたはどうしたいの?」「あなたは何がやりたいの?」からスタートし、やりたいことを支援し、子どもたちが実施していく中で、できるようになったことを評価していきます。

また、親と子どもとの三者面談では、以前に比べてどのように成長したのかを伝え、これからどう言うところを伸ばそうとしているのか。そして、どんな強みがあると感じているのか。家庭で実施してもらいたいことを率直にフィードバックするような仕組みになっています。

入試などはどうしているかを聞いたところ、自分がやっている取り組みを学校に伝えた上で、合否の判定が出るが、落ちても気にしないと言う感じ。失敗のようなものをあまり失敗だと捉えていないかつ、それを踏まえて自分が次は何をしたら良いかを考える習慣がありそうです。

また、答えを持っていない子どもへの接し方についても聞いたところ、待つこと、それから同じ生徒同士で話をしたりして、目指したいモデルケースや、先行事例から考え方を学ぶようなスタイルになっているようです。


4. フィンランドの起業家教育の現状

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(起業家教育システムの全体像を教えていただきました。)

カリキュラム全体の20%を起業家教育に充てています。Me and My city や、Circulaというゲームを活用した授業を行ったりしています。 や、Circulaというゲームを活用した授業を行ったりしています。

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(Circulaの開発や教育効果のレポート、プロジェクトの効果検証をしている方にお越しいただきました)

また、模倣を禁じ、ゼロから立ち上げて、実際にお金を稼ぐところまでやってみる経験をさせることを意識していて、失敗を許容する。間違うことが次につながる大事なことであること。

また、実際に自分たちがやろうとしていることを大人にプレゼンして、フィードバックをもらったり、その領域でプレイヤーとして活動されている方にヒアリングをしたりなどなど、ものすごく実践的な教育(タイモブ っぽいと勝手に感じました)を展開しています。

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(お話を伺った先生の学校での実践教育の様子)

5. フィンランドでは、先生も生徒からたくさん学ぶ

実践的な教育機会を提供していくにあたり、大切にしているのは生徒を信じること。そして、自由にやらせること

日本でもプログラミング教育がスタートするタイミングだったり、探究学習の時間がスタートして、心配されている先生方もいらっしゃるかと思います。
フィンランドの先生と実際にお話しすると、「コンピューターやデザインのことは、むしろ子どもに先生をやってもらうよ」というくらい、生徒を信じて、先生自身も一緒に学ぶ姿勢を持っていて、とても素晴らしいと感じました。

6. 教えるは先生ではない、先生はコーチング兼ファシリテーター

生徒から学ぶことからもわかるように、あまり教えることを目的としていないです。

大学の教師を養成するカリキュラムでも、ティーチングについてはあまり語られず、コーチングスキルや、ファシリテーションスキル

学びをサポートすることの意味や価値を自分自身が納得して理解して、子どもたちに提供できるようになっています。

次回は、教育の中でもどんな具体的な事例があるのか。

お伺いしたお話をまとめてお知らせします。お楽しみに。

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【1st Entrepreneur camp】世界No1教育大国フィンランドで起業家マインドを発展させる7日間

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