【2021最新版】中国特許事務所Top10
最近は、特許データベースも使い勝手がよくなりましたので、
事務所ランキングとかも簡単に出せるようになりました。
中国特許事務所ランキングを調べてみましょう。
1,2021年現在のランキング
単純に興味本位で、
2021年3月3日現在、
中国特許事務所Top10を調べてみたので、ここで発表します。
・こちらのデータは、patsnapで調べました。
・検索対象は、2020/01/01~2021/03/03の間に公開された中国発明専利です。(日本の特許に相当)
それでは、見てみましょう。
今現在、中国公開特許代理件数Top10の事務所は、以下の通り。
No1:北京集佳知识产权代理有限公司 31,149---Unitalen
No2:广州三环专利商标代理有限公司 18,684---Scihead
No3:北京品源专利代理有限公司 16,806
No4:北京三友知识产权代理有限公司 13,908
No5:中国专利代理(香港)有限公司 13,483
No6:广州华进联合专利商标代理有限公司 12,834
No7:中科专利商标代理有限责任公司 11,800
No8:北京市柳沈律师事务所 11,608
No9:北京康信知识产权代理有限责任公司 11,559
No10:北京超凡宏宇专利代理事务所(特殊普通合伙) 11,407
2020年1月1日から本日までの1年3ヶ月の間、
中国では、トータル180万件ぐらいの特許が公開されています。
そのうち、
一番多く代理した事務所が31000件ぐらい、
10番目に多く代理した事務所が11000件ぐらいです。
知財ラボの調べによると、
日本のNo.1事務所は、去年、11000件ぐらいやっているので、中国のNo.10と件数的には同じレベルです。
2,Top1,2の事務所詳細分析
それでは、中国で一番多く出したTop1,2の事務所を詳細に見ましょう。
No1:北京集佳知识产权代理有限公司 31,149---Unitalen
No2:广州三环专利商标代理有限公司 18,684---Scihead
一番多く出している事務所は、集佳、英語でUnitalenと言う事務所です。分かり易く言うと、Unitalenは、日本の志賀みたいなところです。
Unitalenは、元々Huaweiなどの中国国内企業をメインにしていた事務所で、私が来日した2007前後から日本からの外内案件も積極的に開拓し始めた事務所です。
最近は、外内案件の開拓も成功している事務所で、日本にもブランチを持っている事務所です。
今現在、Unitalenが代理している日本企業をみると、
ソニー、トヨタ、村田製作所、デンソー、富士通、三菱電機など、
超大手企業と全部繋がっています。
多分、上記企業の案件を担当している日本の大手事務所の方であれば、多少Unitalenと言う中国特許事務所の名前を聞いたことがあるんでしょう。
中国特許庁で調べてみると、
今現在、Unitalen所属の中国弁理士は263名です。
次に、2番目に多く出している事務所をみましょう。
こちらは、広州三環、Sciheadと言う事務所です。
この事務所もUnitalenと同じく、Huaweiなどの国内企業をメインにしている事務所です。
ただし、Unitalenと違うのは、Sciheadは、今だにも、ほとんど国内企業しかやってない事務所です。
Sciheadが代理しているTop10の企業は下記の通り。
No1:腾讯科技(深圳)有限公司 1,353---Tencent
No2:华为技术有限公司 910---HUAWEI
No3:浙江吉利控股集团有限公司 784---Geely
No4:南方电网科学研究院有限责任公司 392---China Southern Power Grid
No5:OPPO广东移动通信有限公司 351---OPPO
No6:中船黄埔文冲船舶有限公司 259
No7:中国科学院上海微系统与信息技术研究所 237
No8:广州大学 222
No9:中国南方电网有限责任公司 218
No10:深圳市大疆创新科技有限公司 210
Sciheadのメインクライアントは、Tencent,HUAWEI,Geely,OPPOなどの中国企業です。
Tencentは、日本のLINEみたいなもの(Wechat)を作っている中国IT会社。
Geelyは、日本のTOYOTAみたいな中国自動車メーカー。
OPPOは、アメリカのAppleみたいな中国スマホメーカー。
今現在、Scihead所属の中国弁理士は157名です。
この事務所は、私が来日する前に(2005年~2007年)務めていたところで、広東省と言う地方に本社を構えている特許事務所です。
本社所在地が地方なので、日本で言えば、広島にある特許事務所みたいな感じです。
私が勤務してしていた2006年ごろ、SciheadとUnitalenは、両方ともHUAWEIの案件を代理していて、両方とも日本の知財業界には知られてない、中国ローカルの特許事務所でした。
ただし、Unitalenは北京の特許事務所で、人材の確保もしやすかったので、10何年経った今現在は、外内案件もいっぱいやっています。
3,日本向けに強い中国特許事務所
No4,5,7,8の事務所は、
日本からの外内案件もいっぱいやっている特許事務所です。
No4:北京三友---北京サンユー(Sanyou)
No5:中国专利代理(香港)---CPA
No7:中科专利---中科(CSPTAL)
No8:北京柳沈---北京リューセン(Liu Shen)
多分、日本の知財関係者も耳にしたことのある特許事務所でしょう。
こちらの4社は何れも老舗的な特許事務所です。
これらの事務所は、多分、日本にもブランチを持っているはずで、
日本のお客様らは、日本語で彼らの日本サイドの担当者とやり取りできると思います。
これ以外に、良く日本で知られている、
リンダー(Linda)、チャイナ信達(China Sinda)、キングアンドウッド(KING&WOOD)、上海専利、CCPITなどの特許事務所は、中国全体のランキングでは後ろのほうになります。
4,15年前のランキング
それでは、15年前のランキングはどうだったんでしょうか?
過去15年間、中国の特許事務所はどう変わったか、みてみましょう。
2007/01/01以前の中国公開特許に絞って、
特許事務所ランキングを出すと、下記の通り。
No1:中国专利代理(香港)有限公司 127,234---CPA
No2:中国国际贸易促进委员会专利商标事务所 100,374---CCPIT
No3:北京市柳沈律师事务所 34,523---Liu Shen
No4:上海专利商标事务所 31,739---上海専利
No5:中科专利商标代理有限责任公司 28,373---CSPTAL
No6:永新专利商标代理有限公司 27,531---永新
No7:中原信达知识产权代理有限责任公司 24,658---China Sinda
No8:中国国际贸易促进委员会专利代理部 16,942---CCPITの別名義
No9:柳沈知识产权律师事务所 15,428---Liu Shenの別名義
No10:中国专利代理有限公司 13,935---CPAの別名義
No.1,2は、CPAとCCPIT。代理件数も3番目の事務所に比べ遥かに多いです。
12万7千件と、10万件。
因みに、3番目は3万4千件。
実は、CCPITが大元で、こちらは国有企業です。CPAは半分民間企業。3番目のLiu Shenは、CCPITとCPA両方の創業者でもあった、柳谷書先生が起ち上げた事務所です。
因みに、柳谷書先生の息子は、中国のパソコンメーカーであるLenovo(聯想集団)創業者の柳傳志です。
2007年時点での中国特許事務所Top5は以下の通り。
・CPA
・CCPIT
・Liu Shen
・上海専利
・CSPTAL
日本の企業に良く知られている中国の特許事務所ばっかり。
しかも、上海専利以外は、全て北京の特許事務所。
2007年時点での中国Top10の特許事務所は、全て日本企業の案件をメインにしている事務所でした。
これらの事務所、過去15年間、あんまり規模は大きくなっていません。
中国全体でみた場合のランキングは下がっています。
ある意味、日本に強い事務所は、中国国内では過去15年間、影響力が下がっている感じです。
5,堅調な事務所の顧客分析
日本に強い事務所で、外内をメインにやっている事務所は、ほぼ全部ランキングが下がっていますが、1つだけ異例な事務所があります。
北京サンユー(Sanyou)さんです。
この事務所は、日本に強い事務所で、今現在、中国全体のランキングでも堅調にNo.4に残っています。
なぜ、北京サンユー(Sanyou)さんはこれが出来たか、この事務所の顧客ランキングを調べてみました。
No1:中国银行股份有限公司 902
No2:中国工商银行股份有限公司 781
No3:中国石油天然气股份有限公司 637
No4:LG电子株式会社 522
No5:三菱电机株式会社 485
No6:中国石油天然气集团有限公司 446
No7:中国建设银行股份有限公司 412
No8:中国石油大学(北京) 399
No9:日本电产株式会社 393
No10:建信金融科技有限责任公司 322
今現在、この事務所が代理している企業のTop10を見ると、
中国国内企業7社入っています。
No.4のLGが韓国企業。
No.5の三菱電機とNo9の日本電産が日系企業。
それ以外の7社はすべて中国国内企業です。
6,まとめ
中国の特許事務所は、昔外内しかやっていなかったところでも、最近は、多少国内企業をやるようになっています。
そのように、外内→内内へのシフトが上手くできた事務所が生き残れます。
また、中国のPCT出願件数も、去年の時点で年間7万件を超えているので、これからは、中国特許事務所の内外案件も増えていくと思います。
日本の特許事務所の経営者としては、いままでの通り、ギブだけ考えるのではなく、ギブ・アンド・テイクができる中国の特許事務所と付き合ったほうが宜しいかと思います。
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