アンセルモ

高台の建築を訪ねる 目黒

陽気の良い秋空の下、休日に目黒エリアを散策した。

目黒駅から近くにある教会へ、そして白金方面に歩いて東京都庭園美術館を訪れるルートを歩く。

聖アンセルモ教会 1954年
打ちっ放し鉄筋コンクリートが目を引くカトリック教会

外観からは想像できないような力強さを持った内装、だけど訪れる人を圧倒するわけじゃない、静かなやさしさがある。
左右の小窓からは外を眺めることはできない。この窓は祭壇に光が射すような作りになっていて、採光の表現のおかげかドラマチックな空間が広がっていた。

ステンドグラスとパイプオルガン
長方形の形をした教会というのはなかなか珍しいんじゃないかな。左右の小窓、なんだかMac Bookのベンチレーションみたいだ。

2枚の写真のどちらにも2階部分の手すりが映っているけれど、この形がなんとも気に入った。こういう所まで全部鉄筋コンクリートになっていて、一体感がある。正方形と長方形が規則的に並んでいるのも何ともかっこいい。戦後10年も経たずにこんな教会が東京に作られていたんだ。

この教会と並んで音羽にある関口教会の魅力が語られる事がある。日本建築界の巨匠、丹下健三による作品だ。この教会の雰囲気が気に入ったなら是非訪れてほしい。

教会の外にある掲示板には、ローマ法王が11月に日本を訪れるという事でポスターが張り出されていた。東京・広島・長崎を回るという。

東京都庭園美術館
旧朝香宮邸として1933年に建てられた。戦前の昭和モダンを感じさせるアール・デコ様式。

企画展示、「アジアへのイメージ」が素晴らしかった。
近代に入ると、日本は中国大陸へ発掘調査を行うようになる。20世紀以降、ヨーロッパが東洋文化に強く惹かれ芸術や建築の中にオリエンタルな要素を取り入れていくように、日本もまた明治の西洋化一辺倒の流れの先に、東洋とは何かを模索し始めた。そして中国で出土した精巧な青銅器に関心を持ち、日本人芸術家たちはそれぞれのスタイルでオマージュ作品を作り出していく。
美術館が持つアール・デコ建築の魅力と相まって空間的にも当時の美術史を概観できるような贅沢な展示になっていた。

最もらしい事を書いているけど、行こうという話になったきっかけはこのポスターのキョロちゃんのようなポップな置物に惹かれたから笑。展示を見てこれは香炉だという事が分かった。くちばしの部分に穴が開いているけどそこからモクモクと煙が上がるのを想像するとなんだかシュールだ。

ルネ・ラリックが手掛けたガラス作品と内装

内装のシャンデリアなどガラス作品はフランスの工芸家、ルネ・ラリックが手掛けている。なんとも贅沢だ。
他にもシンプルな外観とは打って変わって、アール・デコの魅力が散りばめられた内装はどれも印象深いものばかりだった。残念だったのは、企画展示中は館内撮影NGだということ。
だけど20年春には建築に特化したツアーが組まれるそうで、その期間であればすべて撮影OK!そして屋上テラスにも上がれるそうだ。
魅力を知ってしまったからには是非この期間にもう一度足を運びたい。


目黒や白金と言えば高級住宅街というイメージだが、江戸時代は大名屋敷だった場所に近代からは皇族たちの邸宅が立ち並ぶ。代官山の方にかけて洋館ベルト地帯と呼んだりもするそうだ。この日はあたたかい日差しが指していて、園内の広場でも親子連れがピクニックを楽しんでいた。優雅な方々はいつの時代も日当たりの良い高台に居を構えるらしい。

#東京 #目黒 #建築 #歴史


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?