見出し画像

本田すのうはいかにして世を渡ってきたか【創作大賞感想】

なんですかこのタイトルは。


本田すのうさんと知り合って間もない頃、確かこの記事はトップに固定されていたんではないかと思う。
まだお互いに全然やり取りをしていなくて、人柄もよく分からなかった時期のことだ。
構想7ヶ月、と謳われていた気がする(7ヶ月じゃなかったらごめん。トップ固定でもなかったらごめん)。

すご。大作じゃん。タイトル意味分からんけど。

そう思いながらタップした。
わたしはここだけの話、ドライヤーやアイロン、歯磨きなど朝の身支度の合間に記事を読むことが多い。
だから、今回のゴリラもそのつもりで読み始めたのだけど……

お? おお?
なんだこれ、ちゃんと腰を据えて読まないともったいなくないか。

そう思い、帰宅後に「よし、読むぞ」ときちんと読む気持ちを作って挑んだ。

これは本田すのうその人の性分の観点から語られる自伝である。
その時々で彼女がリーダーと認めてきたシルバーバックゴリラ(稀に偽物バックもいる)との思い出を通して、彼女の人生が語られる。
本田すのう初心者のわたしにとって、とても良い教本になった。
そしてわたしはおのれがオランウータン的性分であることを知った。

下についていたい、という気持ちは分からなくもない。
わたしは職場においては、年齢的に中堅と呼ばれる層に頼んでもいないのに分類されるようになってしまった。
必然的に、マネジメントっぽい仕事が発生する。
職務的に、担任している子ども以外の子の教育相談も発生する。
自分はそんな器じゃないと思っている。誰かがやってくれるならありがたい。
わたしはその程度の「下についていたい」具合だ。
つまり、めんどくせぇのだ。他人の面倒を見たり、見られたりするのが。

しかし、すのうゴリラの「下についていたい」願望は堂に入っている。
「尊敬できるリーダーの下でぬくぬくしたい」とその願望を隠すことなく語る。
三つ子の魂百までとはよく言ったもの。
生まれ順によって気質が違うのだとすれば、すのうさんの末っ子気質は、3人の子どもをワンオペで育てながら、時には1ヶ月ぶっ通しで野球をするような母になっても健在である。


たぶん、シルバーバックではないゴリラは
「自分のことはシルバーバックに決めてもらいたい。決めてもらわないにせよ、何かしらのシルバーバック的アドバイスが欲しい」
のだと思う。
でも、社会ってそうじゃないから。
不可解なことに、年齢が上がるにつれ特性や性分に関係なく、後進に何かしらの気付きや教えを施すよう求められる。
知らんがな。

どんな場所で生きていくにせよ、圧倒的に多数なのはサル山軍勢である。
オランウータンは別にいいのだ。人のことなんて気にしちゃいないんだから。
ただ、ヒエラルキーの概念がそもそもサルとは違うゴリラにとってはさぞ生きにくい世の中だろう。
それは多分、横並びゴリラだけでなく、シルバーバックゴリラにとってもそうなのだろうなと思う。
サル山軍勢からは、「なぁに、あのシルバーバック。似たようなゴリラばっかり集めて、偉そうに」なんて陰口を叩かれているのかもしれない。

このエッセイは、以下のような文章で締めくくられている。

私は、これからもゴリラとして生きる。
来世はサル(普通の人間)に生まれますようにと祈りながら。

ゴリラ女子サル山に生きる より

……別に、サルにならなくてもいいんじゃないです?
文章書いたり絵描いたりなんか作って自分を表現してるのって、大体がサルじゃないと思うんですよ。
文章、書きたいじゃないですか。
なんか作りたいじゃないですか。
サルなら自分を表現したいとは思わないんじゃないんですか。
群れの中で自己主張したところで、叩かれるのがオチですからね。

創作やめますか、サル以外やめますか。

そう言われている気がします。
だから、すのうさんはゴリラが嫌なら、次はオランウータン、いいと思います。




#創作大賞感想