見出し画像

連載100回達成! 特別企画☆ゆう☓御坊対談【後篇】「辞める、辞めへん」の話をしてきたけど

2019年1月にスタートしたnote「レズ風俗キャストゆう、気づけば10年やってます」が、なんと連載100回目を達成しました!!! それを記念して、

特別篇「ゆう☓レズっ娘グループ代表・御坊」対談シリーズ vol.2

をお届けします。ふたりが常に考えているのは、お店全体のこと、お客様のこと。代表、キャストそれぞれの立場から考える、理想の関係性とは?

前篇「10年早いといわれた世界で」は▶こちらから

(構成:三浦ゆえ)

画像1

ゆう:御坊さんって、えこひいきを絶対しないですよね。売上がいい子にだけやさしいとか。

御坊:僕、それだけは絶対しぃひんよ。「まだいけるやろ~」って発破をかけることはあるけど。

ゆう:それは本人が満足しきらないようにですよね。そのキャストに合った言い方っていうのをしてるんやと思います。伸び悩んでいるけど意欲が見えるキャストにアドバイスしていることもあるし。基本的に全員がちゃんと働いて、自分の夢なりなんなり叶える方向に行ってほしい、って思ってるんだろうなぁって感じるんで、みんな気持ちよく働けるんじゃないかと。だから新型コロナの感染拡大以降、事務所でみんなと顔を合わせる機会が減っているのが残念ですね。

御坊:でも悪いことばかりじゃなくて、コロナ禍を機に僕は立ち止まって自分や店を見つめなおすことができた。やり方を変えていかな、あかんなと。

ゆう:いろんなプランを考え出したり。

御坊:僕個人としては、これまでメール対応を全部自分ひとりでしてたのを、スタッフさんに任せるようになった。それで僕の手があくし時間もできたから、そのぶんお店全体のことを考えられるようになりましたね。

ゆう:レズっ娘クラブを起ち上げたときからずっとひとりで全部やっていたし、これまで何度か人に裏切られたりといったこともあったけど……いまはもう人に任せるの平気?

御坊:信用することが怖くなくなりましたね。お店を大きくしたいなら、「いったん任せてみよう」っていうのは避けては通れない道。自分だけ儲かってもしゃーない。いかにみんなで稼げるかっていうことを考えたとき、人を信用して任せたほうがいいなって判断できるようになりました。

画像2

御坊:僕から見ると、ゆうさんを指名されるお客様って、ほんとみなさんいい方ばかり。問題やトラブルがほとんどない。

ゆう:私も、本当にいいお客様に恵まれてるなぁって心から思ってますよ。

御坊:お客さまってキャスト本人と似てきぃへん? 性格が似てきて、それが利用のされ方にも反映される感じ。これまでにトラブルが多いキャストもおったけど、そのお客様にはトラブルメーカーの方がちらほら……。キャストたちにもさんざん伝えつづけてきて、最近はそういうこともほとんどなりましたけどね。

ゆう:ふたりで長い時間を過ごすと、お互いに何かを吸収し合うんですよ。考え方が全部一致するということはないけど、ある程度、価値観を共有できる人じゃないと一緒にいつづけるのは無理かなって。私たちキャストも、お客様から影響を受けていることがいっぱいあります。

御坊:ゆうさんのお客様は“箱推し”というか、お店全体を応援してくれる方が多いね。

ゆう:うん、それもわかりますね。このお仕事のイメージというと基本的には稼ぎたいっていうのが第一だと思うんですが、私はそこを飛び越えて、お金だけじゃない部分で働いてるところが大いにあるんですね。お客様も、ビアンコースで気持ちよくなってリフレッシュして、はい終わりではなく、この体験を自身の人生や生活に取り入れていこうという感覚でもって利用されているなと感じます。そこには私のことを、ひいてはお店のことを支えたい、応援したいという気持ちを感じるんですよね。

御坊:勤続12年ともなると、お客様の層の厚みみたいなものもあるしね。でもまぁその間、僕とゆうさんの飲んだお酒の量もなかなか!(笑)

ゆう:なかなかですよね〜。どういうときに飲みにいくかというと、プライベートの相談をしたいときもありますが、「辞める、辞めへん」の話をするときが多かったかなぁ。私はけっこう、あかんわと思うことがあったらすぐ「辞めます」ってなるんですよね。そこで御坊さんが、「ちょっと待ちいな」「よお考えよか」っていって飲みにいく。

御坊:ほんまそういうキャスト多いわ~、「ちょっと待ちい」と(笑)。いや、僕も片っ端から止めたいわけじゃなくて、辞める理由の根っこのところを知りたいんよね。プライベートの領域の話ではあるけど、結局はそれで辞めようって思ってるんなら、お店全体にも関わってくる話やから。

ゆう:私たち、酒を飲みながらでもまじめな話ができますからね。

画像3

ゆう:キャストって、ほかのキャストにもスタッフさんにもプライベートなことは相談しにくいんですよ。もちろん、お客様にもいえない。家族や友だちに黙ってこの仕事をしていることも多いから、そこでも話せない。でもキャストだって普通の人間で、リアルに悩んでたり迷ったりすることがあるんです。

御坊:ほんまにね。たとえば辞める理由が「彼女ができました」だったら、それは祝福もするけど、でもほんまにその彼女のことだけで辞めて後悔せぇへん? お金貯めてやりたいことがあるっていってたけど、それはどうすんの? 恋愛のためだけに生きて、自分で決めた道をあきらめてえぇの? って。もちろん本人が決めたことは尊重するけど、ほんまに冷静な判断かどうかは確認しときたいです。そうしてちゃんと気持ちを聞かせてもらっておいたら、しばらく経ってそのキャストが「もう一度働きたい」ってなったときも、言ってきやすいやろうしね。出戻りはしやすい環境にしてます。解雇されたキャストはだめですよ、もちろん。

ゆう:私も実は、出戻りなんですよね。で、気づけばトータルで12年。やっぱり私にとってもお店にとっても大きな転機は、永田カビさんの『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(2016年、イースト・プレス)ですね。

御坊:その前に、「監督」の存在も大きかったなぁ。レズ鑑賞クラブティアラのレズ鑑賞のお客様なんやけど、「監督」としてキャストの指導に当たってくれた(笑)。鑑賞コースブームがきたし、キャストの意識が変わった気がする。ゆう:ですね! 技術のレベルもあがりました。その監督がいなくなって、「告白される率No.1」の伝説的キャスト・あいなちゃんが辞めて、どうしようか……ってなってたところに『さびレズ』やってん。

ゆう:あの年はすごかったですね、いろんなことがあった。一度落ちて、その後はお店全体が上り調子だったなぁ。

画像4

御坊:そんなこんながあって、いまはレズ風俗っていうのがもう世の中で当たり前のように存在しているってなりつつあると感じます。「レズ風俗なんてあるの!?」っていう声はあんまり聞かなくなりましたね。

ゆう:今後もよろしくお願いしますよ! 同志として。

御坊:まぁ僕らは似た者同士なところあるから(笑)。

ゆう:ありますね~。こだわりが強いところとか、安売りしないところか。それってお店にとってもすごくいいことだと思うんです。あと、職人気質、理詰めだなっていうところも似ている。だから、御坊さんからうまく生きていくためのヒントみたいなものをもらうことはちょくちょくありますね。あと同じものをずーっと使うところも似てる。

御坊:なにそれ!?

ゆう:私がお店に入ったばかりのころ、御坊さんいつも同じボロボロの靴を履いてはって……。

御坊:あのころはほんにお金がなかったから!

ゆう:で、やっと買い替えたと思ったら、また同じ靴(笑)。わかるわ~って思って。私は物欲がなくて、お客様にお逢いする仕事やから身なりはきちんとしようって服は買うけど、それぐらい。モノを捨てることにも躊躇がないんです。いただいたプレゼントなどは大切にしますけど、それ以外には本当に執着がなくて。だからモノを買うときも同じものをいくつも買うんです。

御坊:僕、このユニクロのズボン、同じやつを何本も持ってるで。

ゆう:私もGUのスキニーが10本ぐらいある!(笑)

御坊:そんなところが似とっても……。

ゆう:いやいや、大事だと思いますよ。だから、これからもよろしくお願いしますね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?