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100回目前! 特別企画☆ゆう☓御坊対談【前篇】10年早いといわれた世界で

2019年1月にスタートしたnote「レズ風俗キャストゆう、気づけば10年やってます」が、連載100回目を目前としています。それを記念して

特別篇「ゆう☓レズっ娘グループ代表・御坊」対談【前篇】

をお届けします。12年も一緒に働いてきて、もはや同志。日本のレズ風俗の歴史も知るふたりが、ここまでたどってきた道のりとは……?
(構成:三浦ゆえ)

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御坊:僕がはじめてゆうさんを見たときのイメージは、「金髪」。

ゆう:そう、面接用の写真を送ったとき、金髪だったんですよね。マシュルームカットで、もう白金に近いぐらいの明るい金髪! でも、それで落とされてしまって……。

御坊:レズっ娘グループは当時から、清楚系で路線ですので(笑)。

ゆう:ほんとに!?

御坊:いやいや、派手系の子もいましたけどね(笑)。

ゆう:でもそのときに募集していたのは清楚系のキャストってことだったんですよね。金髪の私はそれには合っていなかった……ので、1カ月後くらいにもう一度、写真で応募しました。

御坊:まったく同じ金髪でね! やる気は感じられましたよ(笑)。書類や面接で一度落としてもその後採用することはたまにありますが……今後応募してくれる人は、再トライのときはせめて髪型をちょっとくらいアレンジしてイメージチェンジするとかしてほしいなぁ。

ゆう:面接のとき、御坊さんはスーツでしたよね。いかにも風俗店で働いている人や! って思いました。面接だからスーツだったんですか?

御坊:当時は、仕事のときは基本スーツでしたね。でもほかの同業の社長さんたち、誰もスーツ着てなくて。だからハーフパンツでビーチサンダルで仕事するようになったんですが、それもやりすぎやってツッコまれました。現在は、その中間くらいの服装で(笑)。

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ゆう:面接は緊張しましたね~。当時の事務所は風俗店が多い地域にあって、あまり足を踏み入れたことがなかったし、建物もオフィスがあるとは思えないほどのボロアパートで。

御坊:ゲームの「龍が如く」みたいな感じのエリアで、アパートの5階だったんだけどエレベーターはなし。そのぐらい古い建物でした。でも勝手に屋上に出れたのはよかったなぁ。

ゆう:そうそう、HPに掲載するプロフィール写真を撮ろうにもオフィスが狭いわ暗いわで、だったら屋上でってことになったんですが、結果的に自然光のなかできれいに撮れたんですよね。あのころは撮影も御坊さんがしていて……。

御坊:っていうか、僕ひとりしかおらんかったから。何から何まで、全部ひとりでやっとった。

ゆう:あれから10年以上経ってお店が大きくなったいまでは、想像しにくい話ですよね。でもレズ風俗というお仕事に10年単位でかかわることも、そこで出会った人と10年以上のおつき合いになることも、きっと簡単なことじゃない。御坊さんはそのころとくらべると、ほんま丸くなりましたよね。

御坊:体型のこと!?

ゆう:体型も……だけど(笑)、人間的に。もともとの性格は変わってないと思うんですが、昔はギラギラしてましたね、「おっしゃ、行くでー!!」みたいなヤンチャな感じがあった。落ち着いたのは、お店が大きくなって、そこの代表としてちゃんとせなあかんって思ったから?

御坊:人としての成長ですかね! っていうのは冗談にしても(笑)、当時は根拠のない自信でやってたんですよ。周りからは「10年早い」っていわれてたのに、レズ風俗で大成功できるってなぜか思っていました。でもそこから人に裏切られたり、イヤな思いをいっぱいしたりして、少しずつ考えがあらためられていった……。いまはいいキャストに恵まれてお客さまからも支持をいただいている。それが10年以上つづいてるんやから、もうへんにオラついて周りに自信あるように見せる必要もないな、って。

ゆう:レズっ娘グループには御坊さんがいる、っていうのはすごい強みだと思うんですよね。揺るがない、ついていったら間違いないなっていう安心感。

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ゆう:面白いのは、10年以上前の御坊さんは“レズビアン”というものには興味がなかったですよね。だからこそキャストやお客さまとも適度な距離感があったともいえますけど。

御坊:存在は知っていても、ちゃんと向き合ったり話したりっていう経験はなかったし、ひと口にレズビアンといってもいろんなタイプの人がいるとかは知らなかった。

ゆう:いろいろ言葉やカテゴリーを知っても、その人たちがどんな感じで生きているかはわからないですからね。でも御坊さん、実は一生懸命勉強していて……そういう姿勢が働く側の安心感につながるんですよね。

御坊:ゆうさんは、この12年間で頼りがいが出てきましたね。最初の1、2年はあんまりお店のことは考えてなかったと思う。いまは自分と自分のお客様だけでなく、お店全体のことを気にしてくれていると感じます。

ゆう:そうですね、つづけるうちに「ゆう」が自分のなかで大きなウェイトを占めるようになっていったというか、生活にも入り込んで、仕事として考えられるようになっていきましたね。

御坊:みんな最初は、けっこうフワフワした状態で入ってくるんよね(笑)。

ゆう:私も当初はいつ辞めるかわからないような感じで、フワフワしてましたね〜。御坊さんから見たら、つづくかどうかわからんわって感じだったと思います。

御坊:それがいまは、何かあるとゆうさんに電話するようになって。

ゆう:こういうことってある? どうしたらいいやろ? って、電話ね。

御坊:長くこのお店を知っているキャストだから聞けるし、理解してもらえるんやと思っています。それが僕のスタイルかもしれない。わからないことは、聞く。だからギラギラせんようになった。キャストらにもよく「自己判断、自己解決はしないで」といってるんですよ。特にお金のこととか。

ゆう:私が働きはじめたころよりプランも増えたし、細かくなってるから、はっきりいうとキャスト自身も計算するのむずかしいし、スタッフさんもむずかしそう!

御坊:僕しかわかってなかったりして(笑)。

ゆう:積極的なお客様から「アレもしていい?」「こういうことを追加できる?」ってルールに書いていないことを訊かれて、キャストも困ってしまう。でもそこでルールに書いてないからとキャスト個人で判断するのは危険なんですよね。だから常に連絡できる体制をとってる。

御坊:「何かあったら相談してね」って口でいうのは簡単やけど、聞く側が「こんなこともわからないのかって怒られるんじゃ……」って思ったら、細かい相談ってできないと思うんですよ。だから普段からしゃべりやすい、アドバイスし合いやすい環境造りがいかに大事かって話しで。

ゆう:先輩キャストもスタッフさんもみんな答えてくれると思うけど、センシティブなことだったら御坊さんだけに伝えるとかもできますしね。

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御坊:ゆうさんには2018年からキャストだけでなく、新人講習もやってもらっているわけだけど、それもこの「相談しやすさ」を考えてのことですね。まず新人が入ってきたとき、講習は絶対必要やなって。いままではひとりひとりが試行錯誤していたけど、ゼロの状態からはじめるから苦労もする。僕は男やし、スタッフも現場にいるわけじゃないからわからないことが多い。だから現実にお客様をご案内してきた経験にもとづいて教えることのできる人材が必要で、それにはゆうさんしかおらへんなって。

ゆう:実際に、プレイの内容ではかなり細かい技術が求められるんですよ。ポイントを押さえとかないと、お客様に痛い思いやつらい思いをさせてしまうかもしれない……それってキャストにとっても不幸なことだから。私は自分が体得してきた技術を秘密にしておこうって思ったことはないので、まずはそれを伝える。あとは個々に考えたりアレンジしたりして、自分のものにしてもらったらいいな、っていう考えです。

御坊:現場監督ですよ。あと、入店したばかりのときにいろいろ教えてくれた人になら、その後も何かと相談しやすいんやないかと思ってね。

ゆう:私も普段から意識して、事務所で「何かあったら相談してね」っていう雰囲気を出しているし、誰かがそうしているとほかの先輩キャストにも聞きやすくなるんじゃないかなって思います。でも私ががんばらなくても、レズっ娘グループのキャストは本当に「みんなで高まっていこう」って感じがすごい! お互いにアドバイスし合っているし、足を引っ張り合うなんてこともぜんぜんない。これって、御坊さんが面接のときに見極めてる?

御坊:これまでの経験上、自信過剰だったり承認欲求や自己顕示欲が強いなぁって感じたりする人は採用しないですね。どんなに容姿がよくても。ウチを利用していただいているお客様は、見た目だけを求めてないと思うし。

【後篇】「辞める、辞めへん」の話をしてきたけど につづきます。

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