いつか資源ゴミになる・改
2016年に発表した自由律俳句集『いつか資源ゴミになる』を改変してnoteに無料公開してみることにしました。全部で330句になり読みやすくなったと思います。一気に読もうとかしないでください。少なくなったと言ってもやっぱり多いです。それではどうぞ。
【いつか資源ゴミになる・改】
飽きたら寝てくださいよ
1-30
ツリーの星を奪い合う予定だった
「むずかしさを選んでね」の重圧
差し伸べられた手が汚い
お見舞いのフルーツに苦手なのがある
抜け殻に戻ろうとするセミ
キレイな石を持ち帰って邪魔
あきらめた電車がまだ出ない
ごめんの顔が重すぎる
開けた虫かごにまだいる
僕の夢だからウソのディスコだ
なんとなく折った鶴が見てくる
一口もらって同じ味のかき氷
消火器の場所で膝を抱える
嫌いな奴が気さくで困る
エンドロールまで観る人を好きになる
四月始まりの日記が手招いている
ショックを隠し切れてしまう
冷たいスープに飽きる
ヒヤシンスと保健室で眠っている
これ着ろよ、虹の上は寒いぞ
新品の靴か、キックが痛い
最後までランドセルべらべら
ひとりの時はドジじゃない
ビニール袋に追い越される
悲という字、蝶みたいだ飛んでいけ
おまもりを学生カバンにつけかえている
鯉にエサをぶつける
小指だけで持とうとしたばかりに
置物の犬か
新聞紙のかぶとが捨てられている
31-60
一生分の「ほな」だったのか
髪に春を編み込んできた
このボール、手にラメがつくぞ
出鱈目なお経で虫を弔う
コントローラーで殴り合った仲
星か確かめる
ゴミ箱として使われているゴミ箱じゃない箱
お坊さんのは良い座布団
蝉の抜け殻を筆箱に入れて粉々
化粧室で通じない
クッキーの缶だったとその都度言う
蟻の巣だと思っていた穴が違った
いまかまだかいまか拍手
悪事をぬいぐるみに見られる
最後の一口で喋れなくなる
ピザをまわせる人に勝てそうにない
国旗じゃなかった
楽器じゃなかった
なぜこしあんを少なく買ってきたのか
何バチでもいいから追い払ってくれ
プールばかり行って青いクレヨンがない
死に際が花火に負ける
逃げ込んだ本屋が混んでいる
お経が終わるまで木目で遊ぶ
日に焼けたステージにヒーローだけ新しい
パレットからこぼれるほど白をくれた
カイロが熱いが僕も寒いという
君の隣は蕎麦の薬味が倍になる
足のツボだけ異様に詳しい
轢いたネコは死にたがっていたことにする
61-90
綿の雪も年々減っている
生簀の魚が会計を見ている
ビンゴだが黙っていよう
ゆぎだるま溶けるなと蟻を潰す手で
余った綿あめを紅茶に溶かしておしまい
いきなり髪をくくる反則
傘を置きっぱなしの校舎潰されている
商店街に入ってからが長い
本音を言わないなら枝豆は没収です
君が言うのなら美人な猫なんだろう
火傷の跡の話が被った
カーテンを洗った日で覚えていた
本当は念力で割った
君の怪獣はみんな関西弁だ
しどろもどろで伝えたのに夢
炭酸が苦手な人に手を引かれる
我流の蝶々結びのまま死んだ
ご神木に正拳突きしているけどいいのか
飼っている犬と同じ匂いがすると言われても
残雪も投げてくる
カバンはモーツアルトの下にまとめる
結び目がボンドで固められているならそう言え
切手が要るならこのアンケートはゴミだ
作法を間違えたのに叶えてくれた
昼食を決める役がパフェを見ている
コードで遊んでいて聞いてなかった
おとなしい子が花火を二本持ちしている
まだダンボールをテーブルにしているのか
トリックに犬を使って怒られている
葉っぱを栞にして汚してしまう
91-120
舌の短いアッカンベー
次曲げたら折れる
赤いバトンだけ二つあってテープで印
万能な温泉なんだな
BGMに乗らないように歩く
種が多すぎるスイカの画
塾の子がいたおかげで終わった
電車の中で封を切って惨事
羽目を外すと決めてきたのに
速達は右、速達は右だ
観てから言え。観ていたのか
ローマ字表記にしただけだ
美女が乗り越し精算している
許しを得たい、唐突に話す
攻撃してくる火だったか
呪い特集を見て呪いだらけの世界
能を最後まで観ないと負け
心の中で手裏剣投げる
ツリーに全部吊るされている
決勝だったのなら言え
両成敗ならお前も裁かれろ
ネギが苦手なことをまた忘れていた
先生がナスをボロクソに言う
痛んだ方を勧められた
待合室の匂いで患者になる
裂けた椅子に座って待つ
ケーキを潰しながら切り分けている
マジシャンも客も緊張している
戦前じゃなかった
カチッとするまでの「カチッ」はどこへ
121-150
蒸籠に1個
使える綿菓子の機械なのか
スパゲティーを1本硬いまま食べる
松葉杖を持ってケンケンで来た
この角度だけ出ないボールペン
この角度だけ出るボールペン
正しい発音して笑われる
奪い合っている海とは知らず
武器だから重いのだろう
思い出せていた顔も違った
改札を隔てる前に何とかならなかったのか
交換するほど持っていない
倒れていると思ったらギターを弾くのか
価格だけを知りたいのに
ワニを殴るゲームならできます
タイミングを計ったのにずらしてみる
IQテストが終わらない
写真を撮らずにいて悪いことをした気分
あのアリは助からない
犬だけが許された
頑丈だからぞんざいに扱われている
手帳の落書きで好きになる
嬉しそうに骨折の話
ああポプリか
また妖怪に怒られるのか
どこまで逃げないスズメだろう
やさしさを疑って泣く
一つだけ厚紙の歩
誕生日だから詳しい
半額!で商品がわからない
151-180
テープが少しあれば助かるのに
現在地が書いてない、おしまいだ
店の外で見たのがメニューにない
またマグネットが増えた
今から靴ひもを通すのか
手相なら専門家に見てもらうので
うちの牛乳と同じだ
予想と違う筋肉痛
こんなに心強かったか一万円札
わざとわからない言い方をした
全部当てたら飴
ヤギにどつかれる
色分けしすぎて意味がなくなる
何でもマイクにする
アリが速い
怒りながら棚を作っている
遺跡をネジでとめている
きりを良くしようとして死んだ
車輪の多すぎる電車が空を飛んでいる
傷つけたのに面白くなかった
死にかけの木だと教えられた
咲かない木だと教えられた
今年は実らないと教えられた
目を描き間違って全部似てない
こいのぼり死んでる
これで不作らしい
本は重いと知っていたがやはり重い
未来みたいなディスクトップにしている
そんな都合よくチケットが余る訳ない
文化財だと出た後に知る
181-210
皮にもクリームにも文句を言う
走れば間に合うのなら間に合わない
ほつれていくマフラーをして風がきつい
壊れかけの傘もありがたい
貰うべきドライアイスだったか
蜘蛛か否かが重要
結局吠えてしまった犬と目が合う
元気のない蚊と一夜を過ごす
タイルの規則を見つけて暇つぶし
夕焼けで読めない
虫の動きをするホコリ
タオルが臭い、ズボンで拭く
駐車で一喜一憂ドーナツ選びで一喜一憂
情けをかけたセーフで軽く揉める
くれないとわかって吠えだした
名前も知らない曲に急かされている
元に戻りそうに割れるなよ
君にはクマに見えていた雲に濡らされている
刺さらずに割れるタルト
浮き輪膨らまして満足している
そこまでよくばりなメニューじゃない
前会ったときもその新書だった
じっとフランベを見る
新しいフォルダ(7)に新しいフォルダ(4)
ぜんぜん刀をしまわない
弓のせいで見つかってしまった
スヌーズという響きがもう眠い
思っていた注射器じゃない
敵か味方かそろそろ言え
聞こえない校内放送が悪い
211-240
枝豆を捨てる器を取り皿にしていた
「ホの3」をなくして靴が取り出せない
好きな色がない場合はどうすれば
大浴場の気配が楽しい
どこ触ってもタレがつく
倒れた寿司がまた来た
布団を把握しきれずどこかが寒い
まだパフェが来ない
ピサの斜塔を支えられてない
風で飛んでいかないようにするやつも売っている
どの角度でも転ぶぬいぐるみ
毒が無いならその色はなんだ
鏡ごしの会釈
おもしろくなくてホッとする
どうせ振り返っても殺される
7本足の蜘蛛を外へ
目が割れているウルトラマン
毛糸のスタートどっかいった
県境でふざける
コンセントをこう素早く だめでした
また将棋で例えてくる
ナタデココか寒天かのギャンブル
すだれを割りながら巻く
落ち着くよと渡された飴が辛い
ケータイショップ以外燃える町
綿毛全てアスファルトに着陸
エルフ用の武器しか残ってない
マグネット版だから宇宙でも出来る
目が光ってムチャクチャダサい
約分しなくていいのか
241-270
さっきのが最後の花火だったらしパァァンッ
ししおどしは壊れていカコーンッ
講義抜け出して抜け出してまだ大学の敷地
忍者と待ち合わせて4倍探す
半透明の電話ボックス3つ分飛び越すイルカ
教材ビデオだから民族服着てる
自治会のお菓子のカルシウム過多
自動車ぐらいの大きさがまず恐い
浮かんだ種は死んでいる
手書きのプレートで決勝まで来た
カップめんの蓋が箸を投げ飛ばす
世界を救う少年が「新番組!」と言う
腰を掛けるのにちょうどいい高さのギザギザの岩
そんな小さな本を顔にのせて眠れるわけない
芋の黄色か
インテリアだから何も入ってない
それは第六感じゃなく臭い
BAD ENDが出たあとの人生かもしれない
スペアの取り方はまだ習ってない
もももももとチャーハン食べてる
死んでるっぽいセミから離れて座る
死んでるっぽいクラゲから離れて座る
ワクワクさんは真っ赤な赤ペンを使う
先生のジョークも聞かずあの子ばかり見て
小突いたらやわらかくてもう小突けない
鉛筆で奏でて怒られる
花火の時に使うバケツじゃない方だ
先にレンゲを助けろ
ゲームだから貯水タンク狙う
どうやっても茶碗蒸しがついてくる
271-300
さっきの出口からでも行けたんじゃないか
力士でも落語家でもないならなんだ
ヘルメットを置くスペースか
うたた寝みたいに弾いている
美味そうに焼けているがそこは食べられない
なぜ寝相を知っているんだ
早朝過ぎて噴水止まっている
凍らせば何でも殺せる
先の尖った紙飛行機は禁止になった
北極の温暖化みたいなバイキングのゼリー
まだ空を飛ぶ車はないと謝っている
暗闇で光りそうなたくあん
柄を迷路にされる動物
肉は美味と解説されている
間で美味しさを伝えてくる
田舎の雨戸難易度ハードモード
台詞がループするまで話すを選択する
ということは卵白は捨てられている
ということは卵白は捨てられていない
アニメだからギターで殴る
卑怯な虫だと紹介されている
スパートかけたあたりでメダルの準備
ダックスフンドにミカンのせる三が日
オカリナ吹き終わったら寝るんじゃないのか
深海みたいな色ばかり選んでよく落ち込んでいる
糸電話で喋ることがない
今の鳴き声は悪口かもしれない
空に浮く島の下側が痛そう
山ぐらいある妖怪なら先に言え
行きの電車で水筒は空になった
301-330
パスワードでふざけても誰にも言えない
ルビがあった地点まで戻る
化石が安い
今夜はご馳走だじゃなくて帰らせてくれ
マンガだから毒キノコすぐ焼いて喰う
RPGだから港町に海の要素しかない
人の顔に見えてきて思い出どころじゃない
イラストだから月が滅茶苦茶でかい
生きがいを聞かれるまで幸せだった
乳歯のっけるには急すぎる屋根
右端を上りすぎると谷底
12年前はどうやって龍を描いたのか
何かを煮て冷やしたやつが美味しい
こんなにエスカレーターに乗って雲に着くかもしれない
イルカの背は滑り落ちるからクジラの口の中にいる
最終回だから次回予告はみんなで良い顔をするだけ
カフェインが効かない体質の話が眠い
今度はガムの辛さで運転できない
蹴るからスリッパ飛んでいく
インク満タンのまま死んでいる
ぶらさがってほこりまみれの両手
水鉄砲の戦争をホースで一掃する
隣のクラスに良いホウキを借りに行く
洗面台の電気消さなきゃ消さ朝
ジョッキに全部突っ込んで持っていってもらう
樽に潰されたのに体が点滅するだけで済んでいる
前後編じゃないのに終わるのか 終わった
ジェンガみたいな大盛り
返してくれない手品かもしれない
撃ってきたヘアゴムを返しに行く
いつか資源ゴミになる・改(330句)
著者:木曜何某
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