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海外の大学に進学・学位を取得したいなら。留学先を選ぶ4つのステップ

ここでは3年、もしくは4年制の海外の大学に進学し、学位を取得したいという方に向けたノートです。これを読むことで、

▼ 留学する大学の選び方・絞り方
▼ 学費がほぼ無料の留学先
▼ 奨学金を活用する方法

などがわかります。語学留学や旅行の延長のような留学をお考えの方には参考にならない内容となりますので、他をお勧めします。 

今高校に通っていて、将来は海外の大学で学位を取りたいと考えている方は、留学しする目的は定まっているものの、どの大学に願書を出すべきかわからない、という状況にあるかもしれません。 

日本人学生に最も人気な留学先は アメリカ>オーストラリア>カナダ となっていますが、たとえばアメリカだけでも4年制大学の数は3000以上(アメリカ教育省に認められている数)ありますし、全世界の大学の数は16,000を超えると言われています。こんなにたくさんの大学の中からどのように選べば良いのでしょう?

みなさんの学校に海外の大学や教育事情に詳しい進路カウンセラーが在籍していればその方にアドバイスを求めることができますが、そうでない場合はどの大学に願書を出してみるか自分で判断しなくてはなりません。

アメリカの大学に願書を出す場合、出願料は*平均$37.88(およそ4200円)かかりますし、オーストラリアの大学への出願料は*AUS$125(およそ9800円)にも昇る場合があります。手当たり次第に何十もの大学に願書を出すわけにもいきませんし、何より3年〜4年間の大学生活は有意義に過ごせる大学で過ごしたいですよね。

*Forget tuition, just applying to college can cost thousands より。換算レートは2019年5月7日のもの。

海外の大学で学位を取得するメリットの大きさ

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海外に留学する日本人学生の数は毎年*10.5万人ほどですが、そのうち1年以上海外留学する学生の数はたったの2000人程度です。

*文部科学省 - 「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について より

海外の大学に進学しようと思ったら、集めなくてはならない情報の量や手続きの手間が何倍にもなるので、

しかし、海外の大学で学位を取ろうとする日本人学生が少ないのは、そのメリットが薄いからではなく、単純にそのメリットの大きさを知らないからです。

日本の外資系企業(特に金融やコンサル系の会社)は、「海外の大学を卒業した」人物が超強力なビジネスパーソンになり得ることを理解しているので、高額な報酬を用意して採用に力を入れています(初任給が日本の普通の企業に比べて2倍以上というケースも)。

もちろんそれだけではありません。海外の大学を卒業すると、キャリアの選択肢の幅が4倍以上に広がるなど、様々な利点があります。海外の大学に進学・卒業するメリットについて詳しくはこちらの記事を参照ください。

ステップ1: 合格が現実的な大学のレベルを把握する

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世界中の大学を格付けして公開するサービスがいくつか存在しますが、最も信憑性が高いとされるのが次の3つです:

THE World University Rankings
US News Best Global Universities
Academic Ranking of World Universities
(評価基準が似ているので、どのランキングでも、順位にさほどの違いはありません)

特にTimes World Reputation Rankingsでは気になる大学の「学生対教員の比率」や「留学生の割合」などの指標を近い順位のほかの大学と比べられるなど、便利な機能も利用できます。まずはこういったランキングを見ながら、自分の学力に見合った大学を絞り込んでいきます。 

さて、海外の大学には基本的に入試というものはありません。代わりに、高校3年間の成績や、大学進学適正試験(SAT、もしくはACT)のスコア、小論文、課外活動の質量などから、その大学に進学するにふさわしいか総合的に判断されます。自分の学力に見合う大学を絞り込むには、まずは自分の日頃の学業の評価を海外の評価に置き換えなければなりません。

日本では「優」「良」「可」「不可」といった風に4段階評価が用いられることが多いですが、たとえばアメリカの大学に出願する場合は、以下のようにアメリカの5段階成績フォーマット(GPA = Grade Point Average と言い、日本より細かくなっています)に換算する必要があります:

アメリカの高校での得点、評価とGPA
97-100点 = A+ = 4.30GPA
94-96点 or 94-100点 = A = 4.00GPA
90-93点 = A- = 3.70GPA
87-89点 = B+ = 3.30GPA
84-46点 = B = 3.00GPA
80-83点 = B- = 2.70GPA
77-79点 = C+ = 2.30GPA
74-76点 = C = 2.00GPA
70-73点 = C- = 1.70GPA
67-69点 = D+ = 1.30GPA
64-66点 = D = 1.00GPA
60-63点 = D- = 0.70GPA
59点以下 = F = 0.00GPA


日本の高校での得点、 日本式4段階評価とGPA換算
80-100点 = 優 = 4.00GPA
70-79点 = 良 = 3.00GPA
60-69点 = 可 = 2.00GPA
50-59点 = 不可 = 0.00GPA

学校によって得点と評価、そして算出されるGPAは微妙に異なります。上記は私が通っていたインターナショナルスクールで用いられていたGPA算出方式を元にしています。また、イギリスなど他の外国ではGPAが用いられないため、母校の成績評価方法の説明を添える必要があります。

基本的に、海外の大学に進学するには3.00以上のGPAがなければ難しくなり、誰でも名前を知っているような大学への進学には3.50以上のGPAを持つことが目安になります。自分のGPAがわかれば、どの学力レベルの大学への合格が現実的かわかってきます。 

海外の大学に進学するにはGPAに加え、SATと呼ばれる1600点満点の大学進学適正テスト(もしくはACTと呼ばれる別テスト)のスコアが求められるのが一般的です。SATを受験すると自分の実力がどの程度の大学に見合うかがわかります。SATのしくみや受験方法などについて詳しくはこちらの記事を参照ください。

自分のGPAとSATのスコアがわかれば、どの程度の大学に合格する可能性があるのかがわかります。気になる大学があれば、こちらのサイトにて、気になる大学の過去の合格者のGPAやSATスコアの相場を確認したり、自分のSATスコアから適正な大学を検索することができます。

なお、日本人留学生はGPAやスコアが大学の在学生の相場より低くても合格する可能性があります。その理由についてはこちらの記事を参照ください。

ステップ2: 「ユニバーシティー」か「リベラルアーツカレッジ」か

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アメリカへの留学を考える場合、以下の2種類に大学を大別して考えます。

A. キャンパスおよび生徒人口が比較的大きい「ユニバーシティー」
B. キャンパスおよび生徒人口が比較的小さい「リベラルアーツカレッジ」

大学世界ランキングも実は2種類あり、たとえば US News Best Global Universities のウェブサイト にはNational University Rankings と National Liberal Arts Colleges の2つのランキングを毎年公開しています。

どちらの種類の大学に進学するかによって学生生活が大きく変わってくるので、どちらが自分の好みに合っているか慎重に考えましょう。以下に双方の違いを挙げます。

Universities
規模: 生徒数10,000人以上。巨大なキャンパス。
教育方針: 実践的な技術や知識に特化した内容が多く、特に理系に向く。専攻分野外の単位ははあまり取得しなくてOK。
知名度: トップ校はアメリカ国外でも知名度が高く、就職に有利に働く。
学費: 公立校は学費が低めだが、その代わり留学生向けの奨学金の種類・額は限定的。
講義: 数10名〜数100名の教室で講義が行われ、講師(教授の助手であることも)の話を一方的に聞く時間がほとんど。質問したり、ディスカッションしたりする機会は少ない。
教員: 研究をすることが主な仕事で、講義にさほど力を入れない傾向。専攻分野の第一人者が教員として在籍する反面、学生が彼らと触れ合える機会は少ない。

Liberal Arts Colleges
規模: 生徒数1000〜3000人程度。キャンパスの全施設が徒歩圏内。
教育方針:広い教養を身につけることを重視、特に文系に向く。専攻分野外の単位もそれなりに必要。
知名度:トップ校でもアメリカ国外では知名度が低い。
学費:ほとんどが私立であるため学費はユニバーシティーに比べ高め。その代わり留学生向けの奨学金の種類・額が豊富。
講義:数名〜数10名の教室で講義が行われ、教授本人に質問したり、他の学生とディスカッションしたりする機会が豊富。
教員: 学生の学びを最大化することが主な仕事で、講義の外で学生と触れ合う機会が多い。

自分がどういった教育環境でなら本領を発揮できそうかよく考えておきましょう。

また、ひとつ念頭に置きたいのが、日本やイギリスとは違い、アメリカの大学では専攻を途中で切り替えるのは容易ですし、さらにリベラルアーツ校では大学3年目に入るまで専攻を決めなくても大丈夫だということです。

高校生の時点で将来どのようなキャリアを積んでいきたいのか明確に見えていることは稀です。私自身はリベラルアーツカレッジに通い、最初はなんとなく経済学を専攻するつもりでいましたが、経済学、数学、英文学、哲学など様々な分野の講義を受けた結果、大学2年目に入る頃に音楽を専攻することに決めました。

音楽学部の教授たちと直接意見を交わしたり個人的にフィードバックを受けることができたことからモチベーション高く学び続けられたのは間違いありません。どんな分野であれ、熱心に取り組むことができればたくさんの学びがありますし、それができないのであれば高い学費を払ってまで海外の大学に行く意味はないと思います。

将来どのような職業に就きたいのかすでに明確にイメージできているなら専門知識が得られるユニバーシティーへ。キャリアの展望がまだ見えないなら社会人として成功するための基礎とも言える一般教養を磨くためにリベラルアーツカレッジへ。このような観点から出願先候補を絞ることも大事です。 

ステップ3: 経済的に長期留学ができる大学に絞る

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行きたい大学を選ぶ時は、お金のことも考えなければなりません。もしご家族が裕福で、教育費について特に気にしなくていい状況にあるならとても幸いなことです。でもほとんどの方は、学費の支払いが現実的な大学に絞っていく必要があると思います。

しかしこれまで学業を頑張って高いGPAを獲得してきた、もしくはこれから頑張って高いGPAを獲得する方は、悲観する必要ありません。

学費がほとんど無料だったり、奨学金が出る大学は世界中にたくさんあり、そういった大学はあなたのような学生にこそ留学してきてほしいと思って、学費について優遇してくれるのです。

私は、学費が問題なく払えるからと言って、短期留学をするのはお勧めしません。なぜなら、就職やその後の人生の豊かさや自由度の観点から短期留学はあまり意味がないからです。留学するなら、3年、もしくは4年生の海外の大学にフルに通って卒業すべきです。ここではその理由と方法についてお話しします。

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