動物たちがのさばるジャングル証券市場

新聞の経済面や証券面を一度くらい読んだことがある人ならば、熊(bear)や牛(bull)の話を聞いたことがあるだろう。証券市場において、熊は弱含み、悲観論者などを意味し、牛は強含み、楽観論者などを意味する。

それで、米国ニューヨークマンハッタンのウォールストリートには、かの有名なCharging bullの銅像が立っているし、ドイツのフランクフルト証券取引所の前や汝矣島(ヨイド)韓国取引所の前、そして香港証券取引所の前にも牛の銅像が立っている。このため、米国の投資家たちは「ウォールストリート(Wallstreet)で塀(wall)はただの塀ではなく、牛や熊を閉じ込めるフェンス」だと言ったりもする。では、どうしてこのように証券街で熊と牛が戯れるようになったのだろうか。

金融ジャングルでのさばっている動物たちの属性

まず、牛は過去、ギリシャ、ローマ、インド、ヨーロッパなどで男性と太陽を象徴する動物であった。このような牛が戦う時は角を上に振り上げる仕草をするので、上げ相場に譬えられた。一方、熊は昔から女性を象徴し、戦う時、下に頭を突き出して攻撃するので、下げ相場に譬えられた。また、ウォールストリートで「熊の皮を売る人(Bear Skin Jobber)」は、空売りを専門とする人を意味するが、これは18世紀、熊皮市場で皮の値が上がった時、利口な商人たちが数日後に渡すと言って、存在しない熊の皮を前もって売って差益を稼いだことに由来する。

これら牛や熊のほかにも、強含みでも弱含みでもない曖昧な相場をイノシシ(boar)と呼ぶ。これはイノシシに特別な意味があるからではなく、ブル(bull)とベア(bear)をいい加減にぼやかして発音するとイノシシを意味するボア(boar)となるからである。また、犬(dog)もよく登場するが、先物やオプションなどデリバティブ商品市場が証券市場に影響を及ぼすことを「犬のしっぽが胴体を揺らす(Wag the dog)」と表現する。ハンガリー出身の世界的な投資家アンドレ・コストラニ(Andre Kostolany)は、「株価という主人(ファンダメンタル)が散歩に出ると、その後を相前後してついていく犬と同じである」という「犬理論」を主張したりもした。

また、金融市場にはChicken(鶏)もいるが、株式市場が恐怖にぶるぶる震える様子をChickenと表現する。他ならぬ弱虫のことである。また、株式市場が怖がって動かない状況では鹿(Deer)になぞらえて表現する。夜中に道路で車のライトを恐れてじっとその場に立っている鹿(Deer in the light)を想像すれば理解しやすいだろう。

一方、羊(lamb)は非常に純真な小額投資家を指す。クリストファー・エリアス(Christopher Elias)は「羊をゆする(Fleecing the Lambs)」という本を書いたが、まさに小額投資家をゆする専門屋の行為を告発した本である。また、「貨幣戦争」という本を読むと、羊の毛刈り(fleecing of the flock)という表現も出てくるが、これは資金力のある投資家が庶民の利得を奪うことを意味する。また、オオカミ(wolf)は大規模資金を転がしながら「ゆすり」を専門に行なう株式市場屋をいう。2013年にはレオナルド・ディカプリオが主演した「ウルフ・オブ・ウォールストリート(The wolf of wallstreet)」という映画が金融街の貪欲を暴いたりもした。

無数の動物たちがのさばるジャングル証券市場

多くの人々がウォールストリートは夢だと考えている。しかし、そこは非理性的で、非合理的な投機や没落を頻繁に発生させる無数の動物たちがのさばるジャングルでもある。まさに「光る牛」が「きらびやかな噂」をもとに「羊」を市場に誘引し、「熊」は「臨月のように膨らんだ泡」を破裂させ、暴落を引き起こし、動作の速い狼だけが脱出する凄まじい所である。このような属性も知らずに、お金を稼ぐためにやみくもに証券市場に飛び込むと、お金の仮面をかぶったサタンたちにやられるしかないだろう。

一方で聖書には様々な動物が一堂に会しながら理想世界が成される時が来ると預言されている。天の御言葉があってこそという条件下において。そのような世界が成されることを夢見つつ、現実世界の厳しさも十分に認識して自らの身を守らなければならない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?