基軸通貨のような真理

基軸通貨の機能と起源

基軸通貨(vehicle currency)は、複数の国の暗黙の同意を得て、国際取引で中心的な役割をする通貨として国際貿易決済に使用され、為替レートの評価の指標となり、対外準備資産として保有されている通貨をいう。今日の国際取引では、一般的に米ドル、ユーロ、英国ポンド、日本円などが使用されているが、このうち全世界の外国為替取引と外貨準備高の相当部分を占める米ドルが基軸通貨として認められている。

このような基軸通貨は今から約2500年を遡ってその起源を見出すことができるが、人類初の基軸通貨は紀元前5世紀の古代ギリシャの都市国家であったアテネが発行した銀貨「ドラクマ」であった。ギリシャ七賢人の一人である「ソロン」は、アテネとペルシャの間の貿易を増加させる方策として、両国間の通貨統合を試みた。このためにドラクマの銀含有量を減らし、ペルシャ銀と銀含有量を合わせて、両国の通貨を互いに自由に交換できるようにした。結局、ドラクマはペルシャはもちろん、イオニア、黒海、シチリア、アフリカなどに広く流通する基軸通貨となった。

その後ドラクマは紀元前1世紀、ローマ帝国の金貨アウレウスと銀貨デナリに基軸通貨の座を明け渡すようになる。4〜10世紀にはコンスタンティヌス大帝の時に鋳造されたソリドゥス金貨が、13〜15世紀には国際貿易の中心地であるイタリアのジェノバの金貨であるジェヌインやフィレンツェの金貨であるフローリンが基軸通貨の役割を果たした。17〜18世紀には新たに国際貿易の中心国として浮上したオランダのグルデン(gulden)が基軸通貨の地位を享受した。

その後、海上貿易の主導権が英国に渡るにつれてポンドが基軸通貨になるが、ポンドは19世紀末、国際貿易決済の約60%を占め、20世紀の初めには世界の外貨準備高において48%の割合を占めた。しかし第一次、弟二次世界大戦を経て、金の保有量が急減するや、英国は1931年、金兌換を公式的に中断するようになり、ポンドは基軸通貨の座を「ドル」に明け渡す。しかし今日、ドルは米国の経常赤字、財政赤字に加え、2008年の米国発の金融危機などによって基軸通貨の地位を脅かされている。

人生における基軸通貨のような役割

基軸通貨は、文字通り多くの通貨の中で一つの軸になってくれる通貨である。基軸通貨を中心としてすべての為替レートが計算されるため、基軸通貨が一種の中心者の役割をするわけである。ならば、私たちの生において、基軸通貨のような役割をするものは何か。私たちの生はお金に代表される物質によって影響を受けたりもするが、それよりは考えと精神によってより大きく左右される。したがって、考えの中心をしっかりつかむものが生の軸になるべきだろう。

歴史を見ると、いつも世界貿易を主導する国の通貨が基軸通貨の役割をしてきた。これと同じく、これからは私たちの考えの中心をつかんでくれる新しい真理が人類の生を導く軸となってくれるだろう。最初の基軸通貨であった「ドラクマ」には 、知恵の女神を象徴するフクロウ(後日ローマでは、この知恵の女神を「ミネルバ」と呼んだ)が刻まれていた。フクロウは暗い所で他の人が見ることができない時、自分だけよく見える能力を持っている。

これと同じく私たちの生も、他の人が見ることができない真理を見ることができる慧眼と知恵を持つ時、その生は基軸通貨のように信頼を受ける生になるだろう。そして、基軸通貨が世界のどの場所でも流通しているように、真理で武装した生は全人類から歓迎される生になるだろう。神様の完全な真理によって基軸通貨のような人生にしたい。

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